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第40話

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ザオード視点

 試験の前日になって、俺はリシアから魔法道具の杖を預かっていた。

 筆記試験の先生は平民で、俺が伯爵家の令息と知っている。
 計画を誰にも知られたくなかったから、この場は俺が動くしかなかった。

「成功すれば報酬をやるから、マリーの杖をこの杖に変えてくれ。拒むことは許さん」

 廊下で先生と対面できて、リシアの協力により周囲には誰もいない。
 絶好の機会で脅すことに成功し、報酬も渡すと言っている。
 相手が伯爵家の令息だから、命令に従うと俺は確信していた。

 それなのに先生は呆れている様子で、俺を眺めて話す。

「……まさか本当に、私を狙ってくるとは思いませんでした」
「お前は何を言っている? いいからさっさとこの杖を受け取り、明日マリーに持たせろ」
「証拠だから受け取るまではいいけど、マリーに持たせることは許せないな」

 先生に杖の魔法道具を渡すと距離を取られて――クラウスが、俺の前に現れる。
 今まで隠れていたクラウスは、先生が杖を持ったタイミングでやって来たようだ。

「なっっ……クラウス!? なぜお前がここにいる!?」
「成績が上がらないのに余裕そうなお前を警戒して、そこからリシアの計画を知ったのさ」
「はぁぁぁっっ!?」

 リシアの計画を知られた――その原因は、俺の態度によるものらしい。
 命令している場面を見られたから、言い逃れることができなくなっていた。
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