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第3話
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私が呪いを解くと宣言すると、サダムが驚いた様子で話す。
「キャシーは……俺の呪いを解きたいと、本気で思っているのか?」
「当前です。呪いは時間がたてば精神を蝕んだり、最悪命を落とすものがあることは知っています」
早急に対処するべきで、サダムは今まで呪いを解くために動いていたと私は思っていた。
昨日の夜会での発言と、今日の話を聞くと……サダムは呪いを解く気がなくて、現状を受け入れるつもりのようだ。
私は、好きなサダムが苦しむ姿を見たくない。
必ず呪いを解くと決意して――サダムの頬に奇妙な模様が浮かんだ時から、私は呪いの魔法と推測して詳しく調べていた。
「私が呪いの証である頬の模様に触れて、魔力を流していきます」
それだけでは解けないけど、変化は起きるはず。
その変化から魔力を使い解く方法をみつけたくて、とにかく試しておきたかった。
「ああ。頼む」
サダムがそう言って――私は、サダムの呪いを解くために行動していた。
■◇■◇■◇■◇■
数分後――サダムの呪いは問題なく解けたけど、呆気なくて驚いてしまう。
呪いの魔法はかなり高度な魔法で解くのは難しく、かなりの時間がかかるらしい。
数分で解けたのは異常だけど、私には理由がわかっている。
これはサダムが魔力で私を補助してくれたお陰で……私の決意を聞いて、呪いを解きたいと思ったのかもしれない。
本来ならサダムは問題なく呪いを解くことができたけど、私の言葉を聞くまでは解く気がなかったようだ。
頬の奇妙な模様が消えて、安堵した私が話す。
「呪いが解けて、よかったです」
「キャシーのお陰だ。ありがとう……呪いを解きたいと、俺自身が思う必要もあったようだ」
呪いを解きたいと思わせたことで、サダムがお礼を言う。
実際に呪いを解いたのは私よりサダムの力が大きいけど、私の発言がなければ解けなかったようだ。
そして私は――呪いを解くことができたサダムに、想いを伝える。
「サダム様。クノレラ様と再び婚約者になりたくないのなら――私の婚約者になってください」
「……俺が、キャシーの婚約者?」
「はい。今まではクノレラ様がいたから言えませんでしたけど、私はサダム様のことが好きです」
本心を伝えると、サダムの顔が赤くなっていく。
前髪で目が隠れて表情は解らないけど、照れている姿を見るのは始めてだ。
「俺は化物で、いや、キャシーは魔眼を才能と言ってくれたか――」
困惑しているサダムだけど、私の告白を嬉しいと言ってくれて安堵していた。
数十秒困惑したと思えば落ち着きを取り戻して――サダムが、私を眺めて尋ねる。
「本当に、俺でいいのか?」
「はい。サダム様がいいです」
「そうか……わかった。キャシーが婚約者になってくれるのなら、俺も嬉しい」
そう言って――私とサダムは、婚約者になることができていた。
「キャシーは……俺の呪いを解きたいと、本気で思っているのか?」
「当前です。呪いは時間がたてば精神を蝕んだり、最悪命を落とすものがあることは知っています」
早急に対処するべきで、サダムは今まで呪いを解くために動いていたと私は思っていた。
昨日の夜会での発言と、今日の話を聞くと……サダムは呪いを解く気がなくて、現状を受け入れるつもりのようだ。
私は、好きなサダムが苦しむ姿を見たくない。
必ず呪いを解くと決意して――サダムの頬に奇妙な模様が浮かんだ時から、私は呪いの魔法と推測して詳しく調べていた。
「私が呪いの証である頬の模様に触れて、魔力を流していきます」
それだけでは解けないけど、変化は起きるはず。
その変化から魔力を使い解く方法をみつけたくて、とにかく試しておきたかった。
「ああ。頼む」
サダムがそう言って――私は、サダムの呪いを解くために行動していた。
■◇■◇■◇■◇■
数分後――サダムの呪いは問題なく解けたけど、呆気なくて驚いてしまう。
呪いの魔法はかなり高度な魔法で解くのは難しく、かなりの時間がかかるらしい。
数分で解けたのは異常だけど、私には理由がわかっている。
これはサダムが魔力で私を補助してくれたお陰で……私の決意を聞いて、呪いを解きたいと思ったのかもしれない。
本来ならサダムは問題なく呪いを解くことができたけど、私の言葉を聞くまでは解く気がなかったようだ。
頬の奇妙な模様が消えて、安堵した私が話す。
「呪いが解けて、よかったです」
「キャシーのお陰だ。ありがとう……呪いを解きたいと、俺自身が思う必要もあったようだ」
呪いを解きたいと思わせたことで、サダムがお礼を言う。
実際に呪いを解いたのは私よりサダムの力が大きいけど、私の発言がなければ解けなかったようだ。
そして私は――呪いを解くことができたサダムに、想いを伝える。
「サダム様。クノレラ様と再び婚約者になりたくないのなら――私の婚約者になってください」
「……俺が、キャシーの婚約者?」
「はい。今まではクノレラ様がいたから言えませんでしたけど、私はサダム様のことが好きです」
本心を伝えると、サダムの顔が赤くなっていく。
前髪で目が隠れて表情は解らないけど、照れている姿を見るのは始めてだ。
「俺は化物で、いや、キャシーは魔眼を才能と言ってくれたか――」
困惑しているサダムだけど、私の告白を嬉しいと言ってくれて安堵していた。
数十秒困惑したと思えば落ち着きを取り戻して――サダムが、私を眺めて尋ねる。
「本当に、俺でいいのか?」
「はい。サダム様がいいです」
「そうか……わかった。キャシーが婚約者になってくれるのなら、俺も嬉しい」
そう言って――私とサダムは、婚約者になることができていた。
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