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第26話
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ジェイク視点
ローナを棺に入れてから、3日が経っていた。
棺が動いたと地下室で監視させていた執事の報告を受け――俺達家族は棺の前に立っている。
処刑の魔法道具である棺は、命を失った時に動いて蓋が開くようになる。
何度か使った場面を見ている俺は知っていて、父上が呟いた。
「まさかあの程度の魔力で3日持つとは……足掻いたようだな」
あの魔道具は精神力で耐えれば、賢者の膨大な知識を得られる魔法だ。
そして魔法を極めることで膨大な力を得ると聞いているが、生存者がいないからわからない。
「それでは……蓋を開けます」
執事がそう呟き、棺の蓋に手を伸ばす。
そして――目の前の光景に、俺達は呆然とするしかない。
「ばっ……馬鹿なっッ――!?」
父上が叫んだのは、棺を開けたと同時にローナが動いたからだ。
生きていたことに驚き、一瞬で執事の命を絶ったことにも驚いてしまう。
叫び声が終わる前に、ローナが一瞬で父上の元まで迫り触れる。
それだけで父上は意識を――いや、魂を失い倒れていた。
その後、ローナはその行動を俺以外の部屋の者に行い……家族が全員消えている。
いきなり家族を全て消された俺は、唖然としながら呟いた。
「家族が、全員死んだ……これは、どういうことだ!?」
「これで――ジェイク様が領主になれました」
ローナの容姿は変わらず、平然とした様子で呟く。
俺はそんなローナにゾッとしながらも、発言を理解した。
ローナは俺の愛だけで持ちこたえて膨大な力を得ることができた。
それでも……生き延びることはできても、心は耐えられなかったらしい。
今の聖女ローナは――俺の為だけに動く、膨大な魔力を宿した怪物だった。
ローナを棺に入れてから、3日が経っていた。
棺が動いたと地下室で監視させていた執事の報告を受け――俺達家族は棺の前に立っている。
処刑の魔法道具である棺は、命を失った時に動いて蓋が開くようになる。
何度か使った場面を見ている俺は知っていて、父上が呟いた。
「まさかあの程度の魔力で3日持つとは……足掻いたようだな」
あの魔道具は精神力で耐えれば、賢者の膨大な知識を得られる魔法だ。
そして魔法を極めることで膨大な力を得ると聞いているが、生存者がいないからわからない。
「それでは……蓋を開けます」
執事がそう呟き、棺の蓋に手を伸ばす。
そして――目の前の光景に、俺達は呆然とするしかない。
「ばっ……馬鹿なっッ――!?」
父上が叫んだのは、棺を開けたと同時にローナが動いたからだ。
生きていたことに驚き、一瞬で執事の命を絶ったことにも驚いてしまう。
叫び声が終わる前に、ローナが一瞬で父上の元まで迫り触れる。
それだけで父上は意識を――いや、魂を失い倒れていた。
その後、ローナはその行動を俺以外の部屋の者に行い……家族が全員消えている。
いきなり家族を全て消された俺は、唖然としながら呟いた。
「家族が、全員死んだ……これは、どういうことだ!?」
「これで――ジェイク様が領主になれました」
ローナの容姿は変わらず、平然とした様子で呟く。
俺はそんなローナにゾッとしながらも、発言を理解した。
ローナは俺の愛だけで持ちこたえて膨大な力を得ることができた。
それでも……生き延びることはできても、心は耐えられなかったらしい。
今の聖女ローナは――俺の為だけに動く、膨大な魔力を宿した怪物だった。
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