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第11話

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ジェイク視点

 夜になって――俺は部屋で1人になり、現状に絶望していた。
 疲れ果てたローナは休ませているも、成果がいいとはお世辞でも言えない。

「ローナは聖女の力を得て強くなっているはずなのに……それでも、どう考えてもセリスの方が強いだと!?」

 聖女の最初の使命で龍脈に干渉することで、聖女は膨大な魔力を得ることができる。
 本当に聖女となったローナの魔力を魔道具で確認した結果――元婚約者セリスの方が優れていた。

 俺は聖女の力さえ継承すれば、ローナはセリス以上の魔法使いになると確信していた。
 膨大な魔力を得るのは聖女の歴史から伝わっていた事実で、実際にローナの魔力が向上しているのは間違いない。

 それでも――ローナはセリス以下の力しかなくて、これから成長することもないだろう。

「今日ローナがセリスを上回る力を手に入れれば、何も問題なかったのに……」

 セリスの方が優秀なのは知っていたが、まさか聖女の力を得たローナより上だなんて考えない。

 それよりも……今は聖女になったローナの力が、予想以上に低すぎたことが問題だ。

「俺は聖女の力を、過信しすぎていたのかもしれない……とにかく、誤魔化すしかないだろう」

 ローナを聖女にするのは非常時の保険ということを、この時の俺は知らない。

 聖女の歴史から今後の出来事を推測した結果――俺は焦るしかなかった。
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