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第10話

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モグルド視点

 護衛がいなくなってしまったが、ルナと会う必要がある。
 これから生きていくためにも、亜人に聞くことで龍人の屋敷に到着した。

 龍人ヒュームのせいで嘘がつけないから、真実だけを話してルナを連れ戻さなければならない。
 元婚約者と言えば屋敷の中に入ることができて、応接室にはルナとヒュームがいた。

 とにかく謝罪して、戻って来てもらうしか方法はない。
 頭を下げて、ルナに向かい俺は来た理由を話す。

「今までのことは全て謝ってやる! ルナは龍人に国を守るよう頼んでくれ!」

 叫んですぐ、俺はドリウース国の現状を説明する。
 ヒリスが亡くなり、国王に命令されて俺は魔界まで来た。
 全て話した後、ルナの返答に驚くこととなる。

「お断りします――モグルド、貴方はいらない元婚約者です」
「ぐっっ! まだ昔のことを気にしているのか! いい加減に――」
「――いい加減にして欲しいのは俺達の方だ。力尽くで追い出しても構わないのだぞ?」

 強引に連れ戻したかったのに、ルナの隣にいるヒュームに威圧されて何も言えなくなってしまう。
 そして――ヒュームを眺めるルナは、笑顔を浮かべていた。

 俺の婚約者だった時には見たことがないルナの表情で、何を言っても無意味だと理解してしまう。
 龍人との日々が嫌になっていると確信していたのに……本当に俺は、いらない元婚約者のようだ。

 この場にいたくない俺は、応接室から逃げ去って行く。
 護衛がいない状況でドリウース国に戻れるとは思えず、魔界で生きていくしかなさそうだ。

 問題は俺が嘘をつくことができない状態で、ヒュームと同類の亜人を憎んでしまうことにある。
 王子という立場を利用して誰でもいいから手下が欲しかったのに、誰も俺の話を聞いてくれなかった。
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