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第53話

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ルグド視点

 宰相ノースが城の外で行動している間、玉座の間で俺は不安になっていた。

 城の者はリルーガ公爵家に従う者ばかりで、俺を蔑んでいる。
 シェムが戻って来た時の準備をしているのがわかり、玉座の間で1人になりたいと命令していた。

 現状は最悪で、俺は頭を抱えてしまう。
 そんな時に部屋の扉が開き――アリザが戻って来たことで、思わず俺は叫ぶ。

「おおっ! アリザよ戻って来てくれたのか! 歓迎しよう!!」

 最初は幻覚かと思ったが、目の前のアリザは俺の発言に呆れている。
 廃妃にすると言った時と同じ反応で、とにかく説得しようとしていた。

「平民の生活は大変だったに違いない! 側妃に戻れば前よりも遥かにいい境遇にしようではないか!」

 境遇をよくするのは嫌だが、どんな手を使ってでもアリザはムーディス国にいて欲しかった。
 最初は優遇して、その後で徐々に立場を悪くしていけばいい。
 そんなことを考えていると――アリザの発言に、俺は驚くこととなる。

「ムーディス国に戻る気はありません。私は愚かな元側妃として、貴方の苦しんでいる姿を見に来たのです」

 愚かな元側妃――どうやらアリザは、未だに愚かな側妃と言われたことを気にしているらしい。
 戻る気はないと言われたことで、俺は頭が真っ白になっていた。
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