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第16話
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ルグド視点
城から出て行こうとするアリザを発見し、俺は元に戻そうと決意する。
廃妃にすると脅せば従うようになりシェムも納得すると、この時の俺は考えていた。
「――アリザよ! お前を廃妃にしてやる!」
「そうですか、わかりました」
「なんだと!? アリザは何を言っている!?」
返答が予想外で、俺は動揺するしかない。
廃妃にすると宣言してしまい、俺の発言が記録されている。
それは宰相ノースの警告通りだったが、本当に廃妃を受け入れて発言を記録すると考えていなかった。
その後アリザは、発言を記録した魔石を破壊する代わりに誓約書にサインするよう言い出す。
俺の失言を広められるよりも、愚かな側妃だから廃妃にしたことを理由にした方がマシだ。
そう考えてサインをした後……城から出て行こうとしたアリザを、俺は引き留めたくなってしまう。
もう二度と会えないかもしれないと考えると、今さら離れたくないと思ってしまった。
「まっ、待ってくれ! 本当にアリザは側妃から平民になる気でいるのか!?」
「はい。愚かな側妃と言われ続けている現状より遥かにいいでしょう」
「その噂を広めたことは悪かった! シェムの家が恐ろしくて、一番穏便と思っただけなんだ!」
アリザに向かって、俺は本心を話す。
それでも、アリザの考えが変わることはない。
「廃妃にするよう言われて、ルグド様はシェム様に従ったのでしょう」
「そ、それは……」
「私を説得するより、シェム様を王妃らしくした方がいいですよ」
そう言って、アリザは城から出て行く。
力の差があり強引に止めることができず、俺は立ち尽くして後悔するしかない。
今日の行動が最悪の事態を招くことを、この時は何も知らなかった。
城から出て行こうとするアリザを発見し、俺は元に戻そうと決意する。
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返答が予想外で、俺は動揺するしかない。
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それは宰相ノースの警告通りだったが、本当に廃妃を受け入れて発言を記録すると考えていなかった。
その後アリザは、発言を記録した魔石を破壊する代わりに誓約書にサインするよう言い出す。
俺の失言を広められるよりも、愚かな側妃だから廃妃にしたことを理由にした方がマシだ。
そう考えてサインをした後……城から出て行こうとしたアリザを、俺は引き留めたくなってしまう。
もう二度と会えないかもしれないと考えると、今さら離れたくないと思ってしまった。
「まっ、待ってくれ! 本当にアリザは側妃から平民になる気でいるのか!?」
「はい。愚かな側妃と言われ続けている現状より遥かにいいでしょう」
「その噂を広めたことは悪かった! シェムの家が恐ろしくて、一番穏便と思っただけなんだ!」
アリザに向かって、俺は本心を話す。
それでも、アリザの考えが変わることはない。
「廃妃にするよう言われて、ルグド様はシェム様に従ったのでしょう」
「そ、それは……」
「私を説得するより、シェム様を王妃らしくした方がいいですよ」
そう言って、アリザは城から出て行く。
力の差があり強引に止めることができず、俺は立ち尽くして後悔するしかない。
今日の行動が最悪の事態を招くことを、この時は何も知らなかった。
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