他の人を好きになったあなたを、私は愛することができません

第２６話

　私はゼロアとギルドマスターから、クリスタルタートルと呼ばれる魔物について聞く。
　クリスタルタートルを敵に回した国のほとんどは滅ぶようだけど、ガルク国は捕獲できると考えたようだ。

「どうしてガルク国は、クリスタルタートルなんで魔物を国内に引き寄せているのでしょうか？」

「捕獲して飼うことができれば、魔石の鉱山のようなものだからな……試して滅んだ国は、幾つも存在する」

「成功して繁栄した国を羨んで、捕獲を試みた国が幾つも滅んでいます」

　どうやら私を追い出した辺りで、クリスタルタートルを捕獲する計画が実行されたようだ。
　半年が経って――クリスタルタートルが鉱山から出てガルク国に向かっている最中に、私の武器が壊れることを知る。

「その計画は、止めようとしなかったのでしょうか？」

「鉱山からクリスタルタートルが出た時点で、止めることは不可能です……ガルク国は、どうすることもできないはずです」

　今までなら私の武器を使い、壊れそうでも修復するから倒せると考えたようだ。
　私の作る武器の強度ならクリスタルタートルにダメージを与えられるようだけど、私の武器がなければ倒すの不可能らしい。

「俺はこれからもクリスタルタートルの動向と、ガルク国を調査していく……何かわかれば、報告しよう」

　そう言って、ギルドマスターが私達の家から去って行く。
　冒険者ギルドとしては、依頼を出さず自業自得なガルク国を守る気はないようだ。