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第71話

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マリウス視点

 俺は地図を持って来て、カオスに渡す。
 カオスは地図に描かれた森を、フィーレがいると推測される地点を指差して俺に尋ねる。

「ジェノスはここにいるが、ここには何がある?」

 言うべきではないと、頭では理解できている。
 フィーレを頼ったのだとすれば、カオスを倒せるかもしれない。

 それでも……カオスに力を授かってから、俺は命令を聞くしかない体になっていた。

「そ、そこは……前聖女フィーレがいると推測していた場所です」

「奴か! 俺を最も苦しめた聖女だ!!」

 前聖女と聞いて、カオスが玉座から立ち上がり叫ぶ。
 苦い表情を浮かべ、全身を震えさせながら呟く。

「前聖女があと数カ月聖女のままなら、確実に消滅していた。そこまで俺を追い詰めた憎き聖女……相手にとって不足はない!」

 カオスの叫びを聞き、俺は顔を青ざめる。
 それはつまり、フィーレが聖女のままなら、カオスは消滅していたということだ。

 今のフィーレは聖女の力を失い、魂を取り込み力を得ているカオスには敵わないだろう。
 この国は、世界は終わりだと考え――俺は全てを後悔するしかなかった。
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