上 下
14 / 70

第14話

しおりを挟む
 今まではアリード侯爵家の屋敷で暮らしていたから、街に出ることはあまりなかった。
 そのせいで街の店を眺めるだけで驚いてしまい、そのリアクションが面白いのかマルクスが笑顔を浮かべる。

「ははっ、やはりエミリーはお嬢様という感じだな」

「そこまでですか?」

「なにか見るたびに驚いていた……今までは、街に出ることができなかったのか」

 マルクスが心配そうにして、私はアリード家にいたときのことを思い出す。
 無理に多くのポーションを作らされると、何も考えられなくなってしまう。
 ほとんど屋敷でポーションを作る毎日だったけど、もう過去のことだ。

「マルクスは何も気にすることはありません。私は今が楽しいです」

「そうか。それはよかった」

 話題を変えようと、私は今日の出来事について話す。

「それにしても、マルクスは人気者ですね」

 今日は私が街の店や建物に驚いて、隣でマルクスが楽しそうに説明する。
 その際にマルクスは声をかけられていて、街の人達から感謝されていた。

「俺はこの街を拠点にして長いからな。回復魔法も使えるし、街の人の力になるため活動している」

 マルクスでなければ厳しい依頼でもない限り、この街を出ることはないようだ。
 それならこれからもマルクスと会えそうで、私は安堵していた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したようです。アレして良いですか?【再録】

仲村 嘉高
恋愛
魔法と剣の世界に転生した私。 「嘘、私、王子の婚約者?」 しかも何かゲームの世界??? 私の『宝物』と同じ世界??? 平民のヒロインに甘い事を囁いて、公爵令嬢との婚約を破棄する王子? なにその非常識な設定の世界。ゲームじゃないのよ? それが認められる国、大丈夫なの? この王子様、何を言っても聞く耳持ちゃしません。 こんなクソ王子、ざまぁして良いですよね? 性格も、口も、決して良いとは言えない社会人女性が乙女ゲームの世界に転生した。 乙女ゲーム?なにそれ美味しいの?そんな人が…… ご都合主義です。 転生もの、初挑戦した作品です。 温かい目で見守っていただければ幸いです。 本編97話・乙女ゲーム部15話 ※R15は、ざまぁの為の保険です。 ※他サイトでも公開してます。 ※なろうに移行した作品ですが、R18指定され、非公開措置とされました(笑)  それに伴い、作品を引き下げる事にしたので、こちらに移行します。  昔の作品でかなり拙いですが、それでも宜しければお読みください。 ※感想は、全て読ませていただきますが、なにしろ昔の作品ですので、基本返信はいたしませんので、ご了承ください。

【書籍化予定】居場所を奪われ続けた私はどこに行けばいいのでしょうか?

gacchi
恋愛
桃色の髪と赤い目を持って生まれたリゼットは、なぜか母親から嫌われている。 みっともない色だと叱られないように、五歳からは黒いカツラと目の色を隠す眼鏡をして、なるべく会わないようにして過ごしていた。 黒髪黒目は闇属性だと誤解され、そのせいで妹たちにも見下されていたが、母親に怒鳴られるよりはましだと思っていた。 十歳になった頃、三姉妹しかいない伯爵家を継ぐのは長女のリゼットだと父親から言われ、王都で勉強することになる。 家族から必要だと認められたいリゼットは領地を継ぐための仕事を覚え、伯爵令息のダミアンと婚約もしたのだが…。 奪われ続けても負けないリゼットを認めてくれる人が現れた一方で、奪うことしかしてこなかった者にはそれ相当の未来が待っていた。 書籍化予定です。Web版は11/21までの公開です。

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

身分を捨てて楽になりたい!婚約者はお譲りしますわね。

さこの
恋愛
 ライアン王子には婚約者がいる。  侯爵家の長女ヴィクトリアと言った。  しかしお忍びで街に出て平民の女性ベラと出あってしまった。  ベラと結婚すると国民から人気になるだろう。シンデレラストーリだ。  しかしライアンの婚約者は侯爵令嬢ヴィクトリア。この国で5本指に入るほどの名家だ。まずはヴィクトリアと結婚した後、ベラと籍を入れれば問題はない。  そして結婚式当日、侯爵家の令嬢ヴィクトリアが来るはずだった結婚式に現れたのは……  緩い設定です。  HOTランキング入り致しました‪.ᐟ‪.ᐟ ありがとうございます( .ˬ.)"2021/12/01

あなたなんて大嫌い

みおな
恋愛
 私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。  そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。  そうですか。 私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。  私はあなたのお財布ではありません。 あなたなんて大嫌い。

【完結】好きでもない私とは婚約解消してください

里音
恋愛
騎士団にいる彼はとても一途で誠実な人物だ。初恋で恋人だった幼なじみが家のために他家へ嫁いで行ってもまだ彼女を思い新たな恋人を作ることをしないと有名だ。私も憧れていた1人だった。 そんな彼との婚約が成立した。それは彼の行動で私が傷を負ったからだ。傷は残らないのに責任感からの婚約ではあるが、彼はプロポーズをしてくれた。その瞬間憧れが好きになっていた。 婚約して6ヶ月、接点のほとんどない2人だが少しずつ距離も縮まり幸せな日々を送っていた。と思っていたのに、彼の元恋人が離婚をして帰ってくる話を聞いて彼が私との婚約を「最悪だ」と後悔しているのを聞いてしまった。

もう、いいのです。

千 遊雲
恋愛
婚約者の王子殿下に、好かれていないと分かっていました。 けれど、嫌われていても構わない。そう思い、放置していた私が悪かったのでしょうか?

【完結】婚約者を寝取られた公爵令嬢は今更謝っても遅い、と背を向ける

高瀬船
恋愛
公爵令嬢、エレフィナ・ハフディアーノは目の前で自分の婚約者であり、この国の第二王子であるコンラット・フォン・イビルシスと、伯爵令嬢であるラビナ・ビビットが熱く口付け合っているその場面を見てしまった。 幼少時に婚約を結んだこの国の第二王子と公爵令嬢のエレフィナは昔から反りが合わない。 愛も情もないその関係に辟易としていたが、国のために彼に嫁ごう、国のため彼を支えて行こうと思っていたが、学園に入ってから3年目。 ラビナ・ビビットに全てを奪われる。 ※初回から婚約者が他の令嬢と体の関係を持っています、ご注意下さい。 コメントにてご指摘ありがとうございます!あらすじの「婚約」が「婚姻」になっておりました…!編集し直させて頂いております。 誤字脱字報告もありがとうございます!

処理中です...