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第2話

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 パーティが終わって、私はアリード家に戻っていた。

 妹キアラと一緒にお父様とお母様のいる部屋に呼び出され、私は驚くこととなる。

「今まで王子の婚約者だからエミリーの仕事量は少なくしていた。明日から魔力が尽きるまでポーションの作成をしてもらう」

 お父様がそんなことを言い出して、私は困惑していた。

 昨日までとは言っていることが違うから、私はお父様に言うしかない。

「お父様……調合魔法使いを雇ったのは、私の負担を減らすためと言っていましたよね?」

 今まで私はポーションを作り続けていて、働かせすぎで嫌になっていた。

 その時は調合魔法使いを雇うまで待って欲しいと言っていたのに、更に働かせたいようだ。

 私が尋ねると、お父様は激怒して叫ぶ。

「黙れ! アシェル殿下の婚約者だから、今までは甘やかしていたのだ!!」

「新しく雇った調合魔法使いは貴方より多くのポーションを作るもの、エミリーは毎日魔力が尽きるまでは働くべきね」

 お母様が言っていることは事実だけど、それは私を酷使したことで魔力量が増加しなかったせいだ。

 魔力が尽きるまで魔法を使ったことは何回もあって、かなり苦しい。

 アシェルに婚約破棄を言い渡されたことで、私はこれから更に酷い目に合わされてしまいそう。

 それが嫌な私は、お父様に話す。

「毎日魔力が尽きるまで働く気はありません――私は、アリード家から出て行きます」

「……なんだと?」

「アシェル殿下は私に「代わりはいる」と仰っていました。出て行っても問題ないでしょう」

 何も言わず出て行こうかと考えたこともあるけど、私は家族に出て行くことを伝える。

 家族の考えが変わらないか確認できるのは今しかなくて、私はこの場で家を出ると言いたかった。

 そして――発言を聞いて更に激昂したお父様が、私に対して叫ぶ。

「出て行くと言えば待遇が変わるとでも思ったか! 貴様など平民になって後悔すればいい!!」

「お父様の言うとおりです。アリード領地のポーションは効果が高いことで有名ですが、それはお姉様の力ではありません!」

「もうエミリーの代わりはいるのよ! 娘だから家にいさせてあげようと思ったのに、そんなことを言うのなら出て行って構わないわ!」

 私が家を出ると言っても、考えがかわることはなかった。

 アリード侯爵家はポーションが有名で、そこからキアラが聖女になっている。

 調合魔法使いの私よりも、聖女キアラの方が価値は高いとお父様は思っていそうだ。
 実際に調合魔法使いの人を雇い、私の代わりはいると元婚約者、元家族は考えていた。

 家族の発言を聞いて、出て行く選択が正解だったと確信する。
 最後に私は、キアラに言っておきたいことがあった。

「キアラ。貴方が飲んでいる魔力強化のポーション、アシェル殿下には話しておいた方がいいと思いますよ」

 私が調合した魔力強化ポーションの力で、キアラは聖女になることができた。

 ポーションによる魔力の強化は数時間だけで、殿下に期待されたらキアラは過剰に飲む恐れがある。

 最後だから妹に忠告したけど、キアラは激昂して叫ぶ。

「話さなくとも、いずれ飲まなくてもよくなりますわ! さっさと消えてください!」

 キアラはこれから魔力量が増加すると考えているけど、ポーションを飲んでいる間は無理だ。

 何を言っても聞く気がないようで、私は家族を眺めて告げる。

「はい――私は、アリード家から出て行きます」

 屋敷に戻ってから呼び出されるまでの間に、家を出る準備は終えていた。

 私は何度も家を出ようと思っていたことがあって、事前に用意はしている。
 
 宣言したと同時に部屋を出て、部屋の荷物をとって私は屋敷から出て行く。

 元婚約者と家族が嫌になった私は――アリード侯爵家を捨てていた。
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