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過去の自分

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・「悔しいですが俺の負けですね。」

拳聖ナナとの決闘は開始数分で決着がついた。
俺の盛大な自爆と言う形で、、、

・ナナ
「一度も当てれなかった、、、」

ナナさんは違う意味で敗北感を味わっている。

・サリス
「ライオットさんの戦闘不能で良いのかしら?」

サリスさんがやって来た。
負けを認めるか俺に確認を取っている。

・「そうなりますね、もう動けません。」

それを聞きサリスさんが宣言する。

・サリス
「戦闘不能により、ナナさんの勝利です。」

ミミさん、出来るだけの事はしましたよ。
しかし拳聖って凄いな。
攻撃してくるナナさんが全く見えなかった。

・ナナ
「後半は本気だったのに、、、」

全然嬉しそうじゃないナナさん。
勝ったんだからもう少し喜んで欲しいです。

・ミミ
「負けちゃったね、でも凄かったよ。
ママの攻撃を全て避けてたもん。
やっぱりライオットは強いんだね。」

これを強いと言うのだろうか?
ただ単に自分の魔法に翻弄されてただけです。

・マルチ
「大丈夫?」

マルチが優しく背中をさすってくれる。
この子はホンマに天使やで。

・セリス
「しかし、気持ち悪い動きしてたな。
人間の動きとは思えなかった。」

第三者視点から見たらそう思えるのか。
一度で良いから見てみたいね。

・ナナ
「勝った気がしねぇ、、、、。」

まぁまぁ、勝ちは勝ちですから。

・ナナ
「納得できねぇ、もう一度勝負しろ。」

・「嫌です。」

はっきりと断ってやった。
もう二度とあんな目に遭うのはごめんです。

・ミミ
「どう?ライオットは強いでしょ?」

・ナナ
「くそ、認めたくないが確かに強い。」

お?認めてくれたかな?

・ミミ
「なら一緒に、、、」

・ナナ
「ダメだ、約束と違う。
確かにこいつは避ける事に関しては凄いと認めよう。しかし攻撃できなければ意味がないだろう?それに回避に翻弄されて自爆しているようじゃ本当に強いとは言えない。ミミちゃんを護るならアタシくらい倒せなきゃだめだ。」

攻撃できない防御など意味ないしね。
守るだけじゃ勝てないからさ。

それより気になる事が一つ。
母親が娘を心配するのは解るが、、、

拳聖さんより強い奴っているの?

・ミミ
「うぅぅ、、、」

ナナさんの正論に何も言えないミミさん。
何だか申し訳ない。

・「勝てなくてごめんね。」

一応謝っておく。

・ミミ
「ライオットが悪い訳じゃないよ。
それに可能性が見えた。
今は無理かもだけど次なら勝てるかも。
そんな予感がするよ。
だから次はママを倒してアタシを迎えに来てね。」

真っ直ぐにそう言われてしまった。
これは無理ですとは言えないな。

でも自身はない。
勝てる気が全くしないので。

・「えっと、、、善処します。」

そう答えるのがやっとだった。

・セリス
「そこは『任せろ』ぐらい言っとけよ。」

笑いながらセリスが俺の背中を叩く。

・ナナ
「不本意だが勝ちは勝ちだ。
ミミちゃんは連れて帰る。
だが約束しろ、今度もう一度勝負だ。
次こそ必ずお前をぶっ飛ばしてやる。」

無駄にやる気のナナさん。
出来れば手加減してほしい。

・ナナ
「帰って修行のやり直しだ。」

手加減とかしなさそうですね。

・サリス
「じゃあ私も帰るわ。
セリス、気を付けていくのよ。
しっかりライオットさんに護って貰ってね。」

セリスは俺よりも遥かに強いですよ?

・ミミ
「次は勝ってくれると信じてるからね!」

ミミさんとナナさん、そしてセリスさんが帰っていく。まさに嵐のようなイベントでした。

・セリス
「もう歩けるか?」

俺は立ち上がってみる。
しかしフラフラして直ぐに倒れてしまった。

・「すまん、無理みたいだ。」

・マルチ
「急ぐ必要ない、ここで休もう。」

マルチの提案で湖キャンプする事となった。
良いね、冒険っぽくなってきた。

時間に縛られずに状況によって行動する。
引くも進むも立ち止まるのも自由。
やっぱりこうでなきゃね。

・セリス
「野営地を探すまで背負っていくぞ?」

・「すみません、お願いします。」

まともに動けない俺を背負ってくれるセリス。
何だか懐かしい感覚に陥ります。
オーガ殲滅戦の時も背負われてたっけ。

・セリス
「オーガ殲滅戦を思い出すよな。」

同じことを考えていたらしい。
懐かしい話をしながら移動する一行。
歩いていると湖のほとりで良い場所を見つけた。

・セリス
「まさに絶景だな。」

ホントだね、とても綺麗だ。
湖ってこんなにキラキラしてるんだね。
元の世界ならスマホで一枚って気分になる。

・マルチ
「少し早いけど何か食べる?」

・セリス
「そうだな、そうしよう。
ライオットはゆっくりしてろ。」

俺は二人に甘える事にした。
セリスが準備してくれたテントで休む。

想像以上に疲れたのだろう、、、
すぐに眠ってしまったようだ。


~現代日本~

・???
「、、、、、てる?」

何だ?

・???
「ねぇ、聞いてるの?」

誰だ?

・???
「大事な事なんだからちゃんと聞いて!」

俺は目を覚ました。
目を覚ました?

・???
「いつも仕事の事ばかり、、、
少しはこっちの身にもなってよ。」

誰だ?
見覚えが、、、、、ある?
俺は知っている。
この女性は、、、

・「佳代?」

・佳代
「あなたは良いわよね、仕事の事だけ考えていればいいのだから。でも私だって働いてるのよ?休みの日くらい家事の手伝いしてよ。
私はあなたのお母さんじゃないの。」

この光景は何だ?

・佳代
「早く起きて、もう昼過ぎよ?
一体いつまで寝てるの?」

そうか、、、そうだったな。
俺は元の世界で結婚していた。
結婚して7年、家の事をろくにしないで仕事ばかりしていた。休日は貪るように睡眠を取り、起きたらまた仕事。
彼女の事は気にも留めていなかったんだ。

どうしてそうなった?
金を稼ぐ為?

いつしか自分の夢は忘れてしまった。
佳代を守るために頑張っていた筈だ。
、、、なのに何故だ?
何故、俺は彼女を苦しめ続けた?

・「仕事しなきゃ、、、」

何故俺はこれ程までに仕事に取りつかれた?

・佳代
「また仕事?たまには何処かに連れて行くとか考えないの?」

彼女の言う事も最もだ。

・「仕方ないだろ?仕事なんだ。」

本当に仕方なかったのか?
なぜそんなに仕事に追われる?
彼女を犠牲にしてでもしなきゃいけないのか?
何の為に仕事をしている?

生きる為?
本当に?

生きる為に仕事をしていたのか?
仕事をするために生きていたとしか思えない。

これじゃまるで、、、
『奴隷』じゃないか。

思い出した。
この数日後だ、、、
彼女は出て行った。
まるで俺から逃げる様に。

それなのに俺は仕事を優先したんだ。
そして、、、、


~湖キャンプ~

・「佳代、、、、」

・ミズキ
「誰ですか?」

ミズキに起こされた。

・「あれ?俺、寝てた?」

・ミズキ
「かなりうなされてましたね。」

ミズキが起こしてくれたのか。
てか、ミズキさん怒ってない?

・ミズキ
「現場に居なかったとは言え、一言も言わずに去って行くのはどうかと思います。置手紙は嬉しかったですけど。」

そう言えばそうだった。
ミズキは別件で動いていて逢えなかった。
なので仕方なく置手紙をしてたんだ。

・「よくここが解ったね。」

・ミズキ
「そりゃ、あなたの妻ですから。」

置手紙で逃げ出した、、、
そんな姿が重なったのかな?

・ミズキ
「ところで、佳代って誰の事ですか?
私の勘では女性な気がしますが。」

う、、、当たりです。
ミズキの勘が凄まじい。

・「俺の、元の世界の嫁さんの名かな。
何故だろう?今まで忘れていた。」

俺はあの後どうなった?
佳代はあれから幸せをつかんだか?
何も、、、何も解らない。

・ミズキ
「元の世界の奥様、、、。
だ、大丈夫ですか?顔色が、、、
直ぐにリーシュを連れてきます。」

そう言ってミズキが出て行った。
リーシュも来ているのか?
彼女は大丈夫だろうか?
魔物化の後遺症は無いと思うが。

俺がオルドラ王国に戻ってから、彼女は『おじいちゃんの所に言って来る』と言って別れた。
それからは逢っていない。
そんな彼女に手紙を渡して欲しいとギルドのローズさんにお願いした。それが無事に届いたって事かな?

暫くするとみんながやって来た。
セリスとマルチ。
ミズキとリーシュ。

・セリス
「大丈夫か?ライオット。」

・マルチ
「良かった、起きてくれた。」

やけに心配してますな?

・リーシュ
「ライオットさん。」

リーシュが俺に魔力を流し始めた。
治療と言うより何か調べている感じかな?

・「何か心配かけたみたいだね?」

・セリス
「お前はあれから2日寝込んでいた。
ずっとうなされながらな。」

マジで?
また寝込んでたの?

・マルチ
「ライオットが寝込んでから直ぐにミズキとリーシュが来ました。それからずっとリーシュが看病してくれてたよ?」

また世話を掛けてしまったらしい。

・「そうだったのか、、、
いつもすまない、ありがとう。」

素直に謝っておいた。
しかし人ってそんなに寝込むもんだろうか?

・リーシュ
「私が来た時は体の内部の部位が切れていました。どんな攻撃を受けたのか知りませんが、とても動ける状態ではありませんでした。回復魔法で体の方は直ぐに完治しましたが、ずっと寝込んでいたのは違う理由でしょう。何があったか解りませんが無理はしないようにして下さい。」

リーシュの回復魔法で体は回復。
しかし精神的な部分は治せなかった。
俺はそう感じた。

『精神自動回復』

これは女神さんから貰ったスキルだ。
この能力は考えられて与えられたのか?

それよりも気になる事が一つ。
リーシュも怒ってない?

・リーシュ
「お手紙を読ませて貰いました。
出来れば直接お話に来てほしかった。」

う、、、すみません。
言い訳になりますが、、、
リーシュの居場所が解らなかったのです。

・「誠に申し訳ない、、、」

思い越せばやけに急いでいたよな。
何で俺はあんなに焦っていたのだろう?
何から逃げようとしてたのかな?

・セリス
「まあ良いじゃねえか。
こうして無事に逢えたんだし。」

セリスが二人をなだめている。

・リーシュ
「私は怒っています。
でもそれ以上に心配なんです。
本当に大丈夫ですか?」

再度確認してくるリーシュ。
そんなに顔色悪いのかな?

・「ん~、大丈夫だと思う。」

俺は体を動かしてみる。
うん、もう大丈夫そうだ。

・リーシュ
「元の世界の奥様の事です。
それに、ライオットさんは元の世界で。」

・マルチ
「リーシュ!そこまでにして。
まだ早い。」

マルチがリーシュを止める。
何があったのかな?
まだ早いって何の事だろう?

・ミズキ
「気にしないでください。
今はゆっくりとお休みになって。
今日からは私もずっと一緒に居ますから。」

ミズキが優しく頭を撫でてくれた。
彼女に先程までの怒りは感じられない。
俺が寝ている間に何があったのだろう?

・リーシュ
「わ、私は少し外の風に当たってきます。」

リーシュが出て行った。

・セリス
「女神に教えられたお前の過去。
約束通りミズキとリーシュに話したぜ。
今はリーシュを一人にしてやろう。
きっと怒りで一杯だ。」

俺の過去?
そう言えばあの時に女神さんに聞いたセリスとマルチは知ってるんだったな。
俺の過去の話を聞くと怒りが湧いてくるのか。
一体どんな人生を歩んでるんだ?

佳代が出て行った後、俺はどうした?

・「う、、、」

頭が痛い、、、

・マルチ
「今は休んで。」

マルチが俺に休むように促す。
何も考えるなって事か?

・ミズキ
「ご所望であれば私がご奉仕いたしますよ?
セリスとマルチじゃその気になれないでしょう?」

ミズキがとんでもない事を言い出した。
だがセリスとマルチは怒らない。
この空気を変えようとしてくれてるのかな?

・「色々と心配かけたね。
もう大丈夫だよ。
今日は何も考えずに休むことにするよ。
ミズキもありがとう。」

・ミズキ
「では。」

徐に服を脱ごうとするミズキ。
ありがとうってそう言う意味じゃないから。
セリスもマルチも止めて。

・セリス
「その、なんだ、、、
気が紛れるなら私も頑張るよ。」

・マルチ
「良く知らないけどミズキに教えて貰う。」

何で二人もその気になってるの?
マジで?、、、あれ?マジで?
これは、、、断らない方が、、、

・リーシュ
「何してるんですか!
ライオットさんは病人なんですよ!」

リーシュに止められてしまった、、、
ありがたいやら悔しいやら、、、
正直に言うと残念で仕方ないです。
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