完璧な悪役になってみせる

ミカン

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転生編

第四話

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あの後も別に問い詰められることなく終わった。僕に興味がないのかよくわからないけど助かった!

あれからしばらく経ってもルーダさんとの魔法の特訓が続いている。
ルーダさんは話しやすくて、面白くて、なにより物知りで大好きだ。




「ヴァレリウス。もうわしには教えることはない。」

「え?どうして?僕まだ知りたいこと沢山あるんだよ。」

「いや、お前はもうなんでもできる。そして正しい使い方をな。」

まってよ。いきなりすぎて理解ができない。さっきまで楽しくお話ししていたのに…。

「嫌だ。」

そんなこと納得できなくて涙がでてくる。確かに、魔法のコントロールは大体できるし、瞬間移動だってもう使える。他の魔法も基礎はできるようになったけど!

「ヴァレリウス、わしは基本を教えると言ったじゃろ?」

「でも……でも、、」

「お前はまだ泣き虫なんだな。ゆう。」

「へ?」

懐かしい名前を聞いてびっくりして顔を上げた。そこにいたのはルーダさんでもなく翔にいちゃんだった。

「翔…にいちゃん?」

「よっ!久しぶり。」

「なんで?」

「ゆうのことが心配でさ、神様に少しでいいから手助けさせてくれって頼んだんだよ。でも、もう時間だ。」

「やだ!嫌だよ。まだ僕を助けてよ。」

「ダメだよ。ゆう。正体を明かしたら強制送還だから。もう、帰るよ。」 

「なんで?ずっと一緒にいたい。」

「ゆうはこの世界で頑張るんだろう?」

翔にいちゃんの姿がだんだん薄なる。目に涙が溜まって、よく見えないのか、それとも本当に薄くなっているのか。

「嫌だ!嫌!行かないで!」

「ゆう、お前はずっーと泣き虫だな。最強の悪役になるんだろ?」

「____っ!グスッ!」

「うまくできたら、褒めてやるからな。」

「約束だよ。」

「あぁ。約束。」

「ゆう。ごめんな。あの時一人にして、ゆうと同じ年くらいの男の子が車で轢かれそうだった。考えるより体が動いちゃったんだ。まさかゆうも一緒だとは思わなかったけどな。俺たち似てたのかもな。俺はずっとお前を見守ってる。辛くなったら周りをよく見ろ。」

「うん。うん!」

「じゃあな。」

「___っ!じゃあね!翔にいちゃん!」



翔にいちゃんにまた会えたことに嬉しさを感じると同時に、僕は翔にいちゃんとルーダさんという師匠を同時に失ってしまったんだという喪失感をあった。

「うぅ。う…。」

涙が止まらなくてしばらく動けなかった。



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