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第一章 海神ポセイドン

6話 Grateful Days

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キーッなんですのこいつらは?
せっかく護衛が戦ってる間に逃げてはぐれたふりをして1人で森に入って魔物をたくさんぶっ殺してさしあげるつもりでしたのに!
まぁでも愉快そうな奴らでもありますわね。  

領主の娘ということで普段淑女を装っているためグィネヴィアはストレスがたまり、その発散にたまーに何かと理由をつけ少数の護衛と出かけては、はぐれたふりをして魔物などを蹂躙していたのだ!!

そしてまた彼女にはあったのだ!
魔法と格闘の天賦の才が。

小さい頃からお嬢様として育てられた事に退屈を感じ、コソコソと隠れては修練をしていた彼女はそこいらの魔物なんかでは到底歯が立たないほどに強くなっていた。

ハァッ人前だからまたしばらく猫をかぶらなくてはなりませんね…
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ガラガラガラガラ

俺達を乗せた馬車がすすんで行く。

『なぁお嬢様トロイアってどんな所だ??』

『トロイアは海に面した港街でしてよ。豊富な魚を使った料理やパールの装飾品が有名ですわ。』

『おっ!魚料理か。
日本人の俺としては嬉しいな』

『日本人とはなんですの??』

『あー、俺ら別の世界で死んでなんかこっちの世界の神様ってのに呼ばれたさーね。前の世界の種族が日本人って言うんだ。』

『俺は異世界生まれ 異世界育ち 悪そうな奴は大体友達♪』

『『………』』

…俺が悪かった!だから静かにならないでくれ頼む!!

『神様に呼ばれてこの大陸にいるって事はあなた方はポセイドン様の使徒ですの?』

『ポセイドン??』
そういやあのジジイの名前なんて聞いてなかったな…
知らねーから適当に答えとくか
『あー多分そうじゃねーか?
俺もわかんねーけど。』

キキーッ

話をしている間にどうやら街についたようだ。

街へ入るための検問の列が少しできている。

その列の脇を通り警備兵と護衛が話をしている

『グィネヴィアお嬢様と迂闊にも我々が魔物に囲まれた時に助けてくれた方二人だ。グィネヴィア様がお礼に屋敷へと案内さしあげるそうだ。』

『ならば俺は領主レオデグランス様へ先にお話を通しておこう。』

そう言って一人の警備兵が駆けていった

そうしてトロイアの街にたどり着いた俺達は領主の屋敷へと案内される事になった

『おーっ!グィネヴィアよ
帰りが遅いから心配しておったぞ!』

『もうっお父様ったら心配性過ぎることでしてよ。』

『それでこっちの二人がグィネヴィアを助けてくれたという』

『背の大きいかたがシロウさんで、スリムなかたがダイスケさんでしてよ。』

『シロウにダイスケよ、よくぞ娘を守ってくれた!感謝するぞ。』

『気にすんなって。
困っている女性がいたら男として放っておけねーだけだからよ。』

『ムムッ』

『お父様このお二人は違う世界からいらしたみたいで、こちらの常識やしきたりに言葉遣いをお知りにならないみたいですので許してさしあげて欲しいのですわ』

『そうか。グィネヴィアの命に比べたらそんな些末な事くらい目を瞑ろう。』

おっ!どうやら喋り方とかこのまんまでいいみてーだな。
敬語だ作法だなんて、知らねーし面倒くせーからな。

『ところで違う世界とは?
おっといかんな、グィネヴィアを助けてくれた恩人だと言うのにこのまま話を続ける訳には。』

『オイッこの二人の休める部屋をすぐに用意しろ。それから食事の用意だ!上等な酒も忘れるなよっ!』

『こっちにきてこんなにすぐに飯と酒にありつけるとは思わなかったさー♪』

酒と聞いてダイスケがご機嫌になる

『では二人とも部屋を用意させるのでしばしゆるりと休憩していただきたい。その間に食事もできよう。』

『サンキュっ!そうさせてもらうわ』

そして少し待つとメイドに案内され部屋へとついていく。

『こっちの世界の初めての飯か楽しみだな』

『酒がうまかったらそれでOKさー』

この世界に来た時はどうなる事かと思ったけど、案外なんとかなるもんだな

ダイスケとそんな事を話ながら楽しみに食事を待つことにした。
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