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だから私はレベル上げをしない
その馬車の行き先は 2
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「うっ!?そ、それは・・・」
アリーが思うセラフという女性は、他人に結婚相手を決められる事など、断固として拒否する人間であった。
彼女の説得の言葉は、そんなセラフ像からきたものだ。
そしてそれは確かに、セラフの性格を言い当てており、そのため彼女はそれに反論することが出来ない。
例えそのお見合いの相手が思ったよりもずっといい男であったため、このまま結婚するのも悪くはないかなと思っていたとしても。
「ま、まぁ!確かに、アリーの言う通りかもね!!私も始めから乗り気じゃなかったし?お母様に言われたから仕方なく付き合ってただけなんだから!!」
「うん、そうだよねセラフ。ほら、もう落ち着いたでしょ?ね、ここに座ろ?」
自分のイメージを守るためには、ここは強がるしかない。
そう判断したセラフは、アリーの言葉に同意すると、お見合いなんて乗り気ではなかったと強調し始める。
それは彼女の本心でもあったため、誰にも見破ることの出来ない演技となっていた。
「・・・それで結局、アレは持ってきているのか?どうなんだ?」
「あれ?何の話よ?」
アリーに肩を抱かれ、ゆっくりと自分の席へと戻っていくセラフに、僅かに苛立った様子のマックスが再び尋ねてくる。
それに初耳かのような反応を返したセラフは、まるで心当たりがないと首を捻って見せていた。
「え、えっとねセラフ!その・・・こんな感じの小物なんだけど、セラフにあげたっていう人がいたの。心当たり、ない?」
「えぇ?そんなの、知らない・・・あぁ!もしかして、あれの事かしら?」
苛立つマックスは、セラフの明らかにピンときていない反応に思わず舌打ちを漏らしてしまう。
そんな彼の反応に、セラフもまた苛立つ様子を見せて、俄かに湧き立った一触即発な空気を、アリーは必死に和ませようと声を上げる。
その説明に始めは心当たりがなさそうな反応を見せたセラフはしかし、途中で何かを思い出すと明らかに心当たりがある様子を見せていた。
「何!?どこだ、どこにある!!?」
「・・・何よ、がっついちゃって。これでしょ、はい」
セラフの言葉に、必要なアイテムがようやく手に入ると興奮するマックスは、前のめりになって彼女へと迫る。
セラフはそんなマックスの姿に若干がっかりした様子を見せては、自らの胸元からそこに埋もれたペンダントを取り出していた。
「なんかちょっと可愛い形してたから、ペンダントに加工してもらったの」
「そ、そうなんだ・・・えっとセラフ、これ外せる?」
「うん、嵌めてるだけだから。ここを、こうして・・・ほら」
セラフが胸元から取り出したペンダントには、確かにマックス達が必要としていたアイテムが嵌めこまれていた。
その姿に、アイテムとしての力が失われていないかと心配するアリーは、それを彼女へと尋ねる。
アリーの言葉に胸元のペンダントを軽く弄っては、そこからアイテムを取り外したセラフはそれを彼女へと差し出していた。
「寄越せ!!」
「はぁ!?何よ、あんたいきなり!!何?私の温もりが残ってるから、そんなに急いでんの?やーねー、そういうのもセクハラになるんだからね!!」
セラフがペンダントから取り外し、顕になった目的のアイテムに、マックスはすぐさま手を伸ばしていた。
しかしその突然の動きは当然セラフに警戒され、彼女はそれを抱え込むように握り締めては、マックスから遠ざかるように距離をとっている。
「いいから、寄越せっていってるだろ!この馬鹿女!!」
「はーーー!!!なーにが、馬鹿女よ!!この年中日焼け男!!あーぁ、昔は色白で可愛かったのになぁ!!あの可愛らしかったマックス君は、一体どこにいっちゃったのかしら!?」
目的のアイテムを守るように抱きかかえているセラフに、マックスは早く寄越せと掴みかかろうとしていた。
流石にそれは不味いと、その振る舞いはウィリアムによって制止されていたが、その口までは抑えることが出来ない。
彼が口にしたストレートな侮辱の言葉にセラフも反応すると、それに何倍にもするように文句を捲くし立て始めていた。
「あ、あわわ・・・ど、どうしようどうしよう!う、うぅ・・・私が何とかしないと。き、聞いて、セラフ!!」
「・・・何よ、アリー」
言い争いを始めてしまった二人に、その間に挟まれたアリーはわたわたと戸惑うばかり。
しかしマックスを抑えるだけで手一杯のウィリアムの姿を見れば、ここを何とか出来るのは自分だけだと悟り、決意した彼女は声を張り上げると自らに注目を集める。
「え、えっとね。その、実は・・・私達がここにきたのは、そのアイテムが欲しかったからなの」
そして、彼女は話していた。
彼らが、ここへとやってきた目的を。
アリーが思うセラフという女性は、他人に結婚相手を決められる事など、断固として拒否する人間であった。
彼女の説得の言葉は、そんなセラフ像からきたものだ。
そしてそれは確かに、セラフの性格を言い当てており、そのため彼女はそれに反論することが出来ない。
例えそのお見合いの相手が思ったよりもずっといい男であったため、このまま結婚するのも悪くはないかなと思っていたとしても。
「ま、まぁ!確かに、アリーの言う通りかもね!!私も始めから乗り気じゃなかったし?お母様に言われたから仕方なく付き合ってただけなんだから!!」
「うん、そうだよねセラフ。ほら、もう落ち着いたでしょ?ね、ここに座ろ?」
自分のイメージを守るためには、ここは強がるしかない。
そう判断したセラフは、アリーの言葉に同意すると、お見合いなんて乗り気ではなかったと強調し始める。
それは彼女の本心でもあったため、誰にも見破ることの出来ない演技となっていた。
「・・・それで結局、アレは持ってきているのか?どうなんだ?」
「あれ?何の話よ?」
アリーに肩を抱かれ、ゆっくりと自分の席へと戻っていくセラフに、僅かに苛立った様子のマックスが再び尋ねてくる。
それに初耳かのような反応を返したセラフは、まるで心当たりがないと首を捻って見せていた。
「え、えっとねセラフ!その・・・こんな感じの小物なんだけど、セラフにあげたっていう人がいたの。心当たり、ない?」
「えぇ?そんなの、知らない・・・あぁ!もしかして、あれの事かしら?」
苛立つマックスは、セラフの明らかにピンときていない反応に思わず舌打ちを漏らしてしまう。
そんな彼の反応に、セラフもまた苛立つ様子を見せて、俄かに湧き立った一触即発な空気を、アリーは必死に和ませようと声を上げる。
その説明に始めは心当たりがなさそうな反応を見せたセラフはしかし、途中で何かを思い出すと明らかに心当たりがある様子を見せていた。
「何!?どこだ、どこにある!!?」
「・・・何よ、がっついちゃって。これでしょ、はい」
セラフの言葉に、必要なアイテムがようやく手に入ると興奮するマックスは、前のめりになって彼女へと迫る。
セラフはそんなマックスの姿に若干がっかりした様子を見せては、自らの胸元からそこに埋もれたペンダントを取り出していた。
「なんかちょっと可愛い形してたから、ペンダントに加工してもらったの」
「そ、そうなんだ・・・えっとセラフ、これ外せる?」
「うん、嵌めてるだけだから。ここを、こうして・・・ほら」
セラフが胸元から取り出したペンダントには、確かにマックス達が必要としていたアイテムが嵌めこまれていた。
その姿に、アイテムとしての力が失われていないかと心配するアリーは、それを彼女へと尋ねる。
アリーの言葉に胸元のペンダントを軽く弄っては、そこからアイテムを取り外したセラフはそれを彼女へと差し出していた。
「寄越せ!!」
「はぁ!?何よ、あんたいきなり!!何?私の温もりが残ってるから、そんなに急いでんの?やーねー、そういうのもセクハラになるんだからね!!」
セラフがペンダントから取り外し、顕になった目的のアイテムに、マックスはすぐさま手を伸ばしていた。
しかしその突然の動きは当然セラフに警戒され、彼女はそれを抱え込むように握り締めては、マックスから遠ざかるように距離をとっている。
「いいから、寄越せっていってるだろ!この馬鹿女!!」
「はーーー!!!なーにが、馬鹿女よ!!この年中日焼け男!!あーぁ、昔は色白で可愛かったのになぁ!!あの可愛らしかったマックス君は、一体どこにいっちゃったのかしら!?」
目的のアイテムを守るように抱きかかえているセラフに、マックスは早く寄越せと掴みかかろうとしていた。
流石にそれは不味いと、その振る舞いはウィリアムによって制止されていたが、その口までは抑えることが出来ない。
彼が口にしたストレートな侮辱の言葉にセラフも反応すると、それに何倍にもするように文句を捲くし立て始めていた。
「あ、あわわ・・・ど、どうしようどうしよう!う、うぅ・・・私が何とかしないと。き、聞いて、セラフ!!」
「・・・何よ、アリー」
言い争いを始めてしまった二人に、その間に挟まれたアリーはわたわたと戸惑うばかり。
しかしマックスを抑えるだけで手一杯のウィリアムの姿を見れば、ここを何とか出来るのは自分だけだと悟り、決意した彼女は声を張り上げると自らに注目を集める。
「え、えっとね。その、実は・・・私達がここにきたのは、そのアイテムが欲しかったからなの」
そして、彼女は話していた。
彼らが、ここへとやってきた目的を。
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