138 / 210
第二章 王国動乱
頼もしい仲間達
しおりを挟む
「せーの!!」
その小さな掛け声の後には、大きな打撃音が響き、やがて何かがゆっくりと倒れ伏せていくような湿った物音が響いていた。
ここは王獄バスバレイ、その数得きれないほどにある関門の一つ。
ユーリ達一行は、そこを守っていた門番を近くで拾った手ごろな瓦礫で殴り倒すと、彼が持っているであろう門の鍵を探っていた。
「えーっと、えーっと・・・どこだどこだ?」
「兄さん早く!追っ手がすぐそこまで来てますぜ!」
「分かってます!ん、これは・・・あった!ありましたよ、エディさん・・・って、えぇ!?この中から合う奴を探すの!?」
通路の角へと陣取り、そこから向こう側へと顔を覗かせているエディは追っ手が迫っているとユーリを急かす。
それにさらに慌てて門番の身体を弄ったユーリはようやく目当てのものを見つけるが、その鍵束には数得るのが嫌になるほどの鍵がぶら下がっていたのだった。
「・・・開いたぞ」
「えーっと、えーっと、どれだどれだ・・・って、えぇ!?もう開いたのぉ!?」
ユーリがその鍵束から合いそうな鍵を探して激しく焦っていると、その目の前で門が開く錆びついた金属音が響き、その傍らに立っていたデズモンドが声を掛けてくる。
その声に顔を上げ、開いた門を目にしたユーリは驚き、思わずその手にしていた鍵束を放り投げてしまっていた。
「ははっ、流石は『怪盗デズモンド』だ!腕は鈍っちゃいないようですね、旦那!!」
「・・・その名はもう捨てた」
門が開いたのを耳にしたエディは素早く駆け寄ってくると、デズモンドのその太い二の腕を肘で突いては茶化している。
デズモンドはそんなエディに迷惑そうに目を細めると、そうぼそりと呟いていた。
「ははっ、こりゃ失礼。とにかく門も開いたんだ、先を急ぎやしょう!ほら、兄さんも急いで!」
エディはデズモンドに笑いながら謝ると、先を急ぐ。
彼に促されたデズモンドも開錠に使ったヘアピンを元に戻すとその後を追い、シャロンもそれに加わる。
「え?驚いてるのって、俺だけなの?」
そんな彼らの姿を、ユーリは一人納得がいっていない表情で見詰めていたのだった。
「困ったわね・・・」
そう口にするシャロンの視線の先には、看守達の一団が屯して警戒している姿があった。
指折り数得ている間にもはやそれでは足りなくなった看守達、そんな数相手に戦うのは現実的ではなく、さらに増援を呼ばせる前に片づけなければならないことを考えると、もはや夢想の類だろう。
「ま、確かにあの数じゃ腕っぷしでどうこうとは参りませんわな・・・そんな時こそ、あっしの出番てなもんで。ま、任せといてくださいな」
「エディさん・・・」
そんな絶望的な状況に、エディがひょっこりと顔を覗かせると気軽な様子で前へと進み出ていく。
彼のその気軽な様子に、ユーリは心配そうな表情を見せていた。
「心配しなくても大丈夫よユーリちゃん。何てったって、エディちゃんはあの悪名高い―――」
そんなユーリの肩へとシャロンは手を掛けると、彼を安心させるような笑顔を見せる。
シャロンは彼にエディのかつての悪行を聞かせることで安心させようとしていたが、それは途中で遮られてしまっていた。
「あ、あ、あ、あれは何ですか、シャロンさん!?」
ユーリは何かに驚くように目を見開き、それを示すように指を指している。
「あぁ、あれ?あれはエディちゃんの『仕込み足』よ。何でも特別な仕掛けがあって、身長をある程度自由に操れるんですって。仕組みを一度説明された事はあったと思うのだけど・・・ごめんなさい、私には何が何だかさっぱりで、良く憶えてないの」
ユーリの視線の先には、いつの間にかっぱらっていたのか看守の制服を着込んだエディの姿が。
その身長は明らかに先ほどまでの小柄な彼から一変しており、今ではユーリよりも高いぐらいになっていた。
「そ、そんな事が可能なんですか!?」
「さぁ?でも実際にやってるんだから出来るんでしょう?それよりもほら、エディちゃんが看守をどこかにやったわよ。今の内に急ぎましょ」
ユーリの目の前で起きた信じられない事態、しかしシャロンはそれを何でもない事のように口にする。
見れば、デズモンドもそれを特に不思議には思っていないようで、いつものむっつりとした視線をユーリへと向けていた。
そしてユーリが一人そんな事に戸惑っている内に、どうやらエディが仕事終えたようで、彼はこちらへと早く来いと頻りに手招きしていたのだった。
「えぇ・・・俺がおかしいのかな?」
その姿は既にいつもの小柄なエディの姿へと戻っており、それに戸惑うユーリを置き去りにシャロンとデズモンドの二人は駆けていく。
そんな二人の姿を見詰めながら頭を掻いていたユーリも、しつこく手を振るエディに促されやがて駆け出し始めていた。
「うわぁ!?」
王獄バスバレイ、その悪名高い監獄からの脱獄は一筋縄ではいかない。
それは今まさに、ユーリ達一行がボロボロに錆びついた鉄の手すりにぶら下がりながら、何とか進もうとしている姿からも垣間見えた。
そしてさらにそれを象徴するのは、それが経年の劣化のため折れ、それを掴んだまま下へと落ちてしまったユーリの姿にあった。
「ユーリちゃん!?待ってて、今行くわ!!」
二階分には足らないほどの高さからだろうか、そこから落ちてしまったユーリにシャロンが慌てて自分もそこから飛び降りる。
すぐさま飛び降りた彼を追ってデズモンドも続き、エディは若干躊躇いながらも覚悟を決めると、目を瞑っては飛び降りていた。
「大丈夫、ユーリちゃん?」
「はい、何とか・・・」
「そう、良かった」
シャロンによって優しく助け起こされたユーリには、どうやら目立った怪我はなさそうだった。
それに安堵し、胸を押さえるシャロン。
「姉さん!安心してる場合じゃないみたいですぜ!!」
「・・・追っ手だ」
そんなシャロンとユーリを取り囲むように立ったエディとデズモンドは、通路の先へと顔を向けると警戒の声を上げる。
耳を澄ませば、確かにこちらへと近づいてくる看守達のバシャバシャと水を跳ねさせている音が響いていた。
「1・・・2・・・うぅん、対した数じゃないみたいね。ユーリちゃん、何か武器に出来そうなもの持ってない?」
エディ達の声に耳を澄ませたシャロンは、こちらに近づいてくる看守の数がそう多くないと看破するとスッと立ち上がる。
そして彼はユーリへと手を伸ばすと、何か武器はないかと尋ねていた。
「えっ、ぶ、武器ですか?こ、こんなもので良ければ・・・」
シャロンの要求にユーリは辺りをキョロキョロと見まわすが、そこに武器になりそうなものはない。
そのため彼はそれを差し出すしかなかった、ここへと落ちる際に一緒に落ちてきたボロボロの細い鉄製の手すりの残骸を。
「あら、十分よ。それじゃ、ちょっと待っててね。ふんふんふふーん」
ユーリからそれを受け取りニッコリと微笑んだシャロンは、それをステッキのように振り回しながら、ちょっとそこいらにでも散歩に行くような足取りで近づいてくる看守達の下へと向かっていた。
「シャ、シャロンさん?一体何を・・・駄目ですよ、そっちは!」
「兄さん、心配いりやせん。というか、姉さん相手にそんな心配するだけ損ってもんでさぁ」
看守が近づいてくる方へとそんな頼りない武器を手に向かっていくシャロンに、ユーリは驚き止めようと手を伸ばす。
そんな彼にエディはポンと手を掛けると、心配の必要はないとゆっくりと首を横に振っていた。
「ちょっとエディちゃん!ユーリちゃんに変なこと吹き込まないでもらえる!?」
「おっと!こいつはいけねぇ、俺としたことが姉さんの機嫌を損ねちまうとは・・・さっきのは忘れてくだせぇ兄さん。いやなに、すぐに分かりやすから」
ユーリへと何やら吹き込んでいるエディの声を聞き咎めたシャロンから鋭い声が飛び、エディはその声に頭をパシンと叩いては気まずそうに笑みを浮かべている。
そうして肩を竦めたエディはユーリの脇腹を肘で突くと、シャロンの方を見ているように促していた。
「あら、お仕事ご苦労様」
「な、何だお前は?ま、まさかこいつが例の脱獄犯なのか?おい、いたぞ―――」
何の気負いもなく真っ直ぐ歩くシャロンはやがて、看守達へと鉢合わせとなる。
彼らに鉢合わせしてもその余裕の態度を変えないシャロンは彼らへと頭を下げ優雅に挨拶するが、彼のそんな態度は凶悪な脱獄犯を追っていた筈の看守達を戸惑わせていた。
「そしてお休みなさい。ふふっ、まだ休憩の時間には早いかしら?」
それでも脱獄犯を見つけたと叫ぼうとした看守達、しかし彼らがそれを口にする事はなかった。
何故ならその前に、目にも止まらぬ早業でシャロンが彼らを打ち倒してしまったからだ。
「皆~、終わったわよー」
一瞬の内に看守達を薙ぎ倒したシャロンは、すっかりひん曲がってしまったボロボロの手すりを放り捨てると、ヒラヒラと手を振りユーリ達を呼び寄せる。
その合図に、エディとデズモンドがそちらへと駆けだしていた。
その反応の速さは、まるで始めからそうなる事が分かっていたかのようだった。
「は、ははは・・・皆、何者なの?」
そんな彼らの中で一人、目の前の事態が良く呑み込めていないユーリは顔を引きつらせている。
彼はやがて戻って来たシャロンに無理やり腕を組まれると、そのまま引きずられていくのだった。
その小さな掛け声の後には、大きな打撃音が響き、やがて何かがゆっくりと倒れ伏せていくような湿った物音が響いていた。
ここは王獄バスバレイ、その数得きれないほどにある関門の一つ。
ユーリ達一行は、そこを守っていた門番を近くで拾った手ごろな瓦礫で殴り倒すと、彼が持っているであろう門の鍵を探っていた。
「えーっと、えーっと・・・どこだどこだ?」
「兄さん早く!追っ手がすぐそこまで来てますぜ!」
「分かってます!ん、これは・・・あった!ありましたよ、エディさん・・・って、えぇ!?この中から合う奴を探すの!?」
通路の角へと陣取り、そこから向こう側へと顔を覗かせているエディは追っ手が迫っているとユーリを急かす。
それにさらに慌てて門番の身体を弄ったユーリはようやく目当てのものを見つけるが、その鍵束には数得るのが嫌になるほどの鍵がぶら下がっていたのだった。
「・・・開いたぞ」
「えーっと、えーっと、どれだどれだ・・・って、えぇ!?もう開いたのぉ!?」
ユーリがその鍵束から合いそうな鍵を探して激しく焦っていると、その目の前で門が開く錆びついた金属音が響き、その傍らに立っていたデズモンドが声を掛けてくる。
その声に顔を上げ、開いた門を目にしたユーリは驚き、思わずその手にしていた鍵束を放り投げてしまっていた。
「ははっ、流石は『怪盗デズモンド』だ!腕は鈍っちゃいないようですね、旦那!!」
「・・・その名はもう捨てた」
門が開いたのを耳にしたエディは素早く駆け寄ってくると、デズモンドのその太い二の腕を肘で突いては茶化している。
デズモンドはそんなエディに迷惑そうに目を細めると、そうぼそりと呟いていた。
「ははっ、こりゃ失礼。とにかく門も開いたんだ、先を急ぎやしょう!ほら、兄さんも急いで!」
エディはデズモンドに笑いながら謝ると、先を急ぐ。
彼に促されたデズモンドも開錠に使ったヘアピンを元に戻すとその後を追い、シャロンもそれに加わる。
「え?驚いてるのって、俺だけなの?」
そんな彼らの姿を、ユーリは一人納得がいっていない表情で見詰めていたのだった。
「困ったわね・・・」
そう口にするシャロンの視線の先には、看守達の一団が屯して警戒している姿があった。
指折り数得ている間にもはやそれでは足りなくなった看守達、そんな数相手に戦うのは現実的ではなく、さらに増援を呼ばせる前に片づけなければならないことを考えると、もはや夢想の類だろう。
「ま、確かにあの数じゃ腕っぷしでどうこうとは参りませんわな・・・そんな時こそ、あっしの出番てなもんで。ま、任せといてくださいな」
「エディさん・・・」
そんな絶望的な状況に、エディがひょっこりと顔を覗かせると気軽な様子で前へと進み出ていく。
彼のその気軽な様子に、ユーリは心配そうな表情を見せていた。
「心配しなくても大丈夫よユーリちゃん。何てったって、エディちゃんはあの悪名高い―――」
そんなユーリの肩へとシャロンは手を掛けると、彼を安心させるような笑顔を見せる。
シャロンは彼にエディのかつての悪行を聞かせることで安心させようとしていたが、それは途中で遮られてしまっていた。
「あ、あ、あ、あれは何ですか、シャロンさん!?」
ユーリは何かに驚くように目を見開き、それを示すように指を指している。
「あぁ、あれ?あれはエディちゃんの『仕込み足』よ。何でも特別な仕掛けがあって、身長をある程度自由に操れるんですって。仕組みを一度説明された事はあったと思うのだけど・・・ごめんなさい、私には何が何だかさっぱりで、良く憶えてないの」
ユーリの視線の先には、いつの間にかっぱらっていたのか看守の制服を着込んだエディの姿が。
その身長は明らかに先ほどまでの小柄な彼から一変しており、今ではユーリよりも高いぐらいになっていた。
「そ、そんな事が可能なんですか!?」
「さぁ?でも実際にやってるんだから出来るんでしょう?それよりもほら、エディちゃんが看守をどこかにやったわよ。今の内に急ぎましょ」
ユーリの目の前で起きた信じられない事態、しかしシャロンはそれを何でもない事のように口にする。
見れば、デズモンドもそれを特に不思議には思っていないようで、いつものむっつりとした視線をユーリへと向けていた。
そしてユーリが一人そんな事に戸惑っている内に、どうやらエディが仕事終えたようで、彼はこちらへと早く来いと頻りに手招きしていたのだった。
「えぇ・・・俺がおかしいのかな?」
その姿は既にいつもの小柄なエディの姿へと戻っており、それに戸惑うユーリを置き去りにシャロンとデズモンドの二人は駆けていく。
そんな二人の姿を見詰めながら頭を掻いていたユーリも、しつこく手を振るエディに促されやがて駆け出し始めていた。
「うわぁ!?」
王獄バスバレイ、その悪名高い監獄からの脱獄は一筋縄ではいかない。
それは今まさに、ユーリ達一行がボロボロに錆びついた鉄の手すりにぶら下がりながら、何とか進もうとしている姿からも垣間見えた。
そしてさらにそれを象徴するのは、それが経年の劣化のため折れ、それを掴んだまま下へと落ちてしまったユーリの姿にあった。
「ユーリちゃん!?待ってて、今行くわ!!」
二階分には足らないほどの高さからだろうか、そこから落ちてしまったユーリにシャロンが慌てて自分もそこから飛び降りる。
すぐさま飛び降りた彼を追ってデズモンドも続き、エディは若干躊躇いながらも覚悟を決めると、目を瞑っては飛び降りていた。
「大丈夫、ユーリちゃん?」
「はい、何とか・・・」
「そう、良かった」
シャロンによって優しく助け起こされたユーリには、どうやら目立った怪我はなさそうだった。
それに安堵し、胸を押さえるシャロン。
「姉さん!安心してる場合じゃないみたいですぜ!!」
「・・・追っ手だ」
そんなシャロンとユーリを取り囲むように立ったエディとデズモンドは、通路の先へと顔を向けると警戒の声を上げる。
耳を澄ませば、確かにこちらへと近づいてくる看守達のバシャバシャと水を跳ねさせている音が響いていた。
「1・・・2・・・うぅん、対した数じゃないみたいね。ユーリちゃん、何か武器に出来そうなもの持ってない?」
エディ達の声に耳を澄ませたシャロンは、こちらに近づいてくる看守の数がそう多くないと看破するとスッと立ち上がる。
そして彼はユーリへと手を伸ばすと、何か武器はないかと尋ねていた。
「えっ、ぶ、武器ですか?こ、こんなもので良ければ・・・」
シャロンの要求にユーリは辺りをキョロキョロと見まわすが、そこに武器になりそうなものはない。
そのため彼はそれを差し出すしかなかった、ここへと落ちる際に一緒に落ちてきたボロボロの細い鉄製の手すりの残骸を。
「あら、十分よ。それじゃ、ちょっと待っててね。ふんふんふふーん」
ユーリからそれを受け取りニッコリと微笑んだシャロンは、それをステッキのように振り回しながら、ちょっとそこいらにでも散歩に行くような足取りで近づいてくる看守達の下へと向かっていた。
「シャ、シャロンさん?一体何を・・・駄目ですよ、そっちは!」
「兄さん、心配いりやせん。というか、姉さん相手にそんな心配するだけ損ってもんでさぁ」
看守が近づいてくる方へとそんな頼りない武器を手に向かっていくシャロンに、ユーリは驚き止めようと手を伸ばす。
そんな彼にエディはポンと手を掛けると、心配の必要はないとゆっくりと首を横に振っていた。
「ちょっとエディちゃん!ユーリちゃんに変なこと吹き込まないでもらえる!?」
「おっと!こいつはいけねぇ、俺としたことが姉さんの機嫌を損ねちまうとは・・・さっきのは忘れてくだせぇ兄さん。いやなに、すぐに分かりやすから」
ユーリへと何やら吹き込んでいるエディの声を聞き咎めたシャロンから鋭い声が飛び、エディはその声に頭をパシンと叩いては気まずそうに笑みを浮かべている。
そうして肩を竦めたエディはユーリの脇腹を肘で突くと、シャロンの方を見ているように促していた。
「あら、お仕事ご苦労様」
「な、何だお前は?ま、まさかこいつが例の脱獄犯なのか?おい、いたぞ―――」
何の気負いもなく真っ直ぐ歩くシャロンはやがて、看守達へと鉢合わせとなる。
彼らに鉢合わせしてもその余裕の態度を変えないシャロンは彼らへと頭を下げ優雅に挨拶するが、彼のそんな態度は凶悪な脱獄犯を追っていた筈の看守達を戸惑わせていた。
「そしてお休みなさい。ふふっ、まだ休憩の時間には早いかしら?」
それでも脱獄犯を見つけたと叫ぼうとした看守達、しかし彼らがそれを口にする事はなかった。
何故ならその前に、目にも止まらぬ早業でシャロンが彼らを打ち倒してしまったからだ。
「皆~、終わったわよー」
一瞬の内に看守達を薙ぎ倒したシャロンは、すっかりひん曲がってしまったボロボロの手すりを放り捨てると、ヒラヒラと手を振りユーリ達を呼び寄せる。
その合図に、エディとデズモンドがそちらへと駆けだしていた。
その反応の速さは、まるで始めからそうなる事が分かっていたかのようだった。
「は、ははは・・・皆、何者なの?」
そんな彼らの中で一人、目の前の事態が良く呑み込めていないユーリは顔を引きつらせている。
彼はやがて戻って来たシャロンに無理やり腕を組まれると、そのまま引きずられていくのだった。
5
お気に入りに追加
2,412
あなたにおすすめの小説
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

パーティーの役立たずとして追放された魔力タンク、世界でただ一人の自動人形『ドール』使いになる
日之影ソラ
ファンタジー
「ラスト、今日でお前はクビだ」
冒険者パーティで魔力タンク兼雑用係をしていたラストは、ある日突然リーダーから追放を宣告されてしまった。追放の理由は戦闘で役に立たないから。戦闘中に『コネクト』スキルで仲間と繋がり、仲間たちに自信の魔力を分け与えていたのだが……。それしかやっていないことを責められ、戦える人間のほうがマシだと仲間たちから言い放たれてしまう。
一人になり途方にくれるラストだったが、そこへ行方不明だった冒険者の祖父から送り物が届いた。贈り物と一緒に入れられた手紙には一言。
「ラストよ。彼女たちはお前の力になってくれる。ドール使いとなり、使い熟してみせよ」
そう記され、大きな木箱の中に入っていたのは綺麗な少女だった。
これは無能と言われた一人の冒険者が、自動人形(ドール)と共に成り上がる物語。
7/25男性向けHOTランキング1位

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。
ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。
そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。
竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体は最強になっていたようです〜
ねっとり
ファンタジー
世界一強いと言われているSSSランクの冒険者パーティ。
その一員であるケイド。
スーパーサブとしてずっと同行していたが、パーティメンバーからはただのパシリとして使われていた。
戦闘は役立たず。荷物持ちにしかならないお荷物だと。
それでも彼はこのパーティでやって来ていた。
彼がスカウトしたメンバーと一緒に冒険をしたかったからだ。
ある日仲間のミスをケイドのせいにされ、そのままパーティを追い出される。
途方にくれ、なんの目的も持たずにふらふらする日々。
だが、彼自身が気付いていない能力があった。
ずっと荷物持ちやパシリをして来たケイドは、筋力も敏捷も凄まじく成長していた。
その事実をとあるきっかけで知り、喜んだ。
自分は戦闘もできる。
もう荷物持ちだけではないのだと。
見捨てられたパーティがどうなろうと知ったこっちゃない。
むしろもう自分を卑下する必要もない。
我慢しなくていいのだ。
ケイドは自分の幸せを探すために旅へと出る。
※小説家になろう様でも連載中

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる