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第一章 最果ての街キッパゲルラ
その名はエクスカリバー
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「ふぅ・・・これで一段落ね。全く、私がいないとすぐにこれ何だから。本当、だらしないったらないわね」
書類の最後に署名を記入し、黒髪の受付嬢レジーはゆっくりと息を吐く。
その前には二つの書類の山が出来ており、彼女が今出来上がったばかりの書類を運んだ方を見れば、処理が終わった書類の方が多そうだった。
「お疲れ様です、先輩」
「あぁ、ありがとうトリニア」
一仕事終え一息入れているレジーに、トリニアがタイミングよく飲み物を差し入れる。
それに軽く礼を述べたレジーは、それに口をつけるとゆっくり背筋を伸ばしていた。
「どうですか、今日中に終わりそうですか?」
「まぁ、私に掛かればね・・・って、駄目よトリニア!前から言ってると思うけど、こういうのは毎日きっちり処理しておけばこんなに溜まらないんだから!面倒臭いからって、後回しにしてるからこうなるのよ!!」
「うぅ、耳が痛いです・・・」
レジーの背中越しに、彼女の仕事の様子を確かめるトリニア。
それに一度は自慢げに胸を反らしたレジーも、すぐに思い出したようにお説教を始める。
トリニアはそれに、縮こまっては申し訳なさそうにしていた。
「大体、貴方はいつもいつも―――」
「っ!?せ、先輩!?う、後ろ後ろ!!?」
「えぇ?貴方また適当なこと言って誤魔化そうとして、そうはいかな・・・うええぇぇぇ!!?」
縮こまるトリニアに気分を良くしたレジーは、更に語気を強めてお説教を続けようとしている。
その背後へと視線を向けたトリニアが、何かに気付き驚きの声を上げる。
それに疑いながらも振り向いたレジーは、そこに燃え上がる書類の姿を見ていた。
「あああぁぁぁぁ!!?ようやく終わらせた仕事がぁぁぁ!!?」
目の前で激しく炎上する先ほど終えたばかりの仕事の姿に、レジーはがっくりと膝をつくと頭を抱えて悲鳴を上げる。
「せ、先輩!!そんな事より早く、早く消火を!!」
「そ、そうね!今ならまだ少しは―――」
絶望に飲み込まれ全てを諦めそうになっているレジーに、トリニアはまだ諦める時じゃないと肩を揺する。
それにレジーも立ち直り、燃え盛る書類へと手を伸ばそうとしていた。
「きゃあああ!!?火事よ、火事よー!!」
「おい、不味いぞ!!そこには大事な資料が・・・」
「早く、早く水を持ってこい!!延焼を止めないと大変なことになるぞ!!」
燃え盛る書類に、そこから何とか無事なものだけでも取り出そうとしているレジー。
トリニアもまた、そんな彼女を助けようと火を消し止める方法を探して駆け出していた。
そんな二人の下に、ギルドのあちこちから悲鳴が響く。
「そんな、こっちでも!?」
響いた悲鳴に、トリニアは事務仕事するための部屋から飛び出す。
彼女が向かうのは、いつもの仕事場である受付のカウンターだ。
そこからならば、ギルドの表側も裏側も一度に見渡せる。
「・・・嘘」
そこに広がっていたのは、ギルドの至る所から火の手が上がっている光景。
「一体、何が・・・何が起こっているの?」
理解出来ない異常な光景に、トリニアは一人立ち尽くす。
その疑問に答えられる者は、この場にはいなかった。
「・・・どうして、どうしてこうなったんだ?」
そしてその疑問に答えられる者は、ここにもいなかった。
この異常事態を引き起こした張本人、ユーリはどうしてこうなったのだと頭を抱えている。
燃え盛る愛用の筆記用具、街のあちこちから聞こえてくる悲鳴、それらは全て彼が引き起こしたものだ。
しかし彼自身も、そんな結果は予想していなかったのだ。
だって、前回はこんな事にはならなかったのだから。
「あ、あぁ・・・騎士団時代に集めた、最高級の筆記用具がぁ。お給料のほとんどをつぎ込んだのに・・・」
燃え盛る愛用の筆記用具はもはや、どう見ても取り返しがつかない状態だ。
それらはユーリが騎士団時代の給料のほとんど全てをつぎ込んで集めた、市場に出回っている中で最高ランクの逸品ばかりであった。
それらが失われていく光景に、彼はがっくりと打ちひしがれている。
何よりそれらの品は、彼の能力を行使する上でも欠かせない品であったのだ。
「お、おとーさん!?ボク、どうしたらいい?どうしたらいいの!?」
「はわわわっ!?全部燃えちゃうのです、全部燃えちゃうのです!?」
絶望に蹲るユーリに、ネロは不安そうに抱き着いては涙目で縋りついている。
プティは何とか火を消し止めようと、身体を拭く用の布を手にしては火元を叩いているが、一向に成果は上がっていなかった。
「うおぉ!?何だ!?」
部屋の中心から眩しい光が迸り、ユーリは思わず手を掲げる。
「うわぁぁぁん!おとーざーん!?」
「はうっ!?な、何が起こったです!?」
その光に元々ユーリに抱き着いていたネロはその腕の力を強くし、プティも慌てて彼に抱き着くと不安そうに震えていた。
あれだけ燃え盛っていた書類や筆記用具、それらが全て燃え尽き煙が立ち込める。
「これは、名札?こんなもの、前には・・・」
カランと音を立てて何か硬質なものが、ユーリの目の前に落ちてきていた。
そこには「エクスカリバー」という、先ほどユーリが「命名」した名前が刻まれていた。
「き、君は・・・?」
開け放たれた窓に、ゆっくりと煙が薄らいでいく。
そこに現れたのは、神秘的なほどに美しい金色の髪の少女だった。
「聖剣エクスカリバー、召喚に応じ参上いたしました。マスター、ご命令を」
その少女は、自らを聖剣エクスカリバーだと名乗る。
一糸纏わぬ姿の金髪の美少女に見下ろされ、ユーリは二人の娘と共にそれを見上げる。
そんな彼らを、窓から流れ込む朝の爽やかな風だけかさらさらと撫でていた。
「ふぅ~・・・やっぱ仕事の後の湯浴みは最高だぜ!わざわざ高い金払って、お湯を用意してもらう甲斐もあるってもんだ!」
ホカホカと湯気を立てながら部屋へと入ってきた大柄な冒険者、オーソンはお湯で濡れた身体をタオルで拭きながら後ろ手で扉を閉めようとしている。
「ん、何だ・・・おい、誰だお前!?どっから入ってきた!?」
しかしその途中で、彼はその手を止める。
何故なら、部屋の中に見知らぬ人の気配を感じたからであった。
その人影はオーソンの存在に気が付くと、一目散に出口へと、つまりオーソンが今立っている場所へと向かってくる。
「ちっ!?舐めんなよ!!」
向かってくる人影に対して、オーソンは腕を伸ばす。
流石は熟練の冒険者か、彼は人影が身に纏っていた衣服を掴んでいた。
「おら、観念しろ!!あぁ!?」
彼は掴んだ衣服をそのまま引っ張り上げようとするが、その手応えはない。
それもその筈だろう、何故ならその衣服はベッドのシーツを身に纏っただけのものだったのだから。
「こ、子供だとぉ!?」
身に纏っていたシーツを剥ぎ取って現れたのは、何一つ身に纏っていないまだ年若い少年のような子供だった。
「お、おい!待てって!!何も酷い事しようってんじゃ・・・行っちまった」
不審な侵入者に対して警戒していたオーソンは、その正体が子供だったことに拍子抜けしてしまう。
そんなオーソンの隙をついて、その子供は彼の脇をすり抜けて部屋の外へと駆けだしていく。
「何だったんだ、あのガキは・・・ん?あれはどこいったんだ?確かこの辺りに置いたと思ったんだが・・・」
謎の子供が去っていった部屋で、オーソンは一人頭を掻く。
そして彼は何かを思い出すと、慌てて部屋の中を探り始めていた。
「そんなの、俺にも分かんねーよ」
オーソンが泊まっていた宿、その中庭から洗濯物のベッドシーツを奪い身に纏っている謎の子供は、
そう呟く。
それはオーソンが最初に発した言葉への、彼なりの返答だった。
書類の最後に署名を記入し、黒髪の受付嬢レジーはゆっくりと息を吐く。
その前には二つの書類の山が出来ており、彼女が今出来上がったばかりの書類を運んだ方を見れば、処理が終わった書類の方が多そうだった。
「お疲れ様です、先輩」
「あぁ、ありがとうトリニア」
一仕事終え一息入れているレジーに、トリニアがタイミングよく飲み物を差し入れる。
それに軽く礼を述べたレジーは、それに口をつけるとゆっくり背筋を伸ばしていた。
「どうですか、今日中に終わりそうですか?」
「まぁ、私に掛かればね・・・って、駄目よトリニア!前から言ってると思うけど、こういうのは毎日きっちり処理しておけばこんなに溜まらないんだから!面倒臭いからって、後回しにしてるからこうなるのよ!!」
「うぅ、耳が痛いです・・・」
レジーの背中越しに、彼女の仕事の様子を確かめるトリニア。
それに一度は自慢げに胸を反らしたレジーも、すぐに思い出したようにお説教を始める。
トリニアはそれに、縮こまっては申し訳なさそうにしていた。
「大体、貴方はいつもいつも―――」
「っ!?せ、先輩!?う、後ろ後ろ!!?」
「えぇ?貴方また適当なこと言って誤魔化そうとして、そうはいかな・・・うええぇぇぇ!!?」
縮こまるトリニアに気分を良くしたレジーは、更に語気を強めてお説教を続けようとしている。
その背後へと視線を向けたトリニアが、何かに気付き驚きの声を上げる。
それに疑いながらも振り向いたレジーは、そこに燃え上がる書類の姿を見ていた。
「あああぁぁぁぁ!!?ようやく終わらせた仕事がぁぁぁ!!?」
目の前で激しく炎上する先ほど終えたばかりの仕事の姿に、レジーはがっくりと膝をつくと頭を抱えて悲鳴を上げる。
「せ、先輩!!そんな事より早く、早く消火を!!」
「そ、そうね!今ならまだ少しは―――」
絶望に飲み込まれ全てを諦めそうになっているレジーに、トリニアはまだ諦める時じゃないと肩を揺する。
それにレジーも立ち直り、燃え盛る書類へと手を伸ばそうとしていた。
「きゃあああ!!?火事よ、火事よー!!」
「おい、不味いぞ!!そこには大事な資料が・・・」
「早く、早く水を持ってこい!!延焼を止めないと大変なことになるぞ!!」
燃え盛る書類に、そこから何とか無事なものだけでも取り出そうとしているレジー。
トリニアもまた、そんな彼女を助けようと火を消し止める方法を探して駆け出していた。
そんな二人の下に、ギルドのあちこちから悲鳴が響く。
「そんな、こっちでも!?」
響いた悲鳴に、トリニアは事務仕事するための部屋から飛び出す。
彼女が向かうのは、いつもの仕事場である受付のカウンターだ。
そこからならば、ギルドの表側も裏側も一度に見渡せる。
「・・・嘘」
そこに広がっていたのは、ギルドの至る所から火の手が上がっている光景。
「一体、何が・・・何が起こっているの?」
理解出来ない異常な光景に、トリニアは一人立ち尽くす。
その疑問に答えられる者は、この場にはいなかった。
「・・・どうして、どうしてこうなったんだ?」
そしてその疑問に答えられる者は、ここにもいなかった。
この異常事態を引き起こした張本人、ユーリはどうしてこうなったのだと頭を抱えている。
燃え盛る愛用の筆記用具、街のあちこちから聞こえてくる悲鳴、それらは全て彼が引き起こしたものだ。
しかし彼自身も、そんな結果は予想していなかったのだ。
だって、前回はこんな事にはならなかったのだから。
「あ、あぁ・・・騎士団時代に集めた、最高級の筆記用具がぁ。お給料のほとんどをつぎ込んだのに・・・」
燃え盛る愛用の筆記用具はもはや、どう見ても取り返しがつかない状態だ。
それらはユーリが騎士団時代の給料のほとんど全てをつぎ込んで集めた、市場に出回っている中で最高ランクの逸品ばかりであった。
それらが失われていく光景に、彼はがっくりと打ちひしがれている。
何よりそれらの品は、彼の能力を行使する上でも欠かせない品であったのだ。
「お、おとーさん!?ボク、どうしたらいい?どうしたらいいの!?」
「はわわわっ!?全部燃えちゃうのです、全部燃えちゃうのです!?」
絶望に蹲るユーリに、ネロは不安そうに抱き着いては涙目で縋りついている。
プティは何とか火を消し止めようと、身体を拭く用の布を手にしては火元を叩いているが、一向に成果は上がっていなかった。
「うおぉ!?何だ!?」
部屋の中心から眩しい光が迸り、ユーリは思わず手を掲げる。
「うわぁぁぁん!おとーざーん!?」
「はうっ!?な、何が起こったです!?」
その光に元々ユーリに抱き着いていたネロはその腕の力を強くし、プティも慌てて彼に抱き着くと不安そうに震えていた。
あれだけ燃え盛っていた書類や筆記用具、それらが全て燃え尽き煙が立ち込める。
「これは、名札?こんなもの、前には・・・」
カランと音を立てて何か硬質なものが、ユーリの目の前に落ちてきていた。
そこには「エクスカリバー」という、先ほどユーリが「命名」した名前が刻まれていた。
「き、君は・・・?」
開け放たれた窓に、ゆっくりと煙が薄らいでいく。
そこに現れたのは、神秘的なほどに美しい金色の髪の少女だった。
「聖剣エクスカリバー、召喚に応じ参上いたしました。マスター、ご命令を」
その少女は、自らを聖剣エクスカリバーだと名乗る。
一糸纏わぬ姿の金髪の美少女に見下ろされ、ユーリは二人の娘と共にそれを見上げる。
そんな彼らを、窓から流れ込む朝の爽やかな風だけかさらさらと撫でていた。
「ふぅ~・・・やっぱ仕事の後の湯浴みは最高だぜ!わざわざ高い金払って、お湯を用意してもらう甲斐もあるってもんだ!」
ホカホカと湯気を立てながら部屋へと入ってきた大柄な冒険者、オーソンはお湯で濡れた身体をタオルで拭きながら後ろ手で扉を閉めようとしている。
「ん、何だ・・・おい、誰だお前!?どっから入ってきた!?」
しかしその途中で、彼はその手を止める。
何故なら、部屋の中に見知らぬ人の気配を感じたからであった。
その人影はオーソンの存在に気が付くと、一目散に出口へと、つまりオーソンが今立っている場所へと向かってくる。
「ちっ!?舐めんなよ!!」
向かってくる人影に対して、オーソンは腕を伸ばす。
流石は熟練の冒険者か、彼は人影が身に纏っていた衣服を掴んでいた。
「おら、観念しろ!!あぁ!?」
彼は掴んだ衣服をそのまま引っ張り上げようとするが、その手応えはない。
それもその筈だろう、何故ならその衣服はベッドのシーツを身に纏っただけのものだったのだから。
「こ、子供だとぉ!?」
身に纏っていたシーツを剥ぎ取って現れたのは、何一つ身に纏っていないまだ年若い少年のような子供だった。
「お、おい!待てって!!何も酷い事しようってんじゃ・・・行っちまった」
不審な侵入者に対して警戒していたオーソンは、その正体が子供だったことに拍子抜けしてしまう。
そんなオーソンの隙をついて、その子供は彼の脇をすり抜けて部屋の外へと駆けだしていく。
「何だったんだ、あのガキは・・・ん?あれはどこいったんだ?確かこの辺りに置いたと思ったんだが・・・」
謎の子供が去っていった部屋で、オーソンは一人頭を掻く。
そして彼は何かを思い出すと、慌てて部屋の中を探り始めていた。
「そんなの、俺にも分かんねーよ」
オーソンが泊まっていた宿、その中庭から洗濯物のベッドシーツを奪い身に纏っている謎の子供は、
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