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初めてのお客様
露見した正体にカイ・リンデンバウムは焦る 4
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『そ、それが・・・先ほどから何度も控えに戻るように指示をしているのですが、受け付けてくれないのです!』
「・・・何?おいお前、控えに戻れ!ゴブリンファイター、控えに戻るんだ!!」
ヴェロニカは控えに戻るように指示を出しても、それをゴブリンファイターが受け付けてくれないと訴えている。
その言葉に眉を顰めたカイは、自ら直接その指示を出そうとそれへと命令を下す。
ダンジョンの主としての権限で、その支配下にある魔物への絶対的な命令権を持つカイであったが、果たしてそうした操作までもこの場で行う事が可能であったかは分からない。
とにかくも目の前のゴブリンファイターは、カイの指示にもピクリとも反応を示すことはなかった。
「駄目か・・・おい、お前!私について来るんだ!これも駄目・・・?一体、どういう事なんだ・・・」
『カイ様、よろしいじゃろうか?』
「ダミアンか、どうした?」
その場で控えに戻せないのなら、とにかくこの場から離れさせようと、ついて来るように命令を下したカイの言葉にもそのゴブリンは反応することはない。
問題なく行使できる筈の命令すら受け付けようとしないゴブリンの姿に、カイが戸惑っていると落ち着いた様子の老人の声が向こう側から響いてきていた。
『これは恐らくなのじゃが・・・ほれ、少し前にヴェロニカが取り乱した事があったじゃろう?』
「あぁ、あったなそんな事も。だがそれがどうした?今はそれどころでは・・・」
ヴェロニカに代わり向こう側から声を掛けてきたダミアンは、少し前に彼女が取り乱してしまった時の事を話している。
彼の言葉にそんな事もあったなと思い出したカイは、しかしそんな場合ではないとゴブリン達に目をやっていた。
『いや実は、それが今回の事に関係あると思われましての・・・」
『ダミアン!それはっ!?』
しかしダミアンはその時の事こそが、今の状況を齎しているのだと語る。
彼の思わせぶりな言葉に反応したのは、カイではなく向こう側にいるヴェロニカであった。
彼女は驚いたように大声を張り上げると、まるでそれをカイに聞かれたくないのだとでも言うように、ダミアンの言葉を遮っていた。
「ヴェロニカ、今は私がダミアンと話している。控えていろ」
『は、ははっ。申し訳ありません・・・』
しかしダミアンの意見にしか、今の状況を解決する術がないと感じているカイからすれば、ヴェロニカの行動を看過する訳にもいかない。
主としての権限を使いヴェロニカへと下がるように命令を下したカイに、彼女は逆らう訳にもいかず、ただひたすらに恐縮して謝罪の言葉を述べていた。
「・・・何?おいお前、控えに戻れ!ゴブリンファイター、控えに戻るんだ!!」
ヴェロニカは控えに戻るように指示を出しても、それをゴブリンファイターが受け付けてくれないと訴えている。
その言葉に眉を顰めたカイは、自ら直接その指示を出そうとそれへと命令を下す。
ダンジョンの主としての権限で、その支配下にある魔物への絶対的な命令権を持つカイであったが、果たしてそうした操作までもこの場で行う事が可能であったかは分からない。
とにかくも目の前のゴブリンファイターは、カイの指示にもピクリとも反応を示すことはなかった。
「駄目か・・・おい、お前!私について来るんだ!これも駄目・・・?一体、どういう事なんだ・・・」
『カイ様、よろしいじゃろうか?』
「ダミアンか、どうした?」
その場で控えに戻せないのなら、とにかくこの場から離れさせようと、ついて来るように命令を下したカイの言葉にもそのゴブリンは反応することはない。
問題なく行使できる筈の命令すら受け付けようとしないゴブリンの姿に、カイが戸惑っていると落ち着いた様子の老人の声が向こう側から響いてきていた。
『これは恐らくなのじゃが・・・ほれ、少し前にヴェロニカが取り乱した事があったじゃろう?』
「あぁ、あったなそんな事も。だがそれがどうした?今はそれどころでは・・・」
ヴェロニカに代わり向こう側から声を掛けてきたダミアンは、少し前に彼女が取り乱してしまった時の事を話している。
彼の言葉にそんな事もあったなと思い出したカイは、しかしそんな場合ではないとゴブリン達に目をやっていた。
『いや実は、それが今回の事に関係あると思われましての・・・」
『ダミアン!それはっ!?』
しかしダミアンはその時の事こそが、今の状況を齎しているのだと語る。
彼の思わせぶりな言葉に反応したのは、カイではなく向こう側にいるヴェロニカであった。
彼女は驚いたように大声を張り上げると、まるでそれをカイに聞かれたくないのだとでも言うように、ダミアンの言葉を遮っていた。
「ヴェロニカ、今は私がダミアンと話している。控えていろ」
『は、ははっ。申し訳ありません・・・』
しかしダミアンの意見にしか、今の状況を解決する術がないと感じているカイからすれば、ヴェロニカの行動を看過する訳にもいかない。
主としての権限を使いヴェロニカへと下がるように命令を下したカイに、彼女は逆らう訳にもいかず、ただひたすらに恐縮して謝罪の言葉を述べていた。
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