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初めてのお客様
洞窟の中で出会ったケモノ 2
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「わー、綺麗!地底湖?」
「・・・そうみたいだね。結構広そうだ」
纏わりつく粘液のためにハロルドに置いていかれていたアイリスは、結果的に彼が被った被害を逃れる事に成功していた。
彼女は目の前に広がる地底湖の雄大な姿に目を輝かせると、感嘆の声を上げている。
水に濡れた様子のない彼女の姿に、一瞬羨ましそうな目を向けたハロルドは、服の裾を絞って水を落としながら彼女に自らの見立てを伝えていた。
「ふ~ん・・・よっと、これでようやく足を洗える」
「ア、アイリス!何かいるのか分からない、安易に足を浸けるのは危険だよっ!?」
「ひゃあっ!?つ、冷たい・・・あー、でも気持ちいいかも」
ハロルドの言葉に気のない返事を返したアイリスは、身体を傾けては自らの履物を脱ぎ始めている。
その動きに彼女がこれから何をするのか察したハロルドはそれを止めようとするが、彼女はすでにその両足を湖へと浸ける所であった。
「ん?ハロルド、何か言った?」
「・・・いいや、何も」
「そう?」
両足を湖へと浸け、その足に纏わりついた粘液を洗い流したアイリスは、気持ち良さそうに水の冷たさを楽しんでいる。
彼女のその姿を目にしては、ハロルドにはもはや何も言う事は出来ない。
先ほどの発言について尋ねるアイリスの言葉にも彼は首を横に振るばかり、そんな彼の姿に彼女は不思議そうに首を傾げていた。
「おーい、お前も早く来いよー。どっちが底まで行けるか、競走しようぜ」
「・・・遠慮しておくよ」
アイリスの気持ち良さそうな姿に感化されたハロルドは、自らも履物を脱いで湖へと足を浸けている。
そんな彼に泳いで近づいてきたクリスは、彼をしつこく湖へと誘う。
その馬鹿な言動に、ハロルドは冷めた瞳で拒絶を告げていた。
「こっち来ないでよ、クリス。服が汚れるから」
「何だよ、俺は邪魔者かよ!?ちぇ・・・もういいよ、一人で行くから」
足についた粘液洗い流しても、履物やその下に纏っていた衣服についた汚れは落ちてはいない。
それらを湖に浸けて洗い始めていたアイリスは、近づいてくるクリスに渋い顔を見せると、追い払うように手を振っていた。
「水が入らないように、っと・・・はぁ~・・・んっ!」
水が耳に入ってしまわぬように唾を着けた指でそれを塞いだクリスは、大きく息を吸い込むと湖へと潜り始める。
(ん?何だあれ・・・何か、奥の方で動いたような?)
薄暗い部屋の中では、湖の中も見渡せはしない。
それでも湖の中の壁や地面もほんのりと輝いて、普通の地底湖よりは視界は効くように思われた。
その中でクリスは、何か大きなものの影を捉えていた。
それはあまりに巨大で、彼にはそれが見間違いだと思えてしまう。
しかし果たして、それは本当に見間違いだろうか。
いいや違う。
それは―――。
「・・・そうみたいだね。結構広そうだ」
纏わりつく粘液のためにハロルドに置いていかれていたアイリスは、結果的に彼が被った被害を逃れる事に成功していた。
彼女は目の前に広がる地底湖の雄大な姿に目を輝かせると、感嘆の声を上げている。
水に濡れた様子のない彼女の姿に、一瞬羨ましそうな目を向けたハロルドは、服の裾を絞って水を落としながら彼女に自らの見立てを伝えていた。
「ふ~ん・・・よっと、これでようやく足を洗える」
「ア、アイリス!何かいるのか分からない、安易に足を浸けるのは危険だよっ!?」
「ひゃあっ!?つ、冷たい・・・あー、でも気持ちいいかも」
ハロルドの言葉に気のない返事を返したアイリスは、身体を傾けては自らの履物を脱ぎ始めている。
その動きに彼女がこれから何をするのか察したハロルドはそれを止めようとするが、彼女はすでにその両足を湖へと浸ける所であった。
「ん?ハロルド、何か言った?」
「・・・いいや、何も」
「そう?」
両足を湖へと浸け、その足に纏わりついた粘液を洗い流したアイリスは、気持ち良さそうに水の冷たさを楽しんでいる。
彼女のその姿を目にしては、ハロルドにはもはや何も言う事は出来ない。
先ほどの発言について尋ねるアイリスの言葉にも彼は首を横に振るばかり、そんな彼の姿に彼女は不思議そうに首を傾げていた。
「おーい、お前も早く来いよー。どっちが底まで行けるか、競走しようぜ」
「・・・遠慮しておくよ」
アイリスの気持ち良さそうな姿に感化されたハロルドは、自らも履物を脱いで湖へと足を浸けている。
そんな彼に泳いで近づいてきたクリスは、彼をしつこく湖へと誘う。
その馬鹿な言動に、ハロルドは冷めた瞳で拒絶を告げていた。
「こっち来ないでよ、クリス。服が汚れるから」
「何だよ、俺は邪魔者かよ!?ちぇ・・・もういいよ、一人で行くから」
足についた粘液洗い流しても、履物やその下に纏っていた衣服についた汚れは落ちてはいない。
それらを湖に浸けて洗い始めていたアイリスは、近づいてくるクリスに渋い顔を見せると、追い払うように手を振っていた。
「水が入らないように、っと・・・はぁ~・・・んっ!」
水が耳に入ってしまわぬように唾を着けた指でそれを塞いだクリスは、大きく息を吸い込むと湖へと潜り始める。
(ん?何だあれ・・・何か、奥の方で動いたような?)
薄暗い部屋の中では、湖の中も見渡せはしない。
それでも湖の中の壁や地面もほんのりと輝いて、普通の地底湖よりは視界は効くように思われた。
その中でクリスは、何か大きなものの影を捉えていた。
それはあまりに巨大で、彼にはそれが見間違いだと思えてしまう。
しかし果たして、それは本当に見間違いだろうか。
いいや違う。
それは―――。
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