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初めてのお客様

ダミアン・ヘンゲは焦らない 4

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「そうかしら?私には、今にも敗北してしまいそうに見えるのだけど?」

 カイが抱いた感想と、同じ意見をヴェロニカが述べる。
 その言葉に彼は静かにガッツポーズを作ると、自らの考えが間違っていなかった事を確信していた。

「ふぉっふぉっふぉっ、本当にその通りかの?ほれ、よく見てみい。あのクリスとかゆう少年、貧弱な得物ながらスケルトンを二体相手に粘っておる。前衛の役割としては、十分じゃろう?」

 ヴェロニカに意見に含み笑いを漏らしたダミアンは、ウインクをしながらモニターの一部を指し示している。
 そこにはスケルトン二体を相手にして、ジリジリと追い詰められていっているクリスの姿が映っていた。
 その姿は分の悪いものであったが、確かに彼の言うとおり前衛の役目を果たしているともいえなくもないものであった。

(た、確かに・・・でもそれだけじゃ結局ジリ貧じゃないのか?クリスもいつまでも持たないだろうし・・・)

 ダミアンの言葉に改めて彼の姿を目にしてその意見に納得していたカイも、それだけでは結局何も変わらないではないかと思い直す。
 確かにクリスは前衛としての役割を果たしているかもしれないが、それだけでは状況は良くはならない。
 木の棒しか持っていない彼には、敵に致命傷を与えるのが難しいのだから。

「確かに・・・でもそれだけでは何も変わらないのではないかしら?彼がこれから相手を倒せるとは思えない、状況は悪くなる一方に見えるのだけど?」

 まさに自分が思っていた事と同じ事を尋ねるヴェロニカに、カイはばれないようにうんうんと何度も頷いている。

「それはその通りじゃろうなぁ。あれにはそれが限界よの・・・しかしスケルトンを仕留める力を持つ者は、他にもおるじゃろ?」

 ヴェロニカの疑問には、ダミアンもあっさりと同意していた。
 二体のスケルトンに押し込まれているクリスに、ここから盛り返す事を期待するのは酷だろう。
 ダミアンはその事実を認めながらも、別の可能性について示唆していた。

(クリス以外にスケルトンを仕留められる者?誰の・・・あぁ!ハロルドの事か。確かに彼の魔法なら、それも可能かもな。待てよ?しかし彼もスケルトンを押さえるのに手一杯で、そんなことが出来るとは思えない・・・どういう事だ?)

 ダミアンが示唆したのは、攻撃魔法を扱えるハロルドの事だろう。
 しかし彼もスケルトンと取っ組み合うのに必死で、魔法を使う暇などないように思える。
 それでは結局解決法はないではないかと、カイはダミアンを問い質したい感情を必死に押さえ込んでいた。

「それは、ハロルドとかいう少年の事?確かに彼は攻撃魔法を扱えると聞いたわね、でも・・・今はそれ所じゃないように見えるのだけど?」

 ヴェロニカも同じように思ったのか、カイが考えたのと同じような事をダミアンに問い質す。
 彼女の視線の先ではスケルトンに必死に組み付きながらも、相手に一方的に殴られ続けているハロルドの姿があった。
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