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決戦、エイルアン城
全員集合 1
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ゆっくりとした軌道を描いた大剣が、巨大な斧を打ち付けて弾き返す。
散った火花が消えぬうちに小柄な人影が二つ、その斧の脇を通り過ぎるが、その片方は斧の持ち主によって蹴り飛ばされていた。
『ぐぅ!?またか!!』
「囮ごくろー、にゃ!ウィークネス・アーマー!!」
これまでの戦いでも同じように蹴り飛ばされていたデニスは、取り落としそうになった短槍を何とか抱え込むと、不甲斐ない自分に悪態を吐いていた。
攻撃の隙に近づいてくる二つの人影の中で、彼の方が毎回狙われてしまうのは、もう片方の身軽さ故だろう。
軽く吹き飛ばされしまっているデニスに対して、開いている方の手を振ったティオフィラは、大きく飛び上がるとその右手に纏わせた紫色の光を、オーデンの身体へと叩き込んでいた。
『ちっ、同じ事を何度も・・・気持ち悪ぃんだよっ!!』
腹の辺りだろうか、ティオフィラの拳を叩き込まれたオーデンは、それと共に流れ込んでくる感覚に気持ち悪さを感じていた。
彼はその怒りも込めて、ティオフィラへと斧を振るう。
しかし懐にまで入られてしまっている関係上、振るった斧はその柄の部分を彼女へとぶつけようとしていた。
「にゃぁ!?」
たとえ窮屈なスイングになったとしても、オーデンと膂力と巨大な斧の質量は損なわれてはいない。
もろに食らっては致命傷となりかねないそれに、ティオフィラは空中で体勢を入れ替えて何とか躱していた。
ギリギリで通り過ぎていく斧に、身体に掛かる風圧は並ではない、それを全身で受けてしまったティオフィラは、背中から床に落ちるとそのままゴロゴロと転がっていってしまう。
「ティオ!大丈夫か!!」
「にゃ~・・・平気にゃぁ」
床へと転がりそのまま伸びてしまったティオフィラに、レオンが心配する声を上げる。
彼女は仰向けに伸びた身体を反転させると、うつ伏せになった顔を上げて問題ないと返していた。
しかしその表情はどこかピントが合っておらず、転がった身体に平衡感覚が麻痺してしまっているようだった。
「っ!それより、早く攻撃するにゃ!!じゃないと・・・」
「ちっ、そうだった!」
どこか虚ろな表情で視線を彷徨わせていたティオフィラは、何かを思い出すとレオンに攻撃を急かしていた。
その声に反応してレオンはその大剣を構えるが、重たいそれを振るうには時間が掛かってしまう。
レオンの振り絞った全力に、大剣が攻撃の軌跡を描き始めた頃には、オーデンの身体に纏わりついていた紫色の光が、その輝きを失おうとしていた。
『言われなくても!!』
圧倒的な実力の違いのためか、ティオフィラの弱体魔法はオーデンにその効果を発揮することは出来ても、その効果時間は極端に短いものとなっていた。
その事実をこれまでに何度も目にしていたデニスは、ティオフィラに言われるまでもなく動き出している。
吹き飛ばされた状態から素早く立ち上がり、反撃の機会を窺っていた彼は、ティオフィラがオーデンに弱体をかけた瞬間から動き出しており、その身体はすでに間合いへと踏み込んでいた。
『見逃すと思ってんのかぁ!甘いんだよ!!』
しかしオーデンは、それを見逃しはしない。
引き絞るようにしてその槍を構え、それを突き出そうとしていたデニスに対して、彼は思いっきり斧を振り下ろしていた。
『どっちがだ!!』
その攻撃を予見していたデニスは、軽くステップを踏んでそれを避けていた。
床へと叩きつけられた斧に、舞った破片は彼の頬を叩く。
しかしそれを気に留めることもなく、デニスはずっと引き絞っていた槍をオーデンに向かって突き出していた。
『・・・時間切れか』
全力で突き刺したデニスの槍は、しかしその刀身の半ばもオーデンの身体に刺さることはなかった。
彼の身体には分厚い筋肉と脂肪が覆っている、その程度の傷では痛みはあっても、大きなダメージとはならないだろう。
見上げればオーデンの身体からは、薄く纏わりついていた紫の光が完全に消えてしまっていた。
『・・・はっ!そんなもんかぁ!!』
躱された攻撃に、隙だらけな身体を晒していたオーデンは痛みに身構えていたが、それがそれほどではないと分かると、素早く床に突き刺さったままの斧を引き抜いていた。
彼はそれを軽く振りかぶると、デニスに向かって振り払い始める。
大してついていない勢いに、乗ってこないスピードはその威力を減じるだろうが、斧の質量を考えれば無視できるダメージの訳もない。
突き刺さっている槍を引き抜いてそこから退避しようとするデニスは、しかし腹を力を込めたオーデンによってそれを縫い止められてしまっている。
「やらせるか!!」
弱体の効果が消える前に攻撃しようとオーデンに駆け寄っていたレオンは、デニスを彼の攻撃から救うために大剣を振るう。
その一撃は横に振り払おうとしていたオーデンの斧を、大きく上へと弾き飛ばしていた。
『それを待ってたんだよ!』
上へと弾き飛ばされた斧を、手の中で回転させたオーデンはその刃をレオンへと向けて振り下ろす。
大きく上へと大剣を振り上げており、身体を伸び切らせているレオンには、それをさらに弾き返す事などできはしない。
彼は必死に大剣へと手を添えると、オーデンの攻撃を受け止めようとしていた。
「ぐぅ、がはっ!!?」
不完全な体勢でオーデンの攻撃を受け止める事になったレオンは、その圧力に対して一瞬粘って見せていたが、やはりその圧倒的な力はどうしようもなく弾き飛ばされてしまっていた。
大きく弾き飛ばされたレオンは、その腕や足が本来有り得ない方向へと曲がっているように見えた。
その事実を肯定するように、すぐに立ち上がろうとしている彼は、うまく起き上がれずにもがく事しか出来ていない。
『ちっ・・・うまく受け流したじゃねぇか』
上から思いっきり叩きつけた一撃は、受け止められたとしてもその重さにそのまま叩き潰す事を狙った攻撃であった。
その圧力をうまく受け流して、後方へと流して見せたレオンの姿に、オーデンは不満そうに舌打ちを漏らす。
一撃で仕留め損なったレオンに、彼は面倒くさそうに斧を担ぐと、ゆっくりと歩き始めていた。
『くそっ、俺も無視するな!!』
『あぁ?どけよ、雑魚が!』
レオンが攻撃を受け止めている間に槍を引き抜いていたデニスは、彼を無視してレオンへと向かうオーデンに槍を向けていた。
しかし全力を振り絞って放った槍が大してダメージにならなかった彼の攻撃など、オーデンは気にも留めず、片手で払うようにして彼を追い払っていた。
「レオにぃ!?大丈夫、かにゃ・・・?」
弾き飛ばされ、起き上がろうともがいているレオンに、ようやく身体を起こしたティオフィラが慌てて駆け寄っていく。
しかしその歩みは途中で緩くなっていき、終いには立ち止まってしまう。
その目は驚きと、そして喜びによって見開かれていた。
散った火花が消えぬうちに小柄な人影が二つ、その斧の脇を通り過ぎるが、その片方は斧の持ち主によって蹴り飛ばされていた。
『ぐぅ!?またか!!』
「囮ごくろー、にゃ!ウィークネス・アーマー!!」
これまでの戦いでも同じように蹴り飛ばされていたデニスは、取り落としそうになった短槍を何とか抱え込むと、不甲斐ない自分に悪態を吐いていた。
攻撃の隙に近づいてくる二つの人影の中で、彼の方が毎回狙われてしまうのは、もう片方の身軽さ故だろう。
軽く吹き飛ばされしまっているデニスに対して、開いている方の手を振ったティオフィラは、大きく飛び上がるとその右手に纏わせた紫色の光を、オーデンの身体へと叩き込んでいた。
『ちっ、同じ事を何度も・・・気持ち悪ぃんだよっ!!』
腹の辺りだろうか、ティオフィラの拳を叩き込まれたオーデンは、それと共に流れ込んでくる感覚に気持ち悪さを感じていた。
彼はその怒りも込めて、ティオフィラへと斧を振るう。
しかし懐にまで入られてしまっている関係上、振るった斧はその柄の部分を彼女へとぶつけようとしていた。
「にゃぁ!?」
たとえ窮屈なスイングになったとしても、オーデンと膂力と巨大な斧の質量は損なわれてはいない。
もろに食らっては致命傷となりかねないそれに、ティオフィラは空中で体勢を入れ替えて何とか躱していた。
ギリギリで通り過ぎていく斧に、身体に掛かる風圧は並ではない、それを全身で受けてしまったティオフィラは、背中から床に落ちるとそのままゴロゴロと転がっていってしまう。
「ティオ!大丈夫か!!」
「にゃ~・・・平気にゃぁ」
床へと転がりそのまま伸びてしまったティオフィラに、レオンが心配する声を上げる。
彼女は仰向けに伸びた身体を反転させると、うつ伏せになった顔を上げて問題ないと返していた。
しかしその表情はどこかピントが合っておらず、転がった身体に平衡感覚が麻痺してしまっているようだった。
「っ!それより、早く攻撃するにゃ!!じゃないと・・・」
「ちっ、そうだった!」
どこか虚ろな表情で視線を彷徨わせていたティオフィラは、何かを思い出すとレオンに攻撃を急かしていた。
その声に反応してレオンはその大剣を構えるが、重たいそれを振るうには時間が掛かってしまう。
レオンの振り絞った全力に、大剣が攻撃の軌跡を描き始めた頃には、オーデンの身体に纏わりついていた紫色の光が、その輝きを失おうとしていた。
『言われなくても!!』
圧倒的な実力の違いのためか、ティオフィラの弱体魔法はオーデンにその効果を発揮することは出来ても、その効果時間は極端に短いものとなっていた。
その事実をこれまでに何度も目にしていたデニスは、ティオフィラに言われるまでもなく動き出している。
吹き飛ばされた状態から素早く立ち上がり、反撃の機会を窺っていた彼は、ティオフィラがオーデンに弱体をかけた瞬間から動き出しており、その身体はすでに間合いへと踏み込んでいた。
『見逃すと思ってんのかぁ!甘いんだよ!!』
しかしオーデンは、それを見逃しはしない。
引き絞るようにしてその槍を構え、それを突き出そうとしていたデニスに対して、彼は思いっきり斧を振り下ろしていた。
『どっちがだ!!』
その攻撃を予見していたデニスは、軽くステップを踏んでそれを避けていた。
床へと叩きつけられた斧に、舞った破片は彼の頬を叩く。
しかしそれを気に留めることもなく、デニスはずっと引き絞っていた槍をオーデンに向かって突き出していた。
『・・・時間切れか』
全力で突き刺したデニスの槍は、しかしその刀身の半ばもオーデンの身体に刺さることはなかった。
彼の身体には分厚い筋肉と脂肪が覆っている、その程度の傷では痛みはあっても、大きなダメージとはならないだろう。
見上げればオーデンの身体からは、薄く纏わりついていた紫の光が完全に消えてしまっていた。
『・・・はっ!そんなもんかぁ!!』
躱された攻撃に、隙だらけな身体を晒していたオーデンは痛みに身構えていたが、それがそれほどではないと分かると、素早く床に突き刺さったままの斧を引き抜いていた。
彼はそれを軽く振りかぶると、デニスに向かって振り払い始める。
大してついていない勢いに、乗ってこないスピードはその威力を減じるだろうが、斧の質量を考えれば無視できるダメージの訳もない。
突き刺さっている槍を引き抜いてそこから退避しようとするデニスは、しかし腹を力を込めたオーデンによってそれを縫い止められてしまっている。
「やらせるか!!」
弱体の効果が消える前に攻撃しようとオーデンに駆け寄っていたレオンは、デニスを彼の攻撃から救うために大剣を振るう。
その一撃は横に振り払おうとしていたオーデンの斧を、大きく上へと弾き飛ばしていた。
『それを待ってたんだよ!』
上へと弾き飛ばされた斧を、手の中で回転させたオーデンはその刃をレオンへと向けて振り下ろす。
大きく上へと大剣を振り上げており、身体を伸び切らせているレオンには、それをさらに弾き返す事などできはしない。
彼は必死に大剣へと手を添えると、オーデンの攻撃を受け止めようとしていた。
「ぐぅ、がはっ!!?」
不完全な体勢でオーデンの攻撃を受け止める事になったレオンは、その圧力に対して一瞬粘って見せていたが、やはりその圧倒的な力はどうしようもなく弾き飛ばされてしまっていた。
大きく弾き飛ばされたレオンは、その腕や足が本来有り得ない方向へと曲がっているように見えた。
その事実を肯定するように、すぐに立ち上がろうとしている彼は、うまく起き上がれずにもがく事しか出来ていない。
『ちっ・・・うまく受け流したじゃねぇか』
上から思いっきり叩きつけた一撃は、受け止められたとしてもその重さにそのまま叩き潰す事を狙った攻撃であった。
その圧力をうまく受け流して、後方へと流して見せたレオンの姿に、オーデンは不満そうに舌打ちを漏らす。
一撃で仕留め損なったレオンに、彼は面倒くさそうに斧を担ぐと、ゆっくりと歩き始めていた。
『くそっ、俺も無視するな!!』
『あぁ?どけよ、雑魚が!』
レオンが攻撃を受け止めている間に槍を引き抜いていたデニスは、彼を無視してレオンへと向かうオーデンに槍を向けていた。
しかし全力を振り絞って放った槍が大してダメージにならなかった彼の攻撃など、オーデンは気にも留めず、片手で払うようにして彼を追い払っていた。
「レオにぃ!?大丈夫、かにゃ・・・?」
弾き飛ばされ、起き上がろうともがいているレオンに、ようやく身体を起こしたティオフィラが慌てて駆け寄っていく。
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