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しおりを挟む颯爽と立ち去る瀬戸の姿を見送っていると、突然西連寺に引き寄せられた。間近に見える赤い炎のような瞳が揺れる。
「………おい、純と付き合うっつーの、あれどういうことだ」
………やっぱりそのことか。
鋭い視線で俺を睨む西連寺に俺は、せっかく仲良くなったのになと少し寂しい気分になりつつ返す。
「あいつの告白に対して、お前が大人しくなり優等生になったらあいつの望む恋人の件も考えてやると答えた。それだけだ」
「………は?」
俺の回答にしばし静止した後、西連寺は長いため息を吐いた。額に手をやって、半目でこちらを見る。
「お前、俺の知らねぇとこで何敵作ってんだよくそが………」
敵視している俺が藍野に告白されたのだから、てっきり怒り狂うと思っていただけに拍子抜けしてしまった。敵作るってなんだ?敵になっている、ならまだ理解できるんだが……。
「しかも告白って、俺より進んでんじゃねぇか……」
怒るというか、頭を抱えているんだがそんなにショックだったのか。恋愛関係になると西連寺は繊細になるのかもしれないな………。
すっかり自分の世界に入った西連寺に困惑して復活を待っていると、トントンと後ろから肩を叩かれた。振り返ると、ニコニコした顔の遠山とやけに安堵した様子の稀吏が立っていた。
「もうそろそろ八時だから迎えに来たよ~」
「電話で連絡するつもりだったんだが、今見えたから直接声を掛けに来たんだ……こら、統和。帰って来い」
てしっ、と軽く稀吏が叩くとようやく西連寺も気がつき、繊細モードは終わったらしい。稀吏は強いな…。
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