4 / 112
2
しおりを挟む
予鈴が鳴る五分前になり、龍神と亘は同時に片付けを始めた。
「では委員長、また放課後に」
「ああ」
階段で亘と別れた龍神は三年生のフロアまで上り、教室の扉を開ける。
「「「きゃぁぁああああああ!!!」」」
「龍神様ああ!!!」
「かっこよすぎる……!」
「美しい……!!」
瞬間教室に溢れる黄色い悲鳴を真顔で受け、龍神はおはようと返して席に着いた。
俺は君たちのクラスメイトなんだが。
と、クラスメイトの歓声に複雑な気持ちになる龍神に斜め前の男子が話し掛けた。
「やあやあ、相変わらず大人気だねぇ風紀委員長様」
「響か」
声の主は龍神の応答に
「うわ、塩対応」
と笑いながら言った。いつもの事なのか気にしている様子はなく、笑顔で会話を続ける。
「あ、そうだ、知ってる?瑚珀」
「何をだ?」
「明日1年に転校生が来るらしい」
「………ああ、それは聞いた。まさかこんな時期とは、どうにも怪しい」
龍神が眉を顰めるのも無理はなかった。現在4月中旬。中途半端にも程がある。
「腐腐腐……いや~、もうこんな時期に来るとか王道転校生決定だよ。俺王道学園来たのに王道見れずに卒業かと焦ってたからマジで感謝」
によによと整った顔立ちに合わぬたるんだ笑みを浮かべる友人に、龍神は素直に気持ち悪いなと思ったが、口には出さず顔をしかめるにとどまった。
彼の名前は響 飛鳥。龍神のクラスメイトで、彼の数少ない友人だ。
また、重度の腐男子でもある。
「またもえの供給とかいうやつか」
呆れたような口調だったが、クールな龍神の口から萌えなんて単語が出たことで何人かの生徒が机に突っ伏した。
「いや瑚珀はこれがどんだけ凄くて尊いことか分かってないよ。王道が生で見れるとか生きててそうある事じゃないんだから!」
「……そうか。まあ、俺は問題が起こらなければ何でもいいが」
この友人の言っていることは八割近く分からない事が多い。今回も例によって龍神には理解出来なかったので、早々と話を切り上げて鞄の中の教科書を机の中に入れる。
だから、ボソリと呟かれた返答が聞こえなかった。
「いや、瑚珀は風紀委員長だから高確率で迷惑が掛かると思うけど」
「では委員長、また放課後に」
「ああ」
階段で亘と別れた龍神は三年生のフロアまで上り、教室の扉を開ける。
「「「きゃぁぁああああああ!!!」」」
「龍神様ああ!!!」
「かっこよすぎる……!」
「美しい……!!」
瞬間教室に溢れる黄色い悲鳴を真顔で受け、龍神はおはようと返して席に着いた。
俺は君たちのクラスメイトなんだが。
と、クラスメイトの歓声に複雑な気持ちになる龍神に斜め前の男子が話し掛けた。
「やあやあ、相変わらず大人気だねぇ風紀委員長様」
「響か」
声の主は龍神の応答に
「うわ、塩対応」
と笑いながら言った。いつもの事なのか気にしている様子はなく、笑顔で会話を続ける。
「あ、そうだ、知ってる?瑚珀」
「何をだ?」
「明日1年に転校生が来るらしい」
「………ああ、それは聞いた。まさかこんな時期とは、どうにも怪しい」
龍神が眉を顰めるのも無理はなかった。現在4月中旬。中途半端にも程がある。
「腐腐腐……いや~、もうこんな時期に来るとか王道転校生決定だよ。俺王道学園来たのに王道見れずに卒業かと焦ってたからマジで感謝」
によによと整った顔立ちに合わぬたるんだ笑みを浮かべる友人に、龍神は素直に気持ち悪いなと思ったが、口には出さず顔をしかめるにとどまった。
彼の名前は響 飛鳥。龍神のクラスメイトで、彼の数少ない友人だ。
また、重度の腐男子でもある。
「またもえの供給とかいうやつか」
呆れたような口調だったが、クールな龍神の口から萌えなんて単語が出たことで何人かの生徒が机に突っ伏した。
「いや瑚珀はこれがどんだけ凄くて尊いことか分かってないよ。王道が生で見れるとか生きててそうある事じゃないんだから!」
「……そうか。まあ、俺は問題が起こらなければ何でもいいが」
この友人の言っていることは八割近く分からない事が多い。今回も例によって龍神には理解出来なかったので、早々と話を切り上げて鞄の中の教科書を机の中に入れる。
だから、ボソリと呟かれた返答が聞こえなかった。
「いや、瑚珀は風紀委員長だから高確率で迷惑が掛かると思うけど」
71
お気に入りに追加
142
あなたにおすすめの小説
風紀“副”委員長はギリギリモブです
柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。
俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。
そう、“副”だ。あくまでも“副”。
だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに!
BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。
副会長様は平凡を望む
慎
BL
全ての元凶は毬藻頭の彼の転入でした。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
『生徒会長を以前の姿に更生させてほしい』
…は?
「え、無理です」
丁重にお断りしたところ、理事長に泣きつかれました。
ボクに構わないで
睡蓮
BL
病み気味の美少年、水無月真白は伯父が運営している全寮制の男子校に転入した。
あまり目立ちたくないという気持ちとは裏腹に、どんどん問題に巻き込まれてしまう。
でも、楽しかった。今までにないほどに…
あいつが来るまでは…
--------------------------------------------------------------------------------------
1個目と同じく非王道学園ものです。
初心者なので結構おかしくなってしまうと思いますが…暖かく見守ってくれると嬉しいです。
王道学園なのに会長だけなんか違くない?
ばなな
BL
※更新遅め
この学園。柵野下学園の生徒会はよくある王道的なも
のだった。
…だが会長は違ったーー
この作品は王道の俺様会長では無い面倒くさがりな主人公とその周りの話です。
ちなみに会長総受け…になる予定?です。
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
生徒会長親衛隊長を辞めたい!
佳奈
BL
私立黎明学園という全寮制男子校に通っている鮎川頼は幼なじみの生徒会長の親衛隊長をしている。
その役職により頼は全校生徒から嫌われていたがなんだかんだ平和に過ごしていた。
しかし季節外れの転校生の出現により大混乱発生
面倒事には関わりたくないけどいろんなことに巻き込まれてしまう嫌われ親衛隊長の総愛され物語!
嫌われ要素は少なめです。タイトル回収まで気持ち長いかもしれません。
一旦考えているところまで不定期更新です。ちょくちょく手直ししながら更新したいと思います。
*王道学園の設定を使用してるため設定や名称などが被りますが他作品などとは関係ありません。全てフィクションです。
素人の文のため暖かい目で見ていただけると幸いです。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる