縁の切れ目が金の切れ目、今更よりを戻したいと言ってももうお遅いですよ? もちろん婚約破棄の慰謝料はきちんと払っていただきます!

「他に女ができたからお前とはもう別れる! 相手は伯爵令嬢で貴族の妻にふさわしい女性だ! 平民のお前は実家に帰って俺に支払う慰謝料の準備をしておくんだな!」

 テナス商会の娘メリエッダは、男爵貴族のダズから婚約者の乗り換え目的で婚約破棄をされる。
 その上、真実の愛に目覚めたという理由で慰謝料まで貰えると信じていたのだが……。

「なにか勘違いをされているようですが、今回の件で慰謝料をお支払いになるのはダズ様の方ですよ?」
「ええいもういい! 口を開けば金金と金に汚い奴め、そんなに金がほしいのならくれてやる! 金にがめつい女への手切れ金と思えば安いものだ!」

 しかし没落寸前のダズの家はテナス商会から多額の資金援助を受けており、娘を小間使いのようにこき使われたメリエッダの父親は大激怒、その援助を打ち切る。
 資金難に陥ったダズはお家断絶に焦り、慰謝料を含めて金を貸してほしいと伯爵令嬢に泣きついて醜態を晒してしまうが、彼女との出会いに隠された真実と自分を取り巻く現実を知った時にはもう遅かった。

 一方メリエッダはかつての知人と再開し、新たな恋と幸せを見つけていく……。

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