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9 天河視点

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 ついにその日はやってきた。僕は緊張しながら荷物を詰めたリュックを背負ってディール君の家にやってきた。

「天河!! 待ってたよ♡」

 玄関を開けるとぎゅうぎゅうと抱きしめられて苦しいくらいだ。何度も遊びに来ているのに、今日はすごく特別な気分だった。

「ディール君……」

 嬉しいけど、髪の匂いを嗅ぐのは恥ずかしいからやめてほしいな。だって、なんだかムズムズしちゃうから。

「あ、荷物は俺の部屋に置いておこう」
「うん」

 荷物を置いた後、ディール君は僕に向き合って真剣な表情で話し始めた。

「本番前に、呪文の練習をしたいんだ。儀式ができるのは一度だけ。失敗したらそれで終わりだ」

 僕はゴクリと唾を飲み込んだ。チャンスは1度だけ……

「その前に、もう一度確認したい。これは、お互いの思いが繋がっていないと絶対に成功しないと言われている。俺は世界で一番天河が好きだ。愛してる。天河は、その、体が変わってしまうから、怖かったら——」
「やるよ、儀式」
「天河……」

 気遣ってくれているのはわかる。でもね、でも。

「僕、ディール君のものになりたい。その、エッチな体になるなら、ちゃんと責任とって……お嫁さんにしてください!!」
「っ!!」

 一瞬でガシッと腕の中に閉じ込められていた。僕達はしばらくギュッと抱きしめあって、お互いの思いを確かめた。

「よし、じゃあ、呪文の練習だ」

 休憩を入れながら何度も練習した。夕方になって、テーブルの上に祭壇を作ってからディール君がキッチンに立った。

「僕も手伝うよ」
「いや、これは俺が作ることになっている。ゆっくりしていてくれ」
「ん……」

 おでこにちゅっとキスしてウインクするディール君。

(僕のお婿さんはかっこいいなぁ~。母さんには悪いけど、僕はディール君が好きなんだもん)

 そう考えていたら、儀式もしていないのにまたおしりがムズムズしてしまった!! 慌ててテレビをつけて気を紛らわせる。
 僕、すごくエッチになったのに、儀式でもっとエッチになるちゃうのかなぁ? でも、ディール君に飽きられないように頑張らないとね!

「天河、できたよ」

 いい匂いがしたと思っていたら、それはローストチキンで中にハーブなどたくさん詰め物がしてるらしい。それをホゥ・ソ・イーメ神の像の前に置いた。
 ささやかだが、確かに祭壇だ。チキンの前には、特別なブレンドだというスパイスが小皿に乗っている。次に、お香を焚き始めた。

「あ、この香り……」
「そう。いつも焚いてたんだ。儀式がなければ効果ないんだけど、なんとなく。祈りかな……天河に愛されたいっていう」
「お香の力で好きになったんじゃないよ。初めて会った時からカッコいいって思ってたよ」

 不思議な香りだとは思ってた。でも、それだけで好きになるわけない。僕はディール君自身が好きなんだから.........

「嬉しいよ。さぁ、準備はいい?」

 僕が頷くと、二人並んで祭壇の前に立った。

「親愛なるホゥ・ソ・イーメ神よ。俺、ディール・ドゥ=クローイと」
「仲波天河は」
「「永遠の愛を誓い、イーメ神の愛と慈悲を請う。この祈りを叶えたまえ。メハメハ・ルス・ヌルッポゥガ!メハメハ・ルス・ヌルッポゥガッ!メハメハ・ルス・ヌルッポゥガッ!メハメハ・ルス・ヌルッポゥガッ!メハメハ・ルス・ヌルッポゥガッーーーーーー!!」」

 呪文は5回!! 噛まずに言えた!! すると、お香のぼんやり赤い火がブワッと炎になって僕はびっくりした。

「天河、今だ!!」
「っ!!」

 小皿のスパイスを二人で取り、チキンにふりかけ終わると炎は小さくなって、ただお香の煙が漂うだけになった。

「はぁっ、はぁっ……これで、いいの?」
「おそらく……」

 ディール君の最後呪文の気迫はまるで咆哮のようだった。その野性味溢れる男らしさに、僕はこんな時なのにキュンとした。凛々しい横顔に、さっきから僕のおしりはムズムズキュンキュンだ……

「じゃあ、これを一緒に食べよう」
「うん」

 取り分けて、お互いにあ~んと食べさせ合う。

「どうだ? 何か変わってきたか……?」
「ん……どうかな。でも、あのさ」

 うん。なんか違うと思う。むずキュンするおしり。体の奥がじんじんしてくる……そ、それに。これって……

「あの。トイレ……」

 立ち上がった僕は、おしりが濡れているのに気がついて思わずお尻を手で覆った。

(漏らしたんじゃ、ないよね? 本当に濡れてきてる……)

「天河? 大丈夫か?」
「はぁ……ディール君……僕のおしり、やらしくなっちゃったみたい……」
「…………見ていいか?」
「ふぇっ?」
「うん。確かめよう!!」
「あっ」

 ヒョイっとお姫様抱っこにされて、ベッドへと雪崩れ込んだ。

「天河、先にシャワーを浴びててよかったな♡」
「でもぉ、恥ずかしい~」
「俺は嬉しいよ」

 キスしながら脱がしあう。ムッキムキの腹筋を目の前にしたら、僕のおしりはまたキュンとした。その度に、何かが溢れてくる感じがする……

「あ、ベッド、汚しちゃう」
「防水シートを敷いてるよ。だから、いっぱい濡らして大丈夫だ!!」

 なんて準備がいいんだ。僕がくる前にしてたの?! 鼻息をふんふん鳴らしながら、ディール君は僕のぺたんこの胸を弄り乳首を舐め始めた。

「ん、おっぱい、やぁ」
「美味しいよ、天河。ほら、ツンツンしてきて可愛い……母乳も出るかな……?」
「出るわけ、な、あっ! んんっ!」
「おっぱいが出るまで舐めてあげる」

(出ないって!!)

 僕の抗議の声は喘ぎになって言葉にはならなかった……だって!! 気持ちいいんだもん!! ディール君のえっちぃ~~!!

 

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