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1 天河視点

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イチャイチャさせたい為だけのご都合ストーリー! 勢いだけで公開します。考えるな、感じろ!

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 僕が高二になった秋のこと。僕のクラスに突然転校生がやって来ることになった。親の仕事の都合で日本へ来たらしい。会社は日系企業だそうで、漢字は苦手だけど会話はなんとかなるらしい。僕もみんなも、どんな子が来るのかと浮かれていた。
 そして、紹介されたのは——褐色の肌に黒髪で、瞳が青い超イケメンだった!! ふぁぁ~モデルみたいだっ! 

「オレは、ディール・ドゥ=クローイ、いいます。よろしく、おねがいシマス」

 超絶イケメンなのにたどたどしい日本語に、女子のハートは鷲掴みにされたようで悲鳴が上がった。でも、女子だけじゃない。僕もドキドキして目が離せなくなってた。相手は男なのに……

「席は仲波ナカハの隣だ。仲波は教科書が揃うまで見せてやってくれ。頼んだぞ?」
「はっ、はいっ!!」

 どうしよう、役得だけど日本語は大丈夫かな? 英語はそんなに得意じゃないんだよね。内心あわあわする僕の隣にディール君が座ってニッコリした。

「なか、は? よろしく。わたし、ディール、呼んで」
「ぼ、僕は仲波 天河。てんがでいいよ」
「てんが?」
「そう」
「日本語、かんじに意味ある、きいた。てんがは?」
「天の河……えっと、ミルキーウェイ、かな」
「ミルキーウェイ……? キレイ、なまえ」

 また微笑みかけられて、あまりにもかっこいいディール君に見惚れてしまった。だから、せっかく隣になったのは縁だから、いろいろ教えてあげるんだ! と心に決めた。
でも、休憩時間になると女子の群れがディー君に襲いかかってきた。まるでピラニアかハイエナだ……こんな時の女子の群れは危険だ。守ってあげなくちゃ!!
と、思うまもなく、僕はぽ~んと弾かれ輪の外に出されていた。でも、ディール君は彼女達と楽しそうに会話していて、やっぱりイケメンは対応もスマートなんだぁ~と思った。
 ぼんやりみていたら予鈴が鳴って、次は体育だ! と思い出した僕は、女子を掻き分けて必死に声をかけた。

「あ、あの、次は体育館だから!」
「ちょっと~! 仲波は引っ込んでて。あたし達が案内するしぃ~。ね? ディール君も女子の方が良いよね?」
「えっと、先生はてんがに頼って、言った。彼におねがいする」
「「「ええ~っ!」」」

 ああああ……女子の鋭い視線が僕をグッサグッサと刺して来るっ!

「いや、良いよ。あれはとりあえず先生が指名しただけだしさ」
「ほら、仲波もこう言ってるしぃ」
「ごめんなさい。オレ、男のともだちも、ほしい」
「あっ……そうか、そうよね~! うん、友達はいるよね。じゃあ、今度うちらとカラオケ行こうね!」
「はい、楽しみ」
 
 言質をとったピラニアは散らばり、僕は体操着を掴んだ。

「ディール君は体操着持ってる? こういうの」
「まだない。でも、代わりは持ってきた」
「じゃあ持って。急いで体育館の更衣室に行くよ!」
「ディール君はあたしらと着替えて良いわよぉ? キャハハッ!」
「わわっ!? さ、行こう!」
「はい」

 教室は女子が優先で占拠される。男はいつでも追い出される側なんだ。僕がバタバタ小走りなのに、ディール君は大股で歩いている。うっそ?! 足長いねっ? これがイケメンとのスペックの違いか……
 体育館横の更衣室に入ると、みんなほとんど着替え終わっていた。

「お前ら遅かったな~」
「まぁ、女子がほっとかねぇよな」

 クラスメイトがやいのやいのと囃し立てた。僕はディール君を促して着替えさせたんだけど……シャツを脱いだ時、ムキっと割れた腹筋が覗いた。褐色の肌にムキムキの細マッチョだった!! 神は二物どころか何物も与えたんだね。——僕は、自分の薄っぺらい胸とお腹を見て悲しくなった。
 そのあとの体育はバスケだったんだけど、ディール君は軽やかにシュートを決めてヒーローだった。僕は顔面でキャッチして鼻血が出たり、良いとこなしで悲しくなった。容姿も性格も良くて、スポーツも出来て社交的。——僕なんかいらないね。

「よぉ、天河。あいつ、結構一人で大丈夫そうじゃん?」

 クラスメイトの母部野モブノ誠が肩を叩いてきた。

「ん、そうだね。僕は教科書を貸すだけかなぁ。あ、でも、体操着は購買部で買えるの知ってるのかなぁ? あ、上履きも指定のじゃない!」
「はははっ! 相変わらず世話好きだなぁ」
「ん~、家事をしてるからかなぁ」
「オカンかよっ」
「あはは」

 両親は離婚してシングルマザーなので、小学校の頃から夕食を作るのを手伝うようになって、中学ではほとんど僕が作っていた。高校生の今では、料理人でも目指そうと思うくらいには上達したと思う。
 だから、あんなにキラキラした彼は別世界の住人に見えた。だから、短い間でも友達っぽく過ごせるだけでラッキーだよ。

「とりあえず、昼休みは購買部だ……」

 そういう僕を、誠がゲラゲラと笑ってみていた。
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