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悪役王子だるまにされたけど王太子として王宮に戻ることになる 1
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カリデュカがびくっとしておれに抱き着いてきた。顔がおっぱいに埋まる。もう死んでもいい……いや、カリデュカを惨い目に合わせるわけにはいかない。
討伐隊って何だっけ。えーっと危険な魔物が出ると討伐隊を組んで倒しに行くんだっけ。主人公のイベントにもあった気がする。危険な魔物……ぐったりしている触手じゃ、ないよな。魔女って言ってたから、まさかカリデュカのことか?
街の人たちのために薬を作っている優しい女の子だぞ?
「シンタ、私は魔物交じりの私は魔女と呼ばれるの。誰かに迷惑をかけないように、こっそり生きてきたけれど……」
インキュバス混じりだって言っていたけれど、確かに立派なアレが生えているけれど、目を潤ませて悲しげに俯く姿は可憐な女性でしかない。おっぱいの大きな美人は正義だろうに、BL世界だから彼女が迫害されるのだろうか。立派なアレ生えているからおっぱいの大きな美人でも許されそうな気がする。
いや、おれが王になれば彼女みたいな無害な魔物混じりの人たちをすくえるんじゃないか?
「君はおれの恩人だ。カリデュカ……おれは第二王子のドゥルマだ。嘘をついていてごめん。ただのシンタとして君の傍にいたかったけれど、おれを保護していたと言えば悪いようにはされないはずだ」
兄が生きている間はいつ死んでもいい罪人のだるま王子だっただろうが、今は王太子だ。順当にいけば王になれる。王になったらおれが法律だ。たぶん。
「え、王子様、なの?」
「こんななりだけど……」
「シンタ、おうちに帰るべきよ。貴方は必要とされる人だもの。私のせいで貴方まで酷い目にあわされたらって不安だったけれど、もういいわ」
カリデュカがさっと立ち上がって扉に向かう。魔女としてではなく、おれを保護した人間として堂々としてもらわなければ。
「カリデュカ! 待って!!」
片腕ではどうにもならない。その時、床にぐったりと倒れていた触手が彼女の足を引っかけた。グッジョブ触手!
「きゃっ」
可愛い悲鳴を上げて転んだカリデュカのもとへ急いで向かう。追いついたとき、家の扉が開け放たれた。
「魔女よ覚悟しろ! ――!?」
「ひ、控えろ! おれを誰だと思っているんだ!」
おれの名前何だっけ――!? やばい、前世の記憶が戻ったせいで自分の本名がすっかり抜けている。
「ドゥルマ様!!」
討伐隊には、いくらか痩せたイリアスがいたようだ。一本の腕でカリデュカをぎゅっと抱き寄せる。この場で最も低い位置にいるが、一番身分が高いのはおれだ。ぜったいに彼女を守り通すと言う強い意志を持って、イリアスを始めとする討伐隊らしき男たちを睨みつけた。
「ご無事で何よりです、殿下」
「道端で野垂れ死にかけていたおれを助けてくれたのが彼女だ。傷つけることは許さない」
「シ、ドゥルマ様、私はいいの」
「カリデュカ、良くない。君が拾ってくれなかったらおれは死んでいた」
「その女は魔女です。魔女の力で殿下は惑わされておられる」
「やめろ!!」
おれとカリデュカを引き離そうとするゴリラ風マッチョに抵抗して、頭を振り回した。腕は掴まれてしまっている。頭を止めようとする腕に噛みついて、情けない悲鳴を上げさせた。いつまでもやられっぱなしのおれじゃない!
討伐隊って何だっけ。えーっと危険な魔物が出ると討伐隊を組んで倒しに行くんだっけ。主人公のイベントにもあった気がする。危険な魔物……ぐったりしている触手じゃ、ないよな。魔女って言ってたから、まさかカリデュカのことか?
街の人たちのために薬を作っている優しい女の子だぞ?
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インキュバス混じりだって言っていたけれど、確かに立派なアレが生えているけれど、目を潤ませて悲しげに俯く姿は可憐な女性でしかない。おっぱいの大きな美人は正義だろうに、BL世界だから彼女が迫害されるのだろうか。立派なアレ生えているからおっぱいの大きな美人でも許されそうな気がする。
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「え、王子様、なの?」
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カリデュカがさっと立ち上がって扉に向かう。魔女としてではなく、おれを保護した人間として堂々としてもらわなければ。
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片腕ではどうにもならない。その時、床にぐったりと倒れていた触手が彼女の足を引っかけた。グッジョブ触手!
「きゃっ」
可愛い悲鳴を上げて転んだカリデュカのもとへ急いで向かう。追いついたとき、家の扉が開け放たれた。
「魔女よ覚悟しろ! ――!?」
「ひ、控えろ! おれを誰だと思っているんだ!」
おれの名前何だっけ――!? やばい、前世の記憶が戻ったせいで自分の本名がすっかり抜けている。
「ドゥルマ様!!」
討伐隊には、いくらか痩せたイリアスがいたようだ。一本の腕でカリデュカをぎゅっと抱き寄せる。この場で最も低い位置にいるが、一番身分が高いのはおれだ。ぜったいに彼女を守り通すと言う強い意志を持って、イリアスを始めとする討伐隊らしき男たちを睨みつけた。
「ご無事で何よりです、殿下」
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「シ、ドゥルマ様、私はいいの」
「カリデュカ、良くない。君が拾ってくれなかったらおれは死んでいた」
「その女は魔女です。魔女の力で殿下は惑わされておられる」
「やめろ!!」
おれとカリデュカを引き離そうとするゴリラ風マッチョに抵抗して、頭を振り回した。腕は掴まれてしまっている。頭を止めようとする腕に噛みついて、情けない悲鳴を上げさせた。いつまでもやられっぱなしのおれじゃない!
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