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悪役王子だるまにされたけどとうとう一本取り戻す 1
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目が覚めると、机に向かうシャイオの背中が目に入った。伸びていた髭は剃ったようだ。おじさんからお兄さんぐらいまで若返っている。
触手は満足したようで大人しくベッド下で眠っているようだ。
「できた」
「なにが?」
文字と図形の混ざった不思議な文様が書かれた紙を、シャイオは持っている。なんな魔法陣みたいな……魔法陣?
「とりあえず俺に付けられた枷を外します。ドゥルマ様に少しだけご協力願いたいのですが」
「いいよ」
変態でも研究所のたぶんエリート! 自力で枷を外せるようになるなんて流石だ。ヤられ損にならなくて良かった!!
魔力を蓄えた魔石はたんまりあるけれど、発動のきっかけがないとうまく魔法陣が示す魔法を発動させられないらしい。スイッチをおれが入れるということだ。
「お願いします」
「うん」
シャイオが両手に持った魔法陣の上に魔石を置いて、おれよ魔力を流した一瞬魔法陣が青く光った。ファンタジー!!
今更だけど魔法のある世界に感激する。前世の記憶を取り戻してから、ドゥルマとして生きた経験が薄れていて困る。前世の記憶がもっと少なかったら、今の境遇にもここまで抵抗しなかったかもしれないのに。
「解けました。ドゥルマ様の愛の力です。ありがとうございます!」
ただの魔法だ。誰でもできるやつだし、そもそも魔法陣はシャイオが書いている。
でもシャイオに機嫌よく手足への魔法を施してもらうために、余計なことは言わない。まだ手も足もないから、こいつの気が変わったら簡単にエロ展開にもつれこんでしまう。
「シャイオ、いつヨゥクォーリ公爵が戻ってくるかわからない。急いでおれの手足を癒してくれ」
「魔力が足りない場合はどちらを優先しますか?」
あ……やっぱり一気に全部は無理か。どっちにするか。……イリアスに使った方便をここでも使うか。おれの頭はそんなに良くない。相手によって使い分けるとあとで訳がわからなくなりそうだ。
「ああ、まずは腕だ。お前を両腕で抱きしめたい。足も欲しいが……あれば、その……繋がっている時に離れないようにできるだろう?」
わかるかな。だいしゅきホールドしてやるって言ってるんだけど。
シャイオの顔がぱああっと明るくなった。エロに関することだけは察しが良い。おれ、ちょっとこの世界のコツを掴めたかな。
「すぐに始めさせて頂きます。これだけの魔石があれば」
「何をしている!!」
誰何の声と同時にシャイオが吹っ飛ばされた。答えさせてやれよ! 声の主はいるはずのないあいつだ。いないからNTRに公爵が来たはずなんだが、あの後シャイオに犯されてひと眠りしたからどれだけ時間が経ったかわからない。
「イリアス」
「嫌な予感がしたから急いで戻ってみたら、これはどういうことだ。警備は何をしていた!!」
怒髪天を突いた形相のイリアスは、めちゃくちゃ怖かった。警備兵がシャイオを回収してしまう。おれの手足!!
「イリアス待ってくれ。この男はおれに必要なんだ」
「必要ない」
「必要だ、この男は治癒魔法を使える。おれの手足を戻せるかもしれない!」
警備兵がシャイオを捕えたまま動きを止めている。イリアスがおれを見た。
「必要ない」
触手は満足したようで大人しくベッド下で眠っているようだ。
「できた」
「なにが?」
文字と図形の混ざった不思議な文様が書かれた紙を、シャイオは持っている。なんな魔法陣みたいな……魔法陣?
「とりあえず俺に付けられた枷を外します。ドゥルマ様に少しだけご協力願いたいのですが」
「いいよ」
変態でも研究所のたぶんエリート! 自力で枷を外せるようになるなんて流石だ。ヤられ損にならなくて良かった!!
魔力を蓄えた魔石はたんまりあるけれど、発動のきっかけがないとうまく魔法陣が示す魔法を発動させられないらしい。スイッチをおれが入れるということだ。
「お願いします」
「うん」
シャイオが両手に持った魔法陣の上に魔石を置いて、おれよ魔力を流した一瞬魔法陣が青く光った。ファンタジー!!
今更だけど魔法のある世界に感激する。前世の記憶を取り戻してから、ドゥルマとして生きた経験が薄れていて困る。前世の記憶がもっと少なかったら、今の境遇にもここまで抵抗しなかったかもしれないのに。
「解けました。ドゥルマ様の愛の力です。ありがとうございます!」
ただの魔法だ。誰でもできるやつだし、そもそも魔法陣はシャイオが書いている。
でもシャイオに機嫌よく手足への魔法を施してもらうために、余計なことは言わない。まだ手も足もないから、こいつの気が変わったら簡単にエロ展開にもつれこんでしまう。
「シャイオ、いつヨゥクォーリ公爵が戻ってくるかわからない。急いでおれの手足を癒してくれ」
「魔力が足りない場合はどちらを優先しますか?」
あ……やっぱり一気に全部は無理か。どっちにするか。……イリアスに使った方便をここでも使うか。おれの頭はそんなに良くない。相手によって使い分けるとあとで訳がわからなくなりそうだ。
「ああ、まずは腕だ。お前を両腕で抱きしめたい。足も欲しいが……あれば、その……繋がっている時に離れないようにできるだろう?」
わかるかな。だいしゅきホールドしてやるって言ってるんだけど。
シャイオの顔がぱああっと明るくなった。エロに関することだけは察しが良い。おれ、ちょっとこの世界のコツを掴めたかな。
「すぐに始めさせて頂きます。これだけの魔石があれば」
「何をしている!!」
誰何の声と同時にシャイオが吹っ飛ばされた。答えさせてやれよ! 声の主はいるはずのないあいつだ。いないからNTRに公爵が来たはずなんだが、あの後シャイオに犯されてひと眠りしたからどれだけ時間が経ったかわからない。
「イリアス」
「嫌な予感がしたから急いで戻ってみたら、これはどういうことだ。警備は何をしていた!!」
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「イリアス待ってくれ。この男はおれに必要なんだ」
「必要ない」
「必要だ、この男は治癒魔法を使える。おれの手足を戻せるかもしれない!」
警備兵がシャイオを捕えたまま動きを止めている。イリアスがおれを見た。
「必要ない」
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