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コーラス遺跡都市防略
第36話コーラル防略、16/壊れた時計/鼻が咲く/プレイスタジオ4を知らない女
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「貴様ら…早く此奴を止め…ッ!」
執行騎士達とアインへ鬼狼に首を掴まれた皇王は命じるが、やはり執行騎士は一向に動く気配を見せなかった。それどころか、その命令を聞いた鬼狼はその手の力を強める。皇王はそれを嫌がり鬼狼の右腕に握りしめた右拳を打ち付けるが、びくともしない。そして、さらに力が強まる。アインは玉座を立ち、首を握り潰す勢いで力を強めつつある鬼狼に言った。
「殺しちゃだめ、失神させるのもだめだよ。」
「…あぁ、わかっている。」
アインの指示にそう短く、静かに答えた鬼狼。
だが、その声色は憎悪によく似た憎悪以上の何かを秘めているような、唸り声に近しいほどの低い声。
そしてアインにアンが近づき円形の遺物、"譲渡装置"を渡した。アインは、左手に持つ譲渡装置の紋章を右手の人差し指と中指で軽くなぞる。灰色に褪せた紋章が再び翡翠色に煌めく。
「さて、皇王閣下…いえ、イレギュラー。
貴方にはここで果てて頂く。」
アインは、そう言い右手人差し指の先を噛んだ。強く噛んだのか、人差し指から血が滴っている。その血を譲渡装置の側面に掘られた溝へたらしこんだ。翡翠色に煌めく紋章は、その色をアインの瞳と同じ赤に染まる。
それを今度は皇王の顔の近くへ掲げた時、皇王はそれが何を成し得る物かに勘付いたようだ。
「それは…まさか…貴様らぁ…!?」
「さて、確か貴方のギフトは"不老"。憶測ですが"自身の幸せを投げ捨ててまでこの国を永遠に支えたい"その思いが形を成した、"自身の時を止める不老のギフト"」
そこまでアインが言うと、鬼狼は皇王の右肩を
空いている左手で掴み下へ力いっぱいに動かす。何かが外れた音と共に、その右肩は力無く垂れ下がる。砕けたのだ。
「あぁぁぁぁぁぁあ!」
あまりの痛みに皇王は叫ぶ。
アインは腰に差した白銀の短剣を取り出し皇王の垂れ下がった右手の平を切る。傷口からはわずかなではあるが確かに血が滴っていた。アインはその滴る血の一滴を、譲渡装置の上から二番目の溝へ注ぐ。
紋章は、紫色に色濃く光る。
「譲渡装置とは名ばかりの強制力のあるギフト発動権移行装置。貴方の止まった160年間、差し上げましょう。」
皇王の瞳が最期に映したのは、悪魔によく似た真っ赤な瞳を浮かべる少年の姿があった。
~~~
防壁南部下。
相対する二つの軍、その先頭を馬で駆く2人の騎手がいた。
「う"お"お"お"お"お"お"お"お"ッ!」
ロビンは雄叫びを上げながら、マイクの喉笛を狙いグレイヴを突く。マイクはそれの攻撃が来る事を分かっていたかのように伏せ、ロビンの腹へツーハンドソードの先を捩じ込むが、ロビンの鎧によりそれは弾かれた。
ロビンとマイクはそのまま駆け抜け、馬を反転させ次撃を放つために馬を反転させる。両軍は2人のそれぞれの動きに追従した。
「モーニングスター持ちが4人おっ、2騎やられた!」
ジャックはロビンにそう叫んだ。
それは柄に鎖で繋がれた鉄球には無数の棘が付いている武器…モーニングスター。
鎧の上からでもダメージを加える事を可能とした打撃武器で、その棘は鎧の隙間や体の一部に突き刺さり絡まり、体勢を崩させる。
騎兵の天敵とも言える武器だった。
「じゃぁソイツ優先で潰せ。多少の損害はかまわない、袋叩きにしろ!」
そして次撃が始まる。
またもお互い正面切手の突撃。弱点を先に知り、いち早くそれを叩いた方の勝ちとなる勝負。ロビンは姿勢を低くし、グレイヴを右後ろに掲げるようにマイクへ構える。
(大将首を奪れば、戦意が下がり多少の数の差は多少マシになる…はず。)
早く、マイクを討ち取らなければロビンが勝利する可能性は無に等しいだろう。
ロビンは馬に拍車をかけ加速しマイクへ急接近し、マイクもまた上段に構えロビンへ斬りかからんと迫った。そして二つの武具は同時に振り下ろされる。凄まじい火花を散らす。
駆け抜けた両軍、晴れる土埃。
その両軍の間には無数の死体の上に馬に乗った
まま刃を押し付け合う2人の騎手の姿があった。
「すまんが上司が怖いのでね、消えてくれッ!」
マイクはそうロビンに言いながらグレイヴを左上に弾き上げ、隙だらけのロビンの首へツーハンドソードを叩き込まんとそのまま剣を左に倒し、振るう。ロビンはグレイヴから右手を素早く離し、自身の首は振るわれたそのツーハンドソードを右手甲で受け、そのまま上へ跳ね飛ばし衝撃を逃した。それは大隊長がメネのツヴァイヘンダーの突きに対して行った"パリィ"に酷似している。
「なっ!」
「ありがとうございます大隊長ぉ!」
ロビンはそう叫びながら左手に持つグレイヴの石突を体制が崩れたマイクの頭へ左から大きく振った。マイクは上体を後ろに倒しそれを回避すると、体制を立て直しツヴァイヘンダーを右下からロビンの腰を狙い薙ぐ。
ロビンはグレイヴを逆さにし、刃でそれを受けた。あまりの衝撃にロビンは顔を歪め、グレイヴの刃が欠け、火花が咲いた。
~~~
「もう一度ききますね。あなたの名前は何ですか?」
殴られ、顔中顔が腫れ上がった黒いローブの男はその質問に息を上げながら答えた。
「俺の…名前は…ハセガワだ…ハセガワ・レイク。なぁ…頼むから俺の話を聞いてくれ…」
ハセガワ・レイクのその名前を聞くとアルドラは顔を顰めながら呟く。
「ハセガワ・レイク…異邦人なんですね、貴方は。…いいでしょう。お話、聞かせてくださいね。」
アルドラはそう言い、部屋の隅に置いてあった椅子を取り出しハセガワの前に置き、座った。
ハセガワはその行動に一息つくと話し始めた。
「俺は…気づいたらあそこいただけで…何か盗みをしようとしたわけじゃ無いし…あんなボロボロのゲーム機やらを盗む意味もないんだ…」
アルドラはその言葉を聞くと首を傾げながらハセガワに問う。
「ゲーム機?何ですか、それは。」
__________________________________
なんか名前探し戦じゃダサいので変更しますね。
The war of searching,になります。
探し戦と今は同じですね。
英語はかっこいい。そういう風潮です。
執行騎士達とアインへ鬼狼に首を掴まれた皇王は命じるが、やはり執行騎士は一向に動く気配を見せなかった。それどころか、その命令を聞いた鬼狼はその手の力を強める。皇王はそれを嫌がり鬼狼の右腕に握りしめた右拳を打ち付けるが、びくともしない。そして、さらに力が強まる。アインは玉座を立ち、首を握り潰す勢いで力を強めつつある鬼狼に言った。
「殺しちゃだめ、失神させるのもだめだよ。」
「…あぁ、わかっている。」
アインの指示にそう短く、静かに答えた鬼狼。
だが、その声色は憎悪によく似た憎悪以上の何かを秘めているような、唸り声に近しいほどの低い声。
そしてアインにアンが近づき円形の遺物、"譲渡装置"を渡した。アインは、左手に持つ譲渡装置の紋章を右手の人差し指と中指で軽くなぞる。灰色に褪せた紋章が再び翡翠色に煌めく。
「さて、皇王閣下…いえ、イレギュラー。
貴方にはここで果てて頂く。」
アインは、そう言い右手人差し指の先を噛んだ。強く噛んだのか、人差し指から血が滴っている。その血を譲渡装置の側面に掘られた溝へたらしこんだ。翡翠色に煌めく紋章は、その色をアインの瞳と同じ赤に染まる。
それを今度は皇王の顔の近くへ掲げた時、皇王はそれが何を成し得る物かに勘付いたようだ。
「それは…まさか…貴様らぁ…!?」
「さて、確か貴方のギフトは"不老"。憶測ですが"自身の幸せを投げ捨ててまでこの国を永遠に支えたい"その思いが形を成した、"自身の時を止める不老のギフト"」
そこまでアインが言うと、鬼狼は皇王の右肩を
空いている左手で掴み下へ力いっぱいに動かす。何かが外れた音と共に、その右肩は力無く垂れ下がる。砕けたのだ。
「あぁぁぁぁぁぁあ!」
あまりの痛みに皇王は叫ぶ。
アインは腰に差した白銀の短剣を取り出し皇王の垂れ下がった右手の平を切る。傷口からはわずかなではあるが確かに血が滴っていた。アインはその滴る血の一滴を、譲渡装置の上から二番目の溝へ注ぐ。
紋章は、紫色に色濃く光る。
「譲渡装置とは名ばかりの強制力のあるギフト発動権移行装置。貴方の止まった160年間、差し上げましょう。」
皇王の瞳が最期に映したのは、悪魔によく似た真っ赤な瞳を浮かべる少年の姿があった。
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防壁南部下。
相対する二つの軍、その先頭を馬で駆く2人の騎手がいた。
「う"お"お"お"お"お"お"お"お"ッ!」
ロビンは雄叫びを上げながら、マイクの喉笛を狙いグレイヴを突く。マイクはそれの攻撃が来る事を分かっていたかのように伏せ、ロビンの腹へツーハンドソードの先を捩じ込むが、ロビンの鎧によりそれは弾かれた。
ロビンとマイクはそのまま駆け抜け、馬を反転させ次撃を放つために馬を反転させる。両軍は2人のそれぞれの動きに追従した。
「モーニングスター持ちが4人おっ、2騎やられた!」
ジャックはロビンにそう叫んだ。
それは柄に鎖で繋がれた鉄球には無数の棘が付いている武器…モーニングスター。
鎧の上からでもダメージを加える事を可能とした打撃武器で、その棘は鎧の隙間や体の一部に突き刺さり絡まり、体勢を崩させる。
騎兵の天敵とも言える武器だった。
「じゃぁソイツ優先で潰せ。多少の損害はかまわない、袋叩きにしろ!」
そして次撃が始まる。
またもお互い正面切手の突撃。弱点を先に知り、いち早くそれを叩いた方の勝ちとなる勝負。ロビンは姿勢を低くし、グレイヴを右後ろに掲げるようにマイクへ構える。
(大将首を奪れば、戦意が下がり多少の数の差は多少マシになる…はず。)
早く、マイクを討ち取らなければロビンが勝利する可能性は無に等しいだろう。
ロビンは馬に拍車をかけ加速しマイクへ急接近し、マイクもまた上段に構えロビンへ斬りかからんと迫った。そして二つの武具は同時に振り下ろされる。凄まじい火花を散らす。
駆け抜けた両軍、晴れる土埃。
その両軍の間には無数の死体の上に馬に乗った
まま刃を押し付け合う2人の騎手の姿があった。
「すまんが上司が怖いのでね、消えてくれッ!」
マイクはそうロビンに言いながらグレイヴを左上に弾き上げ、隙だらけのロビンの首へツーハンドソードを叩き込まんとそのまま剣を左に倒し、振るう。ロビンはグレイヴから右手を素早く離し、自身の首は振るわれたそのツーハンドソードを右手甲で受け、そのまま上へ跳ね飛ばし衝撃を逃した。それは大隊長がメネのツヴァイヘンダーの突きに対して行った"パリィ"に酷似している。
「なっ!」
「ありがとうございます大隊長ぉ!」
ロビンはそう叫びながら左手に持つグレイヴの石突を体制が崩れたマイクの頭へ左から大きく振った。マイクは上体を後ろに倒しそれを回避すると、体制を立て直しツヴァイヘンダーを右下からロビンの腰を狙い薙ぐ。
ロビンはグレイヴを逆さにし、刃でそれを受けた。あまりの衝撃にロビンは顔を歪め、グレイヴの刃が欠け、火花が咲いた。
~~~
「もう一度ききますね。あなたの名前は何ですか?」
殴られ、顔中顔が腫れ上がった黒いローブの男はその質問に息を上げながら答えた。
「俺の…名前は…ハセガワだ…ハセガワ・レイク。なぁ…頼むから俺の話を聞いてくれ…」
ハセガワ・レイクのその名前を聞くとアルドラは顔を顰めながら呟く。
「ハセガワ・レイク…異邦人なんですね、貴方は。…いいでしょう。お話、聞かせてくださいね。」
アルドラはそう言い、部屋の隅に置いてあった椅子を取り出しハセガワの前に置き、座った。
ハセガワはその行動に一息つくと話し始めた。
「俺は…気づいたらあそこいただけで…何か盗みをしようとしたわけじゃ無いし…あんなボロボロのゲーム機やらを盗む意味もないんだ…」
アルドラはその言葉を聞くと首を傾げながらハセガワに問う。
「ゲーム機?何ですか、それは。」
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なんか名前探し戦じゃダサいので変更しますね。
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英語はかっこいい。そういう風潮です。
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