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72 絵心ない魔術師VS絵心ない呪術師
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「最初からお伺いいたしましょう。飲んでいらっしゃる薬草はどれがどの程度? 一日小粒ひとつとか、ひと匙分とか」
「えっとねえ、うーんと……ニトラ樹液、チピリン草、ニルジール草、バイドの種……忘れちゃった。あと七種類くらい」
「多いですね。ニルジール草とバイドの種は基本的に同じ効果のものですし」
「でも、一度に飲む量は守ってるの。一粒ずつ、一匙ずつよ」
「それでも倍量飲んでいることになります。ニルジール草とバイドの種は、どちらも副作用として有名なのが頭痛です。その対策としてチピリン草を飲まれたんでしょうが、今度はよく眠るためのニトラの実と被りますから──」
薬草の数が多すぎる。それはつまり、効能が被っている薬草の過剰摂取になっている可能性が高く、そうなると副作用が出る確率がぐんと上がってしまうそうだ。
クラースさんが特に気にした最近の彼女の物忘れ症状。それは彼女が例に挙げていた、睡眠用のニトラの実。鎮痛用のチピリン草。これらは身体の中で混ざってしまうと、もの忘れという副作用として出ることがあるのだと。
彼女は驚いた顔で娘と目を見合わせ、すぐクラースさんに問いかけた。『一体どれをどれだけ飲んだらいいのかしら』と。
「まずは今の体調をお伺いします。ここにある魔術薬で対処できればその方が安くつきますから。一番のお悩みはなんですか?」
クラースさんは飲むのをやめる薬草、変えた方がよい薬草をひとつずつ丁寧に紹介し、配合を考えてある魔術薬を二種類用意し勧めていた。
なぜ複数の薬草を飲み続けてはいけないか。副作用の他にもまだ理由はある。それを体内で処理する臓器が疲弊してしまうのだ。もちろん魔力で処理され、効果を上げた魔術薬にもその問題はついてくる。
理想を言うなら売る側が注意できればこういう問題は減るだろうが、買ってもらえばもらうほど魔術薬店は潤うものだ。逆に購入額を減らすことになりそうなら、この考えは世に広まりにくいだろうとも思う。
「……ですから、怖いんですよ。魔薬とは比べ物にならないくらい良いものですけど。あんまり酷いと寝ついてしまうときもあって──」
「お兄さん、あんた目が綺麗だねえ。曇ってるはずの空に星が浮かんでいるようだ」
「聞いてます? 朝夕だけでいいですからね。この匙一杯分だけ。お客様は華奢ですし、これより多いと摂り過ぎになりますから──」
「あらやだ。中身も紳士だねえ。私ほんとに毎日来ちゃうわ」
『お売りするものがないですよー』『それもそうよねえ。お茶とお菓子でも出したらどお?』と続く会話を横で聞きながら、じゃあ茶菓子でも作ろうかな、何にしよう、と考えていた。
俺の妻はまたナンパされているわけだが、さすがにこのお婆ちゃんに嫉妬するほど余裕がないわけじゃない。むしろ彼を好いてくれるのは俺としてもありがたい。
「ねえねえお兄さん。あなたはここの従業員さん?」
「あ、俺ですか? いえ、違います。今は街にある──」
「あら、違うのね。まだ独身の方? 恋人は何人いらっしゃる?」
「なっ、そんな何人もいないですよ。俺はクラースさんの、この彼の──」
「あなた、うちの息子のお嫁さんにどうかしら。ちょうど年の釣り合いが取れてるし、お給料もちょっといい方よ! イゴルっていうんだけど!」
「結婚してます。この彼と! 遠慮させていただきます!」
『え──??』という不満たらたらの声を揃えた女性たちは、唇を尖らせ顔まで揃えた。そんな不満気な顔をされましても。事実も事実なんですが。
あとなんか聞き覚えのある名前が出たぞ。色々あって息子さんとは知り合いです、と馬鹿正直に言ってしまえば最後、根掘り葉掘りが始まるに決まっている。胸にしまっておこう。永久に。
この後もひとり、またひとりといった感じで少人数のお客さんが一組ずつこの店を訪れていた。本当にお茶用意しとく? という話も詰められないままその日は閉店の時を迎えた。
利益をしっかり取ろうと思えば、価格はあまり安くはできない。だから最初の購入額は少なくても、試しにと買ってみた化粧品のクリームが良かったからと来店されるお客さんが多くいた。
さらにせっかく来たから、ついでに、と健康相談をされていく。そして最初よりも多く買い物をしてくれる。良い循環である。
クラースさんはお客さんの話を聞いて記録を取ったものをめくりながら日誌としてまとめている。俺はなるほどなーと感心していた。俺だったら終わり次第さっさと帰り支度をして、夕飯は何にしようということしか考えていなかっただろう。
「女性はどこも少ないからさ。ひとりで行動される方も基本いないし。だから奥様へのお土産程度に買ってもらえればなーって意図で作ってみたけど、まさかこんなに人気が出るとは思ってなかったね」
「多かったですよね。どこにこんなに居たんだろーって思うくらい。他の商品も作ってみたらどうですか?」
「そうだねー。話を聞いてたら、すごく良かったけどもう少しさっぱりしてたらいいとか、逆にもっとしっとりしてたらいいとか。人によって肌の状態は違うから、種類を増やしてみようかな。あと冬場はもっと乾燥するから、唇に塗るものとかねー」
「良い噂をもっと広げるなら、なんか見た目でわかる特徴出すとか。ムカつきますけどあの木の絵をクリームの蓋に貼っておくとか?」
クラースさんはパッと目を輝かせて、『それいいかも!』と喜んでくれた。しかし何か描いてみてと言われてしまい、渋々描いて見せてみたらギャハハハと笑われた。『三歳児の絵じゃん』という講評をいただいた。
だってさあ。最初に無理って言ったじゃん。俺、絵心とか全然ないから。じゃあクラースさんが描いてよと振ってみたら、彼もまた子供の落書きを生産していた。
しかし俺の絵とは少々違い、なぜか木の部分に顔がある。気が狂ったような表情で笑っているその木の横に描かれているのは、絶対登れない角度になった階段および、木の半分以上の大きさがある巨大化した小人の家。
これを笑うなと言われたって無理である。俺もゲラゲラと笑ってしまい、クラースさんはムスッとしたが腹筋は急に止まれない。木に顔を描いた理由がまず不明だし、絶妙にあべこべな方向へ向いた黒目がどうにも笑いを呼び起こされて仕方ない。
「ジルくんの方だって、階段が木の幹を突き抜けてるじゃん。モロに木が傷ついてるよ。呪われて怪我不可避じゃん!」
「く、クラースさんの、家でかくしすぎでしょ。崩落ですよ。ふっ……! しかもこの階段、なんで急に三段目からこんな難易度高くなってんですかっ」
「しょ、省略だよ省略! 画家さんだってやるじゃんか。知らないけど。ジルくんのは家の天井に入口ついてんじゃん。入ったらもう出られないじゃんっ」
「あと、あとっ……! めっちゃ風強いですよねこの日。木の葉っぱがみんな斜め上に流れてってるっ……! 災害級じゃん……!!」
「はー? 躍動感の表現だし。ジルくんのは全部大きく描きすぎてクリームの蓋に絶対合わないじゃん。縮小させたら線潰れちゃうー」
「く、クラースさんの、全体的にちっちゃすぎる……!! なんなんスかこの余白。こんな広い空間の左上にだけぽつんと……ぽつんと小人の家……!! あはははは!!」
素人二人の講評ならぬ泥仕合の開幕である。じゃあ実物を見て描けば、と外に出てみたのだが結果は散々。なぜ見ながら描いてこうなのだ、と二人で頭を捻り続け、下手同士ではろくな改善点も見つけられずに店を閉めた。
これは、自力では無理な類のことだ。あの人を頼ってしまおう。意見が一致し、依頼がてら夕飯はそこで食べようと足を向けた。もちろん、あの蔦に埋もれたあの店のことだ。決まっている。それしかない。
「えっとねえ、うーんと……ニトラ樹液、チピリン草、ニルジール草、バイドの種……忘れちゃった。あと七種類くらい」
「多いですね。ニルジール草とバイドの種は基本的に同じ効果のものですし」
「でも、一度に飲む量は守ってるの。一粒ずつ、一匙ずつよ」
「それでも倍量飲んでいることになります。ニルジール草とバイドの種は、どちらも副作用として有名なのが頭痛です。その対策としてチピリン草を飲まれたんでしょうが、今度はよく眠るためのニトラの実と被りますから──」
薬草の数が多すぎる。それはつまり、効能が被っている薬草の過剰摂取になっている可能性が高く、そうなると副作用が出る確率がぐんと上がってしまうそうだ。
クラースさんが特に気にした最近の彼女の物忘れ症状。それは彼女が例に挙げていた、睡眠用のニトラの実。鎮痛用のチピリン草。これらは身体の中で混ざってしまうと、もの忘れという副作用として出ることがあるのだと。
彼女は驚いた顔で娘と目を見合わせ、すぐクラースさんに問いかけた。『一体どれをどれだけ飲んだらいいのかしら』と。
「まずは今の体調をお伺いします。ここにある魔術薬で対処できればその方が安くつきますから。一番のお悩みはなんですか?」
クラースさんは飲むのをやめる薬草、変えた方がよい薬草をひとつずつ丁寧に紹介し、配合を考えてある魔術薬を二種類用意し勧めていた。
なぜ複数の薬草を飲み続けてはいけないか。副作用の他にもまだ理由はある。それを体内で処理する臓器が疲弊してしまうのだ。もちろん魔力で処理され、効果を上げた魔術薬にもその問題はついてくる。
理想を言うなら売る側が注意できればこういう問題は減るだろうが、買ってもらえばもらうほど魔術薬店は潤うものだ。逆に購入額を減らすことになりそうなら、この考えは世に広まりにくいだろうとも思う。
「……ですから、怖いんですよ。魔薬とは比べ物にならないくらい良いものですけど。あんまり酷いと寝ついてしまうときもあって──」
「お兄さん、あんた目が綺麗だねえ。曇ってるはずの空に星が浮かんでいるようだ」
「聞いてます? 朝夕だけでいいですからね。この匙一杯分だけ。お客様は華奢ですし、これより多いと摂り過ぎになりますから──」
「あらやだ。中身も紳士だねえ。私ほんとに毎日来ちゃうわ」
『お売りするものがないですよー』『それもそうよねえ。お茶とお菓子でも出したらどお?』と続く会話を横で聞きながら、じゃあ茶菓子でも作ろうかな、何にしよう、と考えていた。
俺の妻はまたナンパされているわけだが、さすがにこのお婆ちゃんに嫉妬するほど余裕がないわけじゃない。むしろ彼を好いてくれるのは俺としてもありがたい。
「ねえねえお兄さん。あなたはここの従業員さん?」
「あ、俺ですか? いえ、違います。今は街にある──」
「あら、違うのね。まだ独身の方? 恋人は何人いらっしゃる?」
「なっ、そんな何人もいないですよ。俺はクラースさんの、この彼の──」
「あなた、うちの息子のお嫁さんにどうかしら。ちょうど年の釣り合いが取れてるし、お給料もちょっといい方よ! イゴルっていうんだけど!」
「結婚してます。この彼と! 遠慮させていただきます!」
『え──??』という不満たらたらの声を揃えた女性たちは、唇を尖らせ顔まで揃えた。そんな不満気な顔をされましても。事実も事実なんですが。
あとなんか聞き覚えのある名前が出たぞ。色々あって息子さんとは知り合いです、と馬鹿正直に言ってしまえば最後、根掘り葉掘りが始まるに決まっている。胸にしまっておこう。永久に。
この後もひとり、またひとりといった感じで少人数のお客さんが一組ずつこの店を訪れていた。本当にお茶用意しとく? という話も詰められないままその日は閉店の時を迎えた。
利益をしっかり取ろうと思えば、価格はあまり安くはできない。だから最初の購入額は少なくても、試しにと買ってみた化粧品のクリームが良かったからと来店されるお客さんが多くいた。
さらにせっかく来たから、ついでに、と健康相談をされていく。そして最初よりも多く買い物をしてくれる。良い循環である。
クラースさんはお客さんの話を聞いて記録を取ったものをめくりながら日誌としてまとめている。俺はなるほどなーと感心していた。俺だったら終わり次第さっさと帰り支度をして、夕飯は何にしようということしか考えていなかっただろう。
「女性はどこも少ないからさ。ひとりで行動される方も基本いないし。だから奥様へのお土産程度に買ってもらえればなーって意図で作ってみたけど、まさかこんなに人気が出るとは思ってなかったね」
「多かったですよね。どこにこんなに居たんだろーって思うくらい。他の商品も作ってみたらどうですか?」
「そうだねー。話を聞いてたら、すごく良かったけどもう少しさっぱりしてたらいいとか、逆にもっとしっとりしてたらいいとか。人によって肌の状態は違うから、種類を増やしてみようかな。あと冬場はもっと乾燥するから、唇に塗るものとかねー」
「良い噂をもっと広げるなら、なんか見た目でわかる特徴出すとか。ムカつきますけどあの木の絵をクリームの蓋に貼っておくとか?」
クラースさんはパッと目を輝かせて、『それいいかも!』と喜んでくれた。しかし何か描いてみてと言われてしまい、渋々描いて見せてみたらギャハハハと笑われた。『三歳児の絵じゃん』という講評をいただいた。
だってさあ。最初に無理って言ったじゃん。俺、絵心とか全然ないから。じゃあクラースさんが描いてよと振ってみたら、彼もまた子供の落書きを生産していた。
しかし俺の絵とは少々違い、なぜか木の部分に顔がある。気が狂ったような表情で笑っているその木の横に描かれているのは、絶対登れない角度になった階段および、木の半分以上の大きさがある巨大化した小人の家。
これを笑うなと言われたって無理である。俺もゲラゲラと笑ってしまい、クラースさんはムスッとしたが腹筋は急に止まれない。木に顔を描いた理由がまず不明だし、絶妙にあべこべな方向へ向いた黒目がどうにも笑いを呼び起こされて仕方ない。
「ジルくんの方だって、階段が木の幹を突き抜けてるじゃん。モロに木が傷ついてるよ。呪われて怪我不可避じゃん!」
「く、クラースさんの、家でかくしすぎでしょ。崩落ですよ。ふっ……! しかもこの階段、なんで急に三段目からこんな難易度高くなってんですかっ」
「しょ、省略だよ省略! 画家さんだってやるじゃんか。知らないけど。ジルくんのは家の天井に入口ついてんじゃん。入ったらもう出られないじゃんっ」
「あと、あとっ……! めっちゃ風強いですよねこの日。木の葉っぱがみんな斜め上に流れてってるっ……! 災害級じゃん……!!」
「はー? 躍動感の表現だし。ジルくんのは全部大きく描きすぎてクリームの蓋に絶対合わないじゃん。縮小させたら線潰れちゃうー」
「く、クラースさんの、全体的にちっちゃすぎる……!! なんなんスかこの余白。こんな広い空間の左上にだけぽつんと……ぽつんと小人の家……!! あはははは!!」
素人二人の講評ならぬ泥仕合の開幕である。じゃあ実物を見て描けば、と外に出てみたのだが結果は散々。なぜ見ながら描いてこうなのだ、と二人で頭を捻り続け、下手同士ではろくな改善点も見つけられずに店を閉めた。
これは、自力では無理な類のことだ。あの人を頼ってしまおう。意見が一致し、依頼がてら夕飯はそこで食べようと足を向けた。もちろん、あの蔦に埋もれたあの店のことだ。決まっている。それしかない。
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