乙女ゲームの世界で、愛されてます。

乙女ゲームの世界に転生？！(2)

　私はそう聞いてみるが、イーリンは中々泣き止めずにいる。
　すると、後に来た筆頭執事のモーリスが、説明してくれた。

「お、おじょ、お嬢様は、階段がら足を踏みはじゅして、一ヶ月も眠ってらじだんでず…じょれはぞれは皆で心配していたんですよ？」

と言った。
・・・階段から落ちて一ヶ月、眠ってた？！
　だから、イーリンはこんなに泣いてるのか。

「イーリン？もう私は大丈夫だから泣き止んで？」

と、私はイーリンに声をかける。
　すると、イーリンは泣きじゃくりながらも、それに対して、

「じゅ、じゅみませ、ん」

と、返答する。
　綺麗な顔が台無しだ。
　そして、イーリンが完全に泣き止んだ瞬間に、モーリスが、お母様が帰ってきた。という報告が来た。と言った。
　お母様は領地の端の方に住んでいる医者様達にお話を聞きに行ったらしい。医者様達は、何でも自分から、こちらに来ない場合なにも話すことはない。とおっしゃられたようで、それで、わざわざ出向いていたようなのだ。診てくれるときは医者様達が出向いてくれたようなのだが…
　そうして、考えている内にお母様の足音が聞こえた。
　そしてまた、ドアをバーン！と思いっきり開けられる。いつかドアが壊れそうだ。
　そして、お母様も私に泣きながら抱きついてきた。

「アーネズド～！もう、心配したんだがら～！」

「おっお母様っ！くっくるっ苦しいです！」

「あっ、ごっごめんなざい！大丈夫？」

「はっはい～」

　お母様は、巨乳なだけに抱きつかれると息ができなくなるので要注意だ。
　ふと、お母様の方をみると、凄く心配そうな顔をしていて、やっぱり親だなぁと思った。
当たり前のことなのに、それが少し嬉しかった。
それと同時に、私は転生する前に親に会いに行きたかったなぁと後悔した。
　私の表情が暗かったのか、お母様が心配そうに声をかけてきた。

「大丈夫？どうしたの？」

「なっなんでもありません。ありがとうございます。お母様。」

　私が笑うと、お母様は嬉しそうに笑い、こういった。

「えぇ。どういたしまして。」

そんな、ほっこりした空気を邪魔しないように、　遠慮したような声でモーリスが、

「奥様、お嬢様、旦那様がお帰りになりました。」

「ほんとう？！」

　信じられなくて声が出てしまった。
　なぜなら、お父様は、今から丁度二ヶ月前に遠い外国に出張に出掛けてしまっていたからだ。往復するだけでも、五ヶ月かかるため、こんなに早く帰ってくるのは予想外だった。
　すると、またまた、ドアをバーン！と開けてお父様が入ってきた。
クールでイケメンな顔を歪ませて、私に抱きついてきた。
　おっ重いっ！苦しいっ！
　お父様はそれに気がついて、少し緩ませてくれた。が、離してはくれなかった。
　でも、凄く嬉しかった。
　後ろから、お母様も抱きついてくる。
　イーリンはまた、泣き始めてしまった。だが、私も泣きそうだ。
　暫くの間こんな風に抱き締めてもらう機会なんてなかった。
　私は二人の温もりを感じながら、安心して、ついに泣いてしまった。
　暫く泣き続けて、疲れて私はまた、眠ってしまった。