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悪役令嬢と王子様

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 授業が始まると、それまで話し込んでいた皆が一瞬で静まった。
 やはり貴族の子は、行儀が良い。
 最初は自己紹介から始まった。
 位の低い方から始めるらしい。
 家は下に近い方だからすぐに出番が来るだろう。

「次。」

 先生の上品できびきびとした声が響く。
 私の番だ。
 ・・・あれ?皆、どんな感じで挨拶したんだろう。
 聞いてなかったよ!
 他の貴族の子達とは、関わったことなかったし!
 えっと~まっ、適当で良いか!

「皆様、初めまして。イリスデル・ラーヤスタンといいます。ここにくるまで他の貴族の方々とお話ししたことが無かったもので、失礼なことをしてしまった場合は、是非ともご指摘ください。この九年間宜しくお願い致します。」

 出来るだけ、微笑みながら自己紹介する。
 言い終わったので、座ると、皆が唖然としている。
 何か変なことでも言っただろうか?
 あっ、九年間というのが変だったのだろうか。
 確かに初等部にいる三年間以降は、クラスが多くなり、あまり関わらなくなることも多いらしいし…
 そういうこと?
 私がキョトンと首を傾げると、先生がハッとし、次の自己紹介に移った。
 次の自己紹介を聞いたときに分かった。
 何故、皆が唖然としていたのかが。
 私の自己紹介が丁寧で、子供らしくなかったからだ。
 普通、七歳児はこんな話し方しないもんね。それこそ、英才教育とか受けてないと…
 ・・・まぁ、言ってしまったものは、仕方がないか。
 少しぼんやりとしていると、隣のレベッカ様の番になっていた。
 レベッカ様は美しいので、皆が見とれている。

「初めまして。レベッカ・エルファスです。皆さん仲良くしてくださいね。」

 全然悪役令嬢らしくない自己紹介だな~。
 さて、この次が王子様だ。

「次。」

 変わらずきびきびとした声が響く。

「初めまして。この国の王子、カーリス・メンデリットです。王子だからといって、遠慮しないでくださいね。学校は皆が平等の場所ですから。」

 こっちは、凄い主人公っぽい自己紹介だな。
 それにしても、周りの女子達の黄色い歓声がうるさい。

「お静かに!」

 先生の声で、すぐに静かになった。
 すると、丁度授業終了の鐘がなった。

「それでは、一旦休憩とします。各自自由に動いても良いですが、30分には、授業開始の鐘がなるので席につけるようにしてください。以上。」

 一斉に皆が動き出す。
 私はボーッとしていると、数人に話し掛けられる。

「ねぇ、貴方。聞いてるの?・・・イリスデル・ラーヤスタンさん?」
    
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