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クーデターのその後
しおりを挟む僕が偽物の捜査員から聞いた情報は、全くの嘘っぱちだった。
「男爵令息は生かしておく必要もそろそろないし、処刑しちゃおうか」
男爵が計画していた裏に、やはりピスカルソーダ国の元国王夫妻がいた。
そっちはベルギアン卿が率いる王国騎士団が取り押さえ、逆賊として処刑が完了していた。
というか、捕まえるつもりが力加減間違えちゃって、プチってなっちゃった、という報告を魔法具を通して聞かされた。
アレだ、猫が獲物を玩具のごとくいじり倒しちゃって、千切れちゃったみたいな。
極めつけが「人って脆いんだね」だった。
ビランコ産の人は皆突き抜けてる。
トルシエ王妃も実は強いんだろうか?
「男爵は既に処刑が完了してる、獣人化してる子供は保護下に入ってるが、子供達の両親が行方不明でベルギアンに捜索をしてもらっているどころだ。
間違いなく、向こうの国へ行かされているだろう。
厄介なのは、獣化した子供がいると言う事実を忘れてしまっているだろうって事だ」
「父上、それについては宰相様ご本人が出向いて、探されるそうですよ」
「え? 私はそんな事一言も」
「言ったじゃないですか。
私や法務部署長を危険に晒してごり押しの捜査をさせた事のお詫びを何でもするって。
海外旅行とでも思って、七泊八日くらいでお願いします」
つまり、実質7日で探し出して来いよ、って事だ。
「あら良いわね。
うちのイルちゃんを泣かせたんですもの、そのくらいのお仕置きは軽いもんですわ」
「イルお兄様をそんな風に陥れたんですか? ヴォーガン宰相。
泣かせて楽しかったのかしら?」
トルシエ王妃迄も、この悪だくみに加担し始めちゃったよ。
「きっと宰相様の事だから、そつなく子供たちの両親をみつけてくれるさ。
なぁ?」
公爵様も砕けた口調で言ってるけど、全く目が笑ってなかった。
全員だ。
最後に国王が「意地の悪い事をしたな、童貞じゃあるまいし」 と言うと反応は、童貞だったようだ。
「いまここで童貞は関係ないじゃないですか!」
「え?本当に童貞だったの?」
「童貞ですか?」
「どうていかぁ」
男性陣はニヤニヤと言い、夫人と王妃はモゲレバイイノニ、と不穏な事を言っていた。
「ごめんなさい。ちゃんと謝罪してくださったのに」
彼らの前ではどうにも出来なかった。
「いえ、確かにイリエラ殿には酷い事をしましたし、ここまで事が大きくなって危険に晒したのも事実ですから」
宰相様は改めて、僕には謝罪した。
「お前ら覚えてろよ」
「忘れますよ~」
公爵様も煽るの止めてあげてくださいよ~。
そう言うと、数人の捜査員を連れて、さっそく出発してしまった。
クーデターになった以上、獣化した子供たちの両親が生きてる保証はかなり低くいだろうから、一刻でも早く探し出してあげなくてはいけなかった。
「さて、改めてイルとデートしなくちゃね」
あの時は興奮したのと、感情的にも感極まってしまって物凄く大胆な事をしたと、思い出してしまって凄く恥ずかしくなった。
「サイアス様、こちらを」
何かを手渡していた。
「ボーナスを与える」
ん? なんでボーナス?
「お兄様、一体何を?」
「サイアス、何を貰ったのよ?」
女性二人に覗き込まれて、私が見たらね、と言っていた。
? 何だろ? 僕も後で見せて貰おうっと。
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