子豚のワルツ

ビーバー父さん

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娼館と黒幕

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マロはトルクに咲季の連れて行かれた場所を、鷹を使って伝えた。

〔父様、母様居場所は娼館ですよ〕
 
「マロ!ありがとう!」






「伝わったよ」

「場所も知らないのに、飛び出すとか
 母様の為なら分からなくもないけど。
 英知と謳われた宰相が、残念だな。」

フロウは監視をそのままに、ジャズの仕事を継続していた。

「フロウ、母様の能力じゃないとは思うけど
 黒髪がばれたらどっかに売られる可能性もあるよ」

「そこな。
 父様とシュリが間に合うといいけど」

その会話を聞き留めたシャズが割り込んで来た。

「それ、どこの娼館?」

「シャズ叔父上、シュリが前にどこかの兵士と行ったとこです。
 裏路地の、サモンって店ですね」

「サモンって、裏でやばいルート使って希少種の獣人を売ってるって、話が最近上がって来てなかったか?」

急いで山積みになってる書類の中から、サモンの案件を探しだして確認した。

報告書は、希少種や黒に近い色の者たちを拉致して、地下オークションで売り捌いているとの内容が書かれていた。
既に解決するために、暗部の者が潜入しているはずなのに、咲季の報告が来ていない。

「暗部に裏切り者がいるとしか考えられんな」

シャズは、咲季が城下へ行くことにしたのは数時間前。
そのタイミングで情報が漏れない限り、行動の予測は出来ない、なら、ここでどこに視察へ聞くか漏れていれば、狙うことが出来る。

「フロウ、マロ!!
 偶然じゃない!
 ワイス!!
 粛清せよ!
 裏切りの血を根絶やしにせよ!!!」

ワイスは音もなく現れ、深々と頭を下げるとすぐに消えた。

「予測してなかった。
 計算し直しだ」

「フロウ、僕たちも行こう」

「不本意
 計算が合わない」

「もう!フロウ!
 それが間違ってたんだから、
 自分で動くしかないじゃん!」

「分かってる!
 だから犯人を捜してる!
 真の犯人を!」

いつも冷静に端的に事実しか言わないフロウが、イライラと物凄い速さで監視カメラを確認していく。

「ごめんね、フロウも怖かったよね
 母様、絶対助け出そう、ね。
 僕も記憶を探すよ。
 叔父上が言ったように、ここの暗部に裏切りがいるなら
 誰かが母様の情報を流してるはずだ。
 この王宮で。
 なら、ここから探る!!」

数時間前、それよりもっと前、咲季がこの国に来た日まで遡って索敵した。

「ああぁあ!!!!!」

「マロ、記憶に取り込まれるな!!
 シンクロしすぎてはダメだ!!」

聞いていた過去の記憶を、鮮明に掘り上げてしまった。

「母様!!
 酷い、酷い、父様まで!
 酷いよ!!」

「マロ、しっかりしろ!!
 飲み込まれてんじゃねーよ!!!」

マロが過去の記憶を見てそれを可視化する故に、自分が体験したかのようにシンクロしてしまのでまだまだ訓練が必要だったが、今、咲季を見つけるためには、必要だと判断して展開したのだった。

「あ、あ、あ、母様、母様、母様!」

「マロ!!!
 母様を助けなきゃいけないんだ、しっかりしろ!!
 壊れてんじゃねーぞ!!」

「う、あ、くっそぉ!!
 見えた!こいつ!!」

「分かった、こっちもいた!」

潜入していた暗部の人を操っている者がいた。

それはマロの記憶で見た、トアだった。

「僕、こいつ嫌い
 絶対許さない
 母様に傷一つ付けたら、魂ま灼き尽くしてやる」

「俺は、この状況が既に許せねー」

トアは、この国に舞い戻って来ていた。




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