53 / 122
約束の
しおりを挟むシャズさんが僕にスキルの話をした。
聞こえるようになったのはスキルが発動したのではないかと。
「僕、スキルがあるんですね。
だから?
でも、ファングの声は聞こえないですよ?」
「んんん、それは、ん
えー、ゴホン、まあ、その、そこはトルクと話してくれるといいかな。
咲季ちゃんは、しっかりトルクと話す事、これが今一番大事な事だよ。
わかった?」
「う、ハイ」
「いい子だ。
いきなり動いて疲れただろ?
部屋で、少し休みなさい。」
ファングに支えられながら、部屋へ戻ると、やっぱり結構疲れたんだ。
ベッドへ腰掛けて、転がるとすぐに睡魔が訪れた。
夢を見たていた。
色々な場面がドラマのダイジェスト版みたいに流れる。
僕がいる事もあれば、いない事もあった。
咲季、これが君のこの世界での記憶だ。
やっと目覚めたと思ったら色々拒否ってるから、私も困り果ててたよ。
でも、さすが咲季だ。
悩んで悩んで一周回って優しくなっちゃうんだよな。
神の祝福をあんな使い方して、次は無いからね?
神の沽券に関わってたくらいなんだから。
えっと、だって、どんな使い方したか分かってないし、それに今だってまだ曖昧な感じだし。
それはちゃんと咲季がトルクや他の人と向き合って判断するべきことだからだよ。
嫌なら私の所へおいで。
神の末席に加えてあげるから。
でも、そうじゃないならちゃんと向き合って。
その目も!!瞼を閉じたままだから見えないんだよ。
ちゃんと本質を見て、自分で決めなさい!
誰の言葉を信じるの?
誰を信じたいのか、考えてね。
神様、待って!
なに?
あの、赤ちゃんが出来て、その、神様が名前を考えてくれませんか?
え?赤ちゃんできたの?
はい。
咲季、もう答え出てるじゃん。
そんな笑顔が出来るんなら心配いらないかな。
子供が生まれたら、ギフトを持って行くよ。
ありがとうございます。
「神様、ありがとうございます」
目覚めたら知らない天井だった。
そして横には獣化したトルクがいた。
「トルク様?」
「咲季?どうした?」
「ファングなんて名付けてすみませんでした」
「いや、え?
え???えぇ?」
「神様に凄く、怒られました」
「咲季、見えてるのか?
それに、私に笑ってくれるのか?
私が分かるのか?」
「はい、トルク様
そんなに泣かないでください
素敵な顔が台無しですよ」
疲れ切った顔をしていた。
ダイジェスト版で観た記憶だったけど、それでもかなり酷かった。
でもね神様の言う通り、誰の言葉を聞いて誰の言葉を信じるのか、決めるのは僕の心なんだ。
「トルク様、僕はまだ好きでいてもいいですか?
このお腹の子は、貴方をお父様と呼んでも良いのでしょうか?」
僕をまだ選んでくれるんだろうか?
この子を愛してくれるんだろうか?
「咲季、愛してる。
こんなに可愛い子は他にいない」
「ね、仲直りの約束おぼえてます?」
「ごめんねってしたらキスをするんだ」
トルクは僕にキスをしてくれた。
大好きと愛してるとごめんねを飲み込んだキスをした。
そして、ぎゅうっと抱きしめたら、雄たけびを上げた。
「うおおおおおおおおおおお!!!!!」
響き渡る雄たけびに、お父様やお兄様、ワイスや使用人、そして可哀相な弟たちが部屋に駆けつけて、僕とトルクを見てみんなが、雄たけびを上げて泣き出した。
可愛そうな弟たちは口々に、ごめんなさい、ごめんなさいと言って縋って来るし、お兄様たちまで、すまなかったと頭を下げて男泣きするし、お父様は豪快な笑いと共に豪快な鼻水を垂らして号泣するしで、ちょっとカオスでした。
2
お気に入りに追加
793
あなたにおすすめの小説
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
完結・虐げられオメガ妃なので敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王に溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
転移した体が前世の敵を恋してる(旧題;砂漠の砂は海へ流れ)
せりもも
BL
ユートパクス王国で革命が起きた。貴族将校エドガルドは、王への忠誠を誓い、亡命貴族となって祖国の革命政府軍と戦っていた。エイクレ要塞の包囲戦で戦死した彼は、ユートパクスに征服された島国の王子ジウの体に転生する。ジウは、革命軍のシャルワーヌ・ユベール将軍の捕虜になっていた。
同じ時間軸に転生したエドガルドは、再び、王の為に戦いを続けようと決意する。手始めに敵軍の将軍シャルワーヌを亡き者にする計略を巡らせる。しかし彼の体には、シャルワーヌに対する、ジウ王子の激しい恋心が残っていた……。
※革命軍将軍×異国の王子(亡命貴族)
※前世の受けは男前受けで、転生してからはけなげ受けだったはずが、どんどん男前に成長しています
※攻めはへたれで、当て馬は腹黒、2人ともおじさんです
※伏線、陰謀に振り回され気味。でもちゃんとB(M)Lしてます
表紙画像 Jorge Láscar "Pont d'Avignon"
https://www.flickr.com/photos/jlascar/49808689937
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる