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瞬く間に、滑り落ちる
しおりを挟む城門へ向かうと、レオハルトが二人の兄と攻防を繰り広げていた。
シャズもロゲルも、ワイスにあの使用人たちも、だ。
「咲季、さま?」
ワイスが僕に気づくと道をあけた。
疲れたよ。
もう、誰かを想って泣くのをやめたい。
誰かの為に泣く人を、守れない。
「れお、僕の他にも伴侶候補もいっぱいいるのに、こんなとこまで来ちゃって
王様が国を空けちゃだめでしょ?」
「さき、一緒に帰ろう」
「死出の国でよければ、参りましょう」
「咲季ちゃん、どうしたの?
ね、何があったの?!」
シャズが僕を見た。
真っ赤に流れる血の涙を見て、まさか、と言う顔をした。
「あぁ、お兄様もご存知だったのですね。
この計画を。」
僕は本当にバカだ。
「咲季様…
何を聞かされたかわかりませんが、坊ちゃまを信じてあげてください!!」
「さき、コイツらに酷い事をされたんだな!
帰ろう、さき!」
「ああ、そっか、豚の僕がいなくなれば良いんだ。
ふふふ、分かっちゃった。
ね、レオハルト、国王としての責任を取ってね。」
ー心が壊れたことにより、魂に刻まれた憎悪などの感情が解放されましたー
ースキル 終焉を獲得ー
ーレベルがMAXになりましたー
ー特殊スキル 神の怒り及び、天罰を獲得ー
ー称号 世界を穿つ者がスキルへ変更されましたー
「終焉を発」
「ダメ!!咲季!!
君が罪を背負う事は無い!
自己責任なんだよ!」
多分凄く綺麗に笑えたと思う。
「とる、くさま、だいすき、でした。」
「私も愛してる、だから、だから、ごめんなさい、ごめん、ごめんね」
「なに、をないてるの?
とる、くさま」
シャズとロゲルが戦いながら、僕が壊れた事を知ったみたいだ。
「咲季ちゃんを、壊したのか?」
「しゃ、ず、さま、だい、じょう、ぶ、です
ぼく、は、彼らを、死出の国へ、連れていきま、すから
みな、さん、は、じゆ、うに、なれま、すよ」
僕は心を閉じて瞳も閉じた。
「神様!咲季を助けて!
お願いです、貴方の愛し子を助けて!」
灼きつくす程の光が城全体を包んだ。
トルク、私は物凄くガッカリしたのと、怒っているよ!
神の祝福だけど、こんな状態、普通じゃないよ。
咲季は優しすぎるんだ、言葉を選び感情を後回しにして、悩んで悩んで、優しくしちゃう子だって言ったよね?
君の計画、知ってたけど、ちゃんと守ってくれると思ったから任せたのに。
弟だろうが、家族だろうがやっちゃいけない事、言っちゃいけない事を諌めなよ。
神様、咲季を助けてください!
咲季が心を閉じちゃってる。
ここまでしたかったのかな、君たちは。
咲季が君達の事情に何か関係があった?
私もこの子を転生させた時、意思も弱くてどうなる事かと思ったけどさ。
咲季、目を覚まして、咲季。
しばらくは、私と神の世界にいよう。
誰も君を傷つけないから。
咲季は?
ダメだ。
まさか神の力も及ばないとは。
とにかく、力を送り続けはするから、咲季が目覚めるまでちゃんと守って、今度こそだよ!
分かった?
光の波が引いた後には、眠ったように目を閉じた咲季がいた。
「最初から、貴方方の国と喧嘩してればよかったんだ。」
「トルク、さきを返せ!」
「何の為に?
貴方の国を繁栄させる為に?
ご自分は他の穴を求め遊んでいても?
慕うこの子を裏切ったのは私も同じですけどね。
なんで咲季だけが、こんな事になるんでしょうね?」
「さきには子を産んでもらう、そうすれば安泰だからな。」
「いいえ、孕むとしたら私の子です。」
「貴様、さきを抱いたのか?」
「えぇ、何度も。
言祝ぎの誓いもしました。」
「トルク、貴様、殺す、殺す!」
「何故?他にもいるんですから、そちらと子を成せばよろしいのでは?
咲季は全身で愛を受け止めてくれるんですよ。
可愛いですよね」
「さきから離れろ」
「ワイス、咲季を頼む」
トルクはワイスに咲季を預けて城の外へ出た。
いざ戦おうとしたときに、トアが割って入って来た。
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