子豚のワルツ

ビーバー父さん

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伴侶解消

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「私たち白豹は、ずっと北の種族だったそうです。
 雪に覆われた地で、獲物を狩るのに適した色を纏う様になったと言われています。」

僕を抱きしめたまま、話し始めた。

「トルク、僕に敬語をやめて」

「ふふ、言われちゃいましたね」

穏やかに笑うトルクを見るとホッとした。

「じゃあ、北に向かうの?」

「北にある国なら、二人で暮らせます。」

「もう、敬語!」

「あ、なかなか
 慣れってやつが、邪魔してるな」

トルクって、意外と筋肉質でがっしりしていた。

「なんで、北なら暮らせるの?」

「私の両親が治める国だからですよ」 
 
はあ? 
多分今までにないくらい、酷い顔をしていたんじゃ無いかと思う。

「私は第三王子だったので、留学先のあの国でそのまま宰相として採用されたんだ。」

「そうなんだ。」

「そういえば、さきちゃん
 子豚の姿なのに喋れてる」

「うん、有末の時に意思疎通と解読ってスキルがついたら、喋れるようになってたの」

「ぷきゅぷきゅ言ってたのも可愛かったのになぁ」

「もう、喋るの大変だったんだから」

抱っこされたまま、歩き始めたトルクに自分で歩くと言うと、ならゆっくり旅をしながら向かいましょうと言われた。

色んなとこに寄って、色々知って僕はこの世界で生きなきゃいけないんだ。
人化して、隣を歩く。

「トルクって、色々謎だなぁ」

「ちゃんと、私を隅々まで教えるから覚悟してね」

肩を抱かれてトルクを見上げれば、普段に見せる優しい笑顔よりもっと甘くエロい笑いを浮かべていた。
頬にキスを落とし、そしてこの先はもう少し私を知ったらね、と言われた。

ー獅子王の伴侶が解消されましたー
ー比翼連理が解消されましたー

「ははは、」

「どうした?」

「いま、伴侶が解消され、比翼連理も無くなった」

「そうか…」

人の心は縛れないし、いっときだけでもあの人達を家族と思えて良かった。

ー称号 鳳凰于飛を取得しましたー

ん?鳳凰于飛って何?

「トルク、鳳凰于飛って何?分かる?」

「まさか、ステータスを確認します」

種族 獣人〔成体〕
称号 世界の英知 白闘王
   世界の監視者 
   神の愛し子に愛されし者
   神の愛し子の伴侶
   世界の父
   鳳凰于飛
   
Lv. 999+

HP  999999+
MP  999999+
スキル 光の申し子 審判 神の権威を奮う者 全属性耐性 
特殊スキル 神の裁き 雪月花 魂の本質を知る者


「さきちゃん、私を好きになってくれた?」

「い、いや、そんな事すぐには無理だよ
 多分、誰か違う人だよ」

神の愛し子って子がいるんだろうし。

「神の愛し子はさきちゃんだよ。
 転生者って、本当なら勇者候補って付くんだよ
 そして、私はあの国の候補システムをずっと調べていてね
 多分、犯罪履歴のある者が候補になってるんだと思うんだ」

「それ、僕も思いました。
 迷宮は、牢獄の役割をしてるんじゃないかって」

「あの国独自のシステムってわけでも無くて、
 世界のいたるところで勇者候補は生まれているんだよ。 
 そして各国の王宮の地下には、迷宮が隠されているんだ。
 だからね、さきちゃんの転生の仕方は特別なんだ。
 それに、私のスキルで魂の本質は見れたから、良く分かるよ。
 神様の愛がいっぱいあって、たくさん迷って悩んで、それを神様は求めてるんだねぇ」

「でも、僕のせいで勇者候補が選抜出来なかったって…」

「あ~あの脳筋ね。
 アサルトなんてなんも知らないバカだから良いんだよ。
 世界の理も、人の愛情も、筋肉で押せばどうにかなるくらいに思ってるバカだから
 それにのっかるレオハルトもレオハルトだしね
 あ、ごめん
 ちょっと今は良くなかったね」

「ううん、大丈夫。
 比翼連理が解消されたのと伴侶が解消されたのが分かった時に、やっぱりかって思ったから。
 僕もね、称号に甘えすぎてたんだと思う。
 称号があるから、絶対大丈夫だなんてね。
 だから、責任は僕にも」
「無いよ、まったく無い!!!!
 すべての責任はあのバカ二人だ!」

僕の代わりに怒るトルクを見て、笑ってしまった。
自分の感情を共感してくれる人がいるって、こんなに嬉しいものなんだって思った。

「トルクが来てくれて、良かった」

僕は心の底から、一人じゃなくて良かったと思ったんだ。
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