29 / 122
伴侶解消
しおりを挟む「私たち白豹は、ずっと北の種族だったそうです。
雪に覆われた地で、獲物を狩るのに適した色を纏う様になったと言われています。」
僕を抱きしめたまま、話し始めた。
「トルク、僕に敬語をやめて」
「ふふ、言われちゃいましたね」
穏やかに笑うトルクを見るとホッとした。
「じゃあ、北に向かうの?」
「北にある国なら、二人で暮らせます。」
「もう、敬語!」
「あ、なかなか
慣れってやつが、邪魔してるな」
トルクって、意外と筋肉質でがっしりしていた。
「なんで、北なら暮らせるの?」
「私の両親が治める国だからですよ」
はあ?
多分今までにないくらい、酷い顔をしていたんじゃ無いかと思う。
「私は第三王子だったので、留学先のあの国でそのまま宰相として採用されたんだ。」
「そうなんだ。」
「そういえば、さきちゃん
子豚の姿なのに喋れてる」
「うん、有末の時に意思疎通と解読ってスキルがついたら、喋れるようになってたの」
「ぷきゅぷきゅ言ってたのも可愛かったのになぁ」
「もう、喋るの大変だったんだから」
抱っこされたまま、歩き始めたトルクに自分で歩くと言うと、ならゆっくり旅をしながら向かいましょうと言われた。
色んなとこに寄って、色々知って僕はこの世界で生きなきゃいけないんだ。
人化して、隣を歩く。
「トルクって、色々謎だなぁ」
「ちゃんと、私を隅々まで教えるから覚悟してね」
肩を抱かれてトルクを見上げれば、普段に見せる優しい笑顔よりもっと甘くエロい笑いを浮かべていた。
頬にキスを落とし、そしてこの先はもう少し私を知ったらね、と言われた。
ー獅子王の伴侶が解消されましたー
ー比翼連理が解消されましたー
「ははは、」
「どうした?」
「いま、伴侶が解消され、比翼連理も無くなった」
「そうか…」
人の心は縛れないし、いっときだけでもあの人達を家族と思えて良かった。
ー称号 鳳凰于飛を取得しましたー
ん?鳳凰于飛って何?
「トルク、鳳凰于飛って何?分かる?」
「まさか、ステータスを確認します」
種族 獣人〔成体〕
称号 世界の英知 白闘王
世界の監視者
神の愛し子に愛されし者
神の愛し子の伴侶
世界の父
鳳凰于飛
Lv. 999+
HP 999999+
MP 999999+
スキル 光の申し子 審判 神の権威を奮う者 全属性耐性
特殊スキル 神の裁き 雪月花 魂の本質を知る者
「さきちゃん、私を好きになってくれた?」
「い、いや、そんな事すぐには無理だよ
多分、誰か違う人だよ」
神の愛し子って子がいるんだろうし。
「神の愛し子はさきちゃんだよ。
転生者って、本当なら勇者候補って付くんだよ
そして、私はあの国の候補システムをずっと調べていてね
多分、犯罪履歴のある者が候補になってるんだと思うんだ」
「それ、僕も思いました。
迷宮は、牢獄の役割をしてるんじゃないかって」
「あの国独自のシステムってわけでも無くて、
世界のいたるところで勇者候補は生まれているんだよ。
そして各国の王宮の地下には、迷宮が隠されているんだ。
だからね、さきちゃんの転生の仕方は特別なんだ。
それに、私のスキルで魂の本質は見れたから、良く分かるよ。
神様の愛がいっぱいあって、たくさん迷って悩んで、それを神様は求めてるんだねぇ」
「でも、僕のせいで勇者候補が選抜出来なかったって…」
「あ~あの脳筋ね。
アサルトなんてなんも知らないバカだから良いんだよ。
世界の理も、人の愛情も、筋肉で押せばどうにかなるくらいに思ってるバカだから
それにのっかるレオハルトもレオハルトだしね
あ、ごめん
ちょっと今は良くなかったね」
「ううん、大丈夫。
比翼連理が解消されたのと伴侶が解消されたのが分かった時に、やっぱりかって思ったから。
僕もね、称号に甘えすぎてたんだと思う。
称号があるから、絶対大丈夫だなんてね。
だから、責任は僕にも」
「無いよ、まったく無い!!!!
すべての責任はあのバカ二人だ!」
僕の代わりに怒るトルクを見て、笑ってしまった。
自分の感情を共感してくれる人がいるって、こんなに嬉しいものなんだって思った。
「トルクが来てくれて、良かった」
僕は心の底から、一人じゃなくて良かったと思ったんだ。
2
お気に入りに追加
791
あなたにおすすめの小説
雪狐 氷の王子は番の黒豹騎士に溺愛される
Noah
BL
【祝・書籍化!!!】令和3年5月11日(木)
読者の皆様のおかげです。ありがとうございます!!
黒猫を庇って派手に死んだら、白いふわもこに転生していた。
死を望むほど過酷な奴隷からスタートの異世界生活。
闇オークションで競り落とされてから獣人の国の王族の養子に。
そこから都合良く幸せになれるはずも無く、様々な問題がショタ(のちに美青年)に降り注ぐ。
BLよりもファンタジー色の方が濃くなってしまいましたが、最後に何とかBLできました(?)…
連載は令和2年12月13日(日)に完結致しました。
拙い部分の目立つ作品ですが、楽しんで頂けたなら幸いです。
Noah
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
【完結】白い塔の、小さな世界。〜監禁から自由になったら、溺愛されるなんて聞いてません〜
N2O
BL
溺愛が止まらない騎士団長(虎獣人)×浄化ができる黒髪少年(人間)
ハーレム要素あります。
苦手な方はご注意ください。
※タイトルの ◎ は視点が変わります
※ヒト→獣人、人→人間、で表記してます
※ご都合主義です、あしからず
巨人族の1/3の花嫁〜王様を一妃様と二妃様と転生小人族の僕の三妃で幸せにします〜〈完結〉
クリム
BL
一回めは処刑された老臣、二回めは鬼教官、三回めは教師、そして四回めの転生は異世界で小人族ですか。身長一メート僕タークは、御信託で巨人族にお嫁入りです。王様はどう見ても三メートルはあります。妖精族のソニン様、獣人族のロキと一緒に王様になりたてのガリウス様を幸せにします。まず、王様のイチモツ、入りますかね?
三人分の前世の記憶と、豆知識、そして貪欲な知識欲を満たすため、異世界王宮改革をしていく三妃タークの物語。
※はご高覧注意です。
『小説家になろう』にも同時連載。
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
【R18】満たされぬ俺の番はイケメン獣人だった
佐伯亜美
BL
この世界は獣人と人間が共生している。
それ以外は現実と大きな違いがない世界の片隅で起きたラブストーリー。
その見た目から女性に不自由することのない人生を歩んできた俺は、今日も満たされぬ心を埋めようと行きずりの恋に身を投じていた。
その帰り道、今月から部下となったイケメン狼族のシモンと出会う。
「なんで……嘘つくんですか?」
今まで誰にも話したことの無い俺の秘密を見透かしたように言うシモンと、俺は身体を重ねることになった。
婚約破棄王子は魔獣の子を孕む〜愛でて愛でられ〜《完結》
クリム
BL
「婚約を破棄します」相手から望まれたから『婚約破棄』をし続けた王息のサリオンはわずか十歳で『婚約破棄王子』と呼ばれていた。サリオンは落実(らくじつ)故に王族の容姿をしていない。ガルド神に呪われていたからだ。
そんな中、大公の孫のアーロンと婚約をする。アーロンの明るさと自信に満ち溢れた姿に、サリオンは戸惑いつつ婚約をする。しかし、サリオンの呪いは容姿だけではなかった。離宮で晒す姿は夜になると魔獣に変幻するのである。
アーロンにはそれを告げられず、サリオンは兄に連れられ王領地の魔の森の入り口で金の獅子型の魔獣に出会う。変幻していたサリオンは魔獣に懐かれるが、二日の滞在で別れも告げられず離宮に戻る。
その後魔力の強いサリオンは兄の勧めで貴族学舎に行く前に、王領魔法学舎に行くように勧められて魔の森の中へ。そこには小さな先生を取り囲む平民の子どもたちがいた。
サリオンの魔法学舎から貴族学舎、兄セシルの王位継承問題へと向かい、サリオンの呪いと金の魔獣。そしてアーロンとの関係。そんなファンタジーな物語です。
一人称視点ですが、途中三人称視点に変化します。
R18は多分なるからつけました。
2020年10月18日、題名を変更しました。
『婚約破棄王子は魔獣に愛される』→『婚約破棄王子は魔獣の子を孕む』です。
前作『花嫁』とリンクしますが、前作を読まなくても大丈夫です。(前作から二十年ほど経過しています)
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる