子豚のワルツ

ビーバー父さん

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勇者候補召喚再び

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怖いくらい感じた。
お腹の中の深いところが、凄く欲しがった気がした。

「ふふ、下のお口かられおのおちんちん、いっぱい食べちゃったね」

横にいるレオハルトを見ながら言うと、ニヤッと笑ってまた食べてね、と言われた。






コンコンコンコン!

「えーゴホンゴホン、もうよろしいでしょうか?
 陛下、そろそろ仕事に戻ってもらえませんかね?」

寝室の扉の向こうから、トルクの声が聞こえた。

僕たちは笑い合いながら、急いで衣服を身に着けると、扉を開けてトルクにごめんねって謝った。

「もう、さきちゃんが嫌がらせされてるって護衛騎士が駆けこんできたもんだから、陛下は飛び出していくし。
 この城の中はね、思ったよりさきちゃんを可愛いって思ってる奴らばっかなんだよ。
 だから、頼っちゃってね。」

「元いじめられっ子はこんなことぐらいじゃ負けないし!
 それにね、一番コンプレックスだったデブも、レオハルトや、トルク様のおかげで、それでもいいやって思えたんです。
 もし、この先太ったとしても、僕は負けないよ」

「太っても可愛いから大丈夫だ」

「そうですよさきちゃん」

幸せだと思った。
あの世界で、灰色な死にたくなるような感情を毎日抑えて通った学校も、僕にとっては二度と見たくない世界だし、異世界の恋愛事情はちょっとアレだけど、それでもこの世界に来て良かったと思ったよ。




これで、終わり。







なら良かったんだけどな…。

トルクが調査で出してきた報告書がヤバかった。

「どうも、変な魔力溜まりの様なスポットが出来ていて、そこに入ってしまった魔獣が凶暴化しているようなんだ。
 そして、そこは広がって行っている。
 勇者候補がまた召喚されたという報告も上がってきているし、もしかしたら魔王が輩出されるのかもしれない」

「勇者候補ってこんな短期間に召喚されるものなの?」

山際がダメになったらすぐ次って、なんか違う意図がある様な気がしなくもない。

「まぁ、五万といる候補者ですからね。
 真の勇者はこの数百年、現れてません。
 称号に勇者候補と言うのを持って生まれて来る者や、
 異世界から召喚される者と様々です。」

「勇者候補って称号で選定を受ける資格が出来るって感じかぁ」

「そうですね。
 今回、報告に上がった勇者候補ですが、
 少し離れた村に現れたようで、
 ルイ・ヤマギワを知っているようです。」

「山際を?」

「はい。
 なので、さきちゃんに危害を加えないか調査中です。」

「誰が来たんだろう?
 僕が知らないだけじゃないかな?
 山際は沢山友達がいたし」

指先が震えた。
今さっき、いじめに何か負けないって言ったのに。

「さき、大丈夫だ。
 私がいる」

「そうですよ。
 さきちゃん、私もいますから」

こんなに心強い味方はいないじゃないか。
国王と宰相だもん。
でもなんだか、嫌な気持ちがするのはなんでだろう。

「その、勇者候補の名前って分かる?」

「タイガ・アリスエだったと思いますよ」

「有末大河…」

僕を最初にイジって、最終的にはイジメの首謀者だった奴だった。
周りを煽って、遊びの一環のようにして、そして僕を庇う様にすることで大人たちには良い子に見える。
僕の性格が悪いから友達が出来ないけど、自分が友達になってあげてる、だった。
僕が友達だと思って相談していたことも、周りに流していた張本人が有末大河だった。
大抵の人の評価が、明るくて周りにも気を使える良い人、その裏では僕を一番苦しめた奴だった。

神様って意志が強い奴を召喚してるって言うけど、性格のとか本当に酷い残虐な人を召喚してるんじゃないだろうか。

「さき、やはり知ってるのか?」

「はい、僕をイジメてた張本人です。 
 とても狡猾で、周りには良い人、優しい人という評価を得て
 僕は性格が悪いデブと言う扱いでした。」

「いるな、そう言うやつは」

「でも大丈夫だよ、陛下は裁定者だし、
 私もそれなりのスキルがあるからね」

トルクはふふと笑って安心してって言われたけど、不安は消えなかった。





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