8 / 122
シェライラと言う存在
しおりを挟む
鑑定士は僕のステータスを見て、少しうなだれた気がした。
そんなに僕を悪いものにしたかったのかな?
その日のうちに、僕が人化出来ることが国王に伝えられ、僕は人の姿になると幼児になるのは分かった。
ん、これ幼児だからぽっこりお腹も可愛いよね、ってやつだよね。
どうにかスリム体型にはならないだろうか?
ソレと、せめて、16歳くらいに成長したい。
山際はちゃんと成人だったのに、なんで僕だけ豚で子供なんだよ。
そして、あの変態以来、王太子の溺愛が止まりません。
事あるごとに、僕に人化しないのかと、聞いてきます。
執務室にいるのも当たり前になりました。
宰相は僕にお菓子やら食べ物を与えようとしますが、王太子が何が入ってるか分からないと言って阻止します。
何が入ってるかって、宰相が一度、でゅふふ、と笑ったので、きっと良いものじゃありません。
そんな中で、僕も段々と王太子といるのが当たり前で、何だか安心できる場所になっていた。
でも、どんなに言われても人化するのはあれ以来やってません。
だって幼児だもん。
それは何となく恥ずかしいし、もし成長していたら、王太子の好みから外れてしまうかもって、そんなことも考えてしまった。
鑑定でそれなりに僕の能力も周知されたし、騒ぎ立てられることも咎められることも、表向きは無くなった。
表向きは、だ。
王太子が常に抱っこで移動しているんだけど、トイレとかで離れることもある。
そんな時を狙って僕に嫌味を言う貴族たちがいた。
「汚い子豚の魔物がうろついておるわ
殿下の伴侶候補などと、国王までが戯れが過ぎるわ」
「豚だろ?
そりゃなんでも子供は可愛く見えるが、大人になって豚なんて
オークの様な醜い二足歩行をするようになるのかな」
嘲笑と嘲りが必ずと言って良いほど浴びせられた。
無視だ無視。
そんな中でも良い人がいた。
「何でそんなひどいことを言うんですか!
この子に罪は無いでしょ」
可愛い見た目の銀色の髪を長く伸ばした少年だった。
「シェライラ様、失礼いたしました。
ですが、貴方様もこの豚がいなければ、殿下の伴侶候補だったのです!
悔しくありませんか?!」
「レオハルト様が決めた事に不服はありませんよ。
このサキ殿を悲しませると、レオハルト様の怒りを買うんですよ、それを理解した上での陰口ですか?」
シェライラと呼ばれた少年は、王太子の伴侶候補として貴族たちが推していた人だった。
豚に伴侶候補を取られるなんて、僕だったら絶対嫌だ。
それなのに、こんな風に庇ってくれるなんて、良い奴だ。
「ぐっ!
失礼した、サキ殿!」
そう言って、貴族たちは踵を返すとそれぞれ散っていった。
「サキ殿、僕が抱っこして執務室に連れて行ってもよろしいでしょうか?」
うん
〔ぷきゅ〕
抱き上げられて、進行方向を向かせられたから、正直シェライラがどんな表情をしてるか分からなかった。
コンコン
「失礼します。
サキ殿をお連れしました。」
王太子は僕とシェライラを見ると、少し片眉を上げて不快感を示した。
なんで?
振り返るようにシェライラの方を見上げると、悲しそうな表情をしたシェライラと目が合った。
王太子の事が好きなんだ。
「さきを渡してくれないか?」
「あ、はい…」
抱っこされていた腕から、僕は王太子の腕の中へ移動した。
「さき、元気が無いな。
何かあったのか?」
「あの、サキ殿は反対派の貴族たちに、嫌がらせを受けていて
その、僕が見つけたので、ここまで連れてきました。」
シェライラは精一杯の笑顔で答えたけど、王太子はそれをそうか、と頷いただけで後は退出するように、と追い払った。
「トルク、以後お前がさきの動向を守れ」
トルクって呼ばれたのは宰相だった。
「え?良いんですか?」
「あぁ、気になることがあるんでな」
シェライラの事も気になるけど、王太子の不機嫌も気になった。
そんなに僕を悪いものにしたかったのかな?
その日のうちに、僕が人化出来ることが国王に伝えられ、僕は人の姿になると幼児になるのは分かった。
ん、これ幼児だからぽっこりお腹も可愛いよね、ってやつだよね。
どうにかスリム体型にはならないだろうか?
ソレと、せめて、16歳くらいに成長したい。
山際はちゃんと成人だったのに、なんで僕だけ豚で子供なんだよ。
そして、あの変態以来、王太子の溺愛が止まりません。
事あるごとに、僕に人化しないのかと、聞いてきます。
執務室にいるのも当たり前になりました。
宰相は僕にお菓子やら食べ物を与えようとしますが、王太子が何が入ってるか分からないと言って阻止します。
何が入ってるかって、宰相が一度、でゅふふ、と笑ったので、きっと良いものじゃありません。
そんな中で、僕も段々と王太子といるのが当たり前で、何だか安心できる場所になっていた。
でも、どんなに言われても人化するのはあれ以来やってません。
だって幼児だもん。
それは何となく恥ずかしいし、もし成長していたら、王太子の好みから外れてしまうかもって、そんなことも考えてしまった。
鑑定でそれなりに僕の能力も周知されたし、騒ぎ立てられることも咎められることも、表向きは無くなった。
表向きは、だ。
王太子が常に抱っこで移動しているんだけど、トイレとかで離れることもある。
そんな時を狙って僕に嫌味を言う貴族たちがいた。
「汚い子豚の魔物がうろついておるわ
殿下の伴侶候補などと、国王までが戯れが過ぎるわ」
「豚だろ?
そりゃなんでも子供は可愛く見えるが、大人になって豚なんて
オークの様な醜い二足歩行をするようになるのかな」
嘲笑と嘲りが必ずと言って良いほど浴びせられた。
無視だ無視。
そんな中でも良い人がいた。
「何でそんなひどいことを言うんですか!
この子に罪は無いでしょ」
可愛い見た目の銀色の髪を長く伸ばした少年だった。
「シェライラ様、失礼いたしました。
ですが、貴方様もこの豚がいなければ、殿下の伴侶候補だったのです!
悔しくありませんか?!」
「レオハルト様が決めた事に不服はありませんよ。
このサキ殿を悲しませると、レオハルト様の怒りを買うんですよ、それを理解した上での陰口ですか?」
シェライラと呼ばれた少年は、王太子の伴侶候補として貴族たちが推していた人だった。
豚に伴侶候補を取られるなんて、僕だったら絶対嫌だ。
それなのに、こんな風に庇ってくれるなんて、良い奴だ。
「ぐっ!
失礼した、サキ殿!」
そう言って、貴族たちは踵を返すとそれぞれ散っていった。
「サキ殿、僕が抱っこして執務室に連れて行ってもよろしいでしょうか?」
うん
〔ぷきゅ〕
抱き上げられて、進行方向を向かせられたから、正直シェライラがどんな表情をしてるか分からなかった。
コンコン
「失礼します。
サキ殿をお連れしました。」
王太子は僕とシェライラを見ると、少し片眉を上げて不快感を示した。
なんで?
振り返るようにシェライラの方を見上げると、悲しそうな表情をしたシェライラと目が合った。
王太子の事が好きなんだ。
「さきを渡してくれないか?」
「あ、はい…」
抱っこされていた腕から、僕は王太子の腕の中へ移動した。
「さき、元気が無いな。
何かあったのか?」
「あの、サキ殿は反対派の貴族たちに、嫌がらせを受けていて
その、僕が見つけたので、ここまで連れてきました。」
シェライラは精一杯の笑顔で答えたけど、王太子はそれをそうか、と頷いただけで後は退出するように、と追い払った。
「トルク、以後お前がさきの動向を守れ」
トルクって呼ばれたのは宰相だった。
「え?良いんですか?」
「あぁ、気になることがあるんでな」
シェライラの事も気になるけど、王太子の不機嫌も気になった。
3
お気に入りに追加
793
あなたにおすすめの小説
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
完結・虐げられオメガ妃なので敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王に溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
獅子王と後宮の白虎
三国華子
BL
#2020男子後宮BL 参加作品
間違えて獅子王のハーレムに入ってしまった白虎のお話です。
オメガバースです。
受けがゴリマッチョから細マッチョに変化します。
ムーンライトノベルズ様にて先行公開しております。
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!
みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。
そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。
初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが……
架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる