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9邪魔者 ※冒頭にあり
しおりを挟む体は熱くて熱くてたまらなかった。
「かりゅ、熱い、ん、」
「ああ、私も熱い、シャリオの中に入りたい」
室内は物凄い熱量になっていると思う。
この後どうするか、耳から聞いた情報と、書物で見た情報の二つから想像していたけど、実際に触れたものや与えられた感覚には、想像を遥かに超える未知のものでしかなかった。
熱に翻弄され流される、それこそが幸せだと思えるほど、カリオスがくれる情熱は確かなものだった。
「だいぶ解れたな」
「ん、ん、もう、入る?」
「いや、今夜はここまでにしよう
流石にいきなりは拡がらないし、明日はこの街を出るのだし、昼間動けなくなるぞ」
自分から初夜だとか抱くとか言っておいて、カリオスは僕だけをたくさんイかせて、ここまでだと宣言した。
「かりゅ、僕の体、だめだった?」
「これほど甘美な事は無かった。
うーん、だがな、邪魔者が来よった」
カリオスは誰かの気配を感じ取っていたらしい。
「其方の元旦那は、色々と執着が強すぎるようだの」
と言う事は、ウィノニダ王がこの国へ来たと言う事か?
「どうして?」
「さぁな。
大方、例の愛する人とやらの魔力では防ぎきれない何かがあって、この国に逃げて来たんだろう」
確かに、今まで僕がいた場所はウィンダリアの中でも辺境も辺境のド田舎で、山一つで隣国と言う場所だった。
「カリュも知ってるんだ、彼が伝染病を防いだとか、敵からの侵略を止めたとかって話し」
「知っている。
あまりにも辻褄の合わない事なのに、人はバカみたいな事をでっちあげるものだとな。
それに視察と称して、シャリオの行方を捜してるのも知ってるぞ」
「え? どうして? 僕がいなければ二人で幸せになれるでしょ?
それに死んだことになってるし、あれから二年も経ってるんだよ?」
僕をカリオスの胸に抱きなおして、まるで寝物語の様に教えてくれた。
「確かに歪な事がまかり通ておる。
その中でも辺境の伝染病は奇異だった。
シャリオしか使えない魔法を、誰も再現できないのに、アロイとやらがいつの間にか救世主として立っていた。
どうしてだと思う?」
カリオスはニヤッと笑って僕に聞いてきた。
「雌性王として立つには平民では難しいから?」
「そうだ、単純それだけだっただろうがな」
欲が出たんだ、と付け加えられた。
「あの時、見ていた者も多数いた。
味方にせよ、敵にせよ、だ。
ならば、容姿が明らかに違う者が、あの場を治め皆を救ったと言っても綻びが出る」
「それは当たり前だけど、でも、王都ではそれが事実として伝わっています」
ふふん、と鼻で笑いながら、ウィンダリアだけがな、と言った。
「あ、そうか。
敵の兵、つまりこの国では違う、僕の話しが伝わっている、と言う事ですか?」
「そうだ、だからあの辺境の村を視察と言う理由で来て、皆殺しくらいにはしたんじゃないか?」
「まさか!! 話が漏れないように?!」
村人全員に記憶を操作する魔法をかけるには、魔導士レベルが十人はいないと無理だろう。
それなら、全員の口を閉じさせた方が早いんだ。
「多分、な。
それか、統治下において厳しく監視を付けているか、だ」
ウィノニダ王が善王とは言い切れないし、アロイと言う人物もどうか分からない。
「もしそうだとしたら、僕は許せない」
「シャリオならそう言うだろうと思ったから、初夜を途中で止めた。
このまま抱いて、明日、この事を知った其方は私を少なからず嫌うだろう?」
「そんな事は……」
言い切れない。
あの村の人達が大好きだったし、今から戻ってでも助けてあげたかった。
「死んでる僕を追うのは何故?」
「シャリオの魔力が本当に潰えたかどうかの確認と、生きていればその愛人の代わりに使うつもりだろう?」
カリオスは全く面白くないと、少し苛立っていた。
「彼らを助けたい」
「明日、戻るつもりだから、初夜を延期したのだ」
カリオスは僕が言い出すことを想定していた。
「あいつらが先程この国へはいって来た。
あの時の兵士と医術師も来てる」
カリオスには、ここから見えないもの見ることが出来るんだろうか、と相手が神様だったことも忘れていた。
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