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天界よいとこ一度はおいで
本当の事は
しおりを挟む痛みで泣きそうだ。
そう、痛みで。
きっと涙が出ても今なら、誰も気づかないさ。
「イズラエル、意識が戻ったって!
大丈夫か?!」
ミカエルとウリエルが飛び込んで来た。
「お二人とも、お仕事は?
こんなとこに来て、サボったらダメですよ」
笑えた。
これ以上はないくらい、綺麗に笑えたと思う。
壊れてしまいそうな気持ちに蓋をして、何でもない事のように振る舞おう。
「イズラエル、そんな事は重要じゃない!
ウリエルの寝室で刺されたんだ!
ちゃんと話しなさい!!
誰かを庇ってもムダだ、言いなさい!」
「転んで」
「最初に、刺されたんだって言ったよ」
そうだ、そんな風に口に出てしまったんだ。
「ね?
庇う事で、誰を守ろうとしてるの?」
口を開いたらボロが出てしまう。
首を横に振るしかなかった。
「ウリエル、様
部屋を汚してごめんなさい」
「そんな事はいい。
猿轡までされて、腕ごと簀巻き状態になってれば、自分で転んだなどと言うのはおかしいんだ。
まさか、和郎をかばってるのか?!」
「違う!
和郎さんは関係ない!」
「なら、ハルカの言う通り、誰かを部屋に連れ込もうとしてやられたのか?」
あいつ、まだ、そんな事を。
「……ちが、う」
瞳に涙が盛り上がるのが分かった。
涙が溢れて、溢れて止まらない。
あいつの言う事を信じてしまうの?
バンッ!!
「俺が関わってます!!」
扉を開けて入って来たのは、あの力天使だった。
「ヴァーチュースの君が?」
ウリエルが鋭い眼光で睨みつけた。
「はい、俺がこの子を捕まえて、連れて行こうとしました。」
「何故だ?」
「ウリエル様のとこのハルカと通じている所を見られたので、殺してでも黙らせようと思いました。
ですがあまりの綺麗さに、俺のものにしようとして、連れ去ろうとしました。
この子が欲しかった。
この綺麗な顔に笑顔をのせて、俺の名を呼んで欲しくて、無理やり連れて行こうとしたんです。
それをハルカが追い縋るので、吐き捨てたら、逆上して後ろから刺されそうになったのをこの子が庇って刺されてしまいました。
俺は、おかしくなっていた。
ハルカが刺したことにも、ハルカと通じた事にも。
この子の目を見てから、罪悪感や今まで自分がやった事が許せなくて、懺悔と処罰を受けに来ました。
許してくれ。」
俺に頭を下げる彼を許さない訳がなかった。
「良かった
ありがとう、ございます。」
泣き笑いになってしまったけど、力天使様の本当の姿はこっちなんだ。
なんて潔いんだろう。
「では、処罰を」
「まって、待ってください
メタトロン様!
この方は謝って、きちんと告白してくれました!
処罰を無くしてくれとは言いません、
ですが、少し軽くしていただけませんか?
僕はこの方を許していますから」
「イズくん
君は何処まで優しいんだ。
最初に言ったように、君の前では本性を晒してしまう者がほとんどだろうな。
確かに、この力天使がこんな風になるのは余りにもおかしい。」
メタトロンが、ハルカ絡みの行動のおかしさに、声をあげた。
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