3 / 116
天界よいとこ一度はおいで
千里の道も一歩か二歩
しおりを挟む俺は天使の雑用係として、この天界のお掃除お兄さんになった。
一応待遇は悪くない気がする。
衣食住があてがわれて、一日10時間くらいの奉仕活動をする。
お金というのが無いから、奉仕ね。
天界って、向こうが霞んで見えないくらい広い。
造りはギリシャ神話に出てくるような柱とか屋根。
広いから、何人か似たようなお仕事をしてるけど、まぁ、顔を合わすことは殆どなかった。
カミツキガメは忙しいと言いながら、一日3回は巡回して俺を監視してるようだ。
別に、誤魔化したりしないのに。
でも、どんなに嫌な上司でも、挨拶は大事。
「おはようございます。
大天使様。
今日も一日良いお仕事ができるよう、心を尽くします」
この最後の心を尽くしますって言うのがここのお疲れ様みたいな挨拶で、最後に付ける。
ここでの上司の名前も知らないから、一応役職で呼んでる。
向こうは、君、で終わらせてるけど、俺にも一応生きてた時には泉って名前があるんだけど。
笑っちゃうことに、DVのバカ親は、俺に、和泉 泉ってつけやがった。
どっちもイズミ。
上も下もイズミ。
大体が、悪口なあだ名しか付けられなかったけど。
お漏らしとか、噴水とか。
無駄に水に関係してる割に、カナヅチとか、いろんな意味で辛い幼少時代だったなぁ。
結構、ぼうっと考え事しながらでも掃除はできる。
だって、色々頭使ってやることより、体を動かせば片付く仕事は、今の俺には合ってる気がした。
上司も適材適所って分かってんじゃん!!
「君はこんな事もうまくできないんですか?」
後ろを見たら、汚れがついていた。
え?だって掃除したよ?
「大天使さまぁ、この人さぼってばかりで、僕にだけ仕事を押し付けるんですよ!
そして、掃除したところをわざと汚すんです」
しくしく泣きながら、凄く可愛い少年?青年?が大天使様に訴えてた。
いやいや、ちゃんと掃除したし!
「ちゃんと!」
「言い訳するんですか???」
「いえ、すみません。
やり直します。」
言い訳じゃない、事実を言いたかったのに。
もう一度、今朝始めたところからやり直すのに、戻った。
その後ろでは、可愛い子が笑って、大天使様の腕に守られてた。
そっか。
そっか。
そうなんだ。
天使も恋愛するんだな。
ちょっと、泣いても良いかな。
理不尽だ。
会社でも、理不尽メールが来てたけど。
さすがに元気も出なくて、トボトボとスタート地点に戻ってきたら、神話に出てきそうな金色の豊かな髪に、逞しく綺麗な体の超美形な天使がいた。
こんなだだっ広い場所で、どうして会うかな?
独りで泣きたかったのに。
「あれ、君、最近来た子?」
「はい、ちょっと前に」
「あの頭の固い奴から連れてこられた子かぁ。
なんか遊んで、仕事もしない子だって言ってたけど。
どうしたの?」
そこそこ酷い評価なのね、俺。
「掃除、ちゃんとしたはずなんですけど、
また汚れちゃってて、叱られちゃったんです」
へへって笑ってなんとか独りにしてもらおうって思った。
「可愛い子に酷いことするね~
これ、明らかに誰かが付けてるじゃない。
しかも、足跡付きで。
この足跡しかないんだから、掃除した後に汚したのは明白じゃない」
「う~ん、でも、俺、言い訳できる頭もないし、事実汚れてるなら掃除はしなきゃいけないでしょ?
それが誰でもいいし、俺ができるなら、俺がやればいいし。
大した話じゃないですよ。」
こんな風に話しかけられるなら、ちゃんと話せるのに。
1
お気に入りに追加
123
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
【本編完結済】ヤリチンノンケをメス堕ちさせてみた
さかい 濱
BL
ヤリチンの友人は最近セックスに飽きたらしい。じゃあ僕が新しい扉(穴)を開いてあげようかな。
――と、軽い気持ちで手を出したものの……というお話。
受けはヤリチンノンケですが、女性との絡み描写は出てきません。
BLに挑戦するのが初めてなので、タグ等の不足がありましたら教えて頂けると助かります。
【BL】オネェ騎士は見習いが可愛くて仕方ない。
梅花
BL
シュテルンハイム騎士団小隊長のレイモンドは、ひょんなことから見習い騎士であるニコルを侍従として受け入れた。
歳の離れたニコルは数奇な運命を辿っており、レイモンドはそれを知ってしまうとニコルに対して通常とは違う気持ちを向けてしまいそうになり……
オネェ騎士と騎士見習いのジレジレラブストーリー(?)
紅き月の宴スピンオフ?同世界。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
勇者の股間触ったらエライことになった
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。
町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。
オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる