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復讐寄りで!
しおりを挟むトルシエ王妃は謝罪は求めてない、と言うスタンスだった。
「イル兄様、あちらの国で公爵令嬢だった時であれば、令嬢たちが謝罪すれば許すつもりだったの。
それなりに罰は与えるでしょうけど。
でも、もう私は王妃なのよ。
向こうは勝手に王妃と言う立場上、あからさまな事は出来ないと思っていらっしゃるようですけど」
ふふふと笑うトルシエ王妃が、独身でいるから余計な事を考えてしまうのよ、と言った。
「既に統治されているのはドラニスタ―国国王なのだから、王妃が同じくその権能を使用しても問題は無いな」
アスは宰相補佐をしながら既に法的な事を把握していたようだった。
「えっと、なにするのかな?」
二人はすっごく悪い笑顔で、こう答えた。
「「もちろん! 縁談(だ・よ)!!」」
すぐにドラニスタ―国でイケメンな豪商、もしくは爵位は低いけど資金が潤沢なイケメンを探し出し、家庭内調査をすると、まぁ言わずもがなで、そういうイケメンは独身では無かったり、変な趣味があったりした。
その中から、令嬢たちの人数分つまりカップルとして過不足なく成立する人数を抽出することが出来た。
先に言ったけど、イケメンでお金あるって余程じゃない限り婚約者がいたり、結婚してたりするので今現在残ってるイケメンはクズメンだった。
「新興貴族の子爵令息は、あらら、とっても下半身がご自慢の様だよ」
アスが調書を読みながら楽し気に、それにいい趣味してるよ、と付け加えた。
「でも気に入らないかもしれないじゃない?」
「あら、イル兄様ったら、私は王妃ですのよ?
当然、国王と王妃からの王命として出すに決まってるじゃない」
「お、おう、そうね。
それは断れないね」
「それにね、イル。
この調書は秘匿事項として外部には漏れないようにするから、身辺調査を頑張ったとしてもここに書かれてる事は出回らない。
漏洩したとしても、既に事は終えた後で簡単には離婚も出来ないさ」
怖い、悪い、けど、仕方ないか。
僕もこの体の記憶では裸に剝かれそうになったり、池に突き落とされたり、もう少しで死にそうってくらいの段数の階段から転がされた事もあった。
これが令息ではなく、令嬢たちって言うんだから、それだけ悪質だったか分かって欲しい。
だからトイレだったり物置のゴミ箱の裏だったり、入れるところにはどこにでも入って逃げていた。
これは墓場まで持って行こう。
「そのクズメンたちは令嬢との婚姻に納得してるの?」
「言わないよ、クズな奴らの一掃も兼ねてるからね」
「僕らの婚約式は向こうでやろうか。
トルシエが王妃になって、統治下に入った事の記念式典を兼ねてさ。
その時に、ドラニスタ―とピスカルソーダ統一の証としての婚姻を、王命として出すけど彼女たちは喜ぶと思うよ。
だってイルがクズメンたちにメイクをすれば、奇跡みたいなクズメンが出来上がるだろ?」
王太子という肩書を抜いても、美形の中にはいるアリステリアに群がってたわけだから、それこそ財力のある令息共には確実に行くと踏んでいた。
だって、令嬢たちの家門はギリギリ貴族っていう状態の財政にしてやったからだ。
それで大人しくしてれば良いものを。
「彼らを王宮へ招待しましょ。
王命で婚姻をさせるけど、愛人の存在を言及する事はないってね」
酒池肉林とかみんなで乱交とかなったらやばくない?
「ふふ、婚姻した女性が愛人っを大っぴらに持つことは許されていないの。
だからこそ、これを機に法も変えていきたいと思ってますわ」
「もちろん、浮気はご法度!って事だよ」
アスがこの国の法がイマイチである事を常日頃から言っていたから、ここで整備する口実を作る気なんだと理解した。
「あっちも余程、ガバガバな法律だったけどねぇ」
王太子がガバガバだったんだからね。
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