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異世界家族
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しおりを挟むライカスの時とは少し?だいぶ形が違った。
ピーナッツの様な、ジェリービーンズの様な、シンメトリーでもない形。
紋様は内包していた卵を俺の手に下ろすと、光の粒に変わってまた体の中にそれぞれ戻って行った。
「タローさま、これって」
荒い息をつきながら、俺たちは手に残された卵を見つめた。
「あぁ、アレだな。
卵だ
ライカスの兄弟ができちゃったなぁ」
「はは、ふ、ふふふ
あはっはっはっはっは!!!
奇跡の子が、こんなに!」
嬉しいやら、びっくりしたやら、そして意地悪を言っていたタロー様の言葉が、本当になってしまって笑うしかなかった。
タロー様はローブを羽織り、カスティアを呼びつけた。
カスティアはライカスが生まれた時と同様に、その魔力量の多さで気づいていたようで扉の前で待機していた。
「カスティア、奇跡がまた起こったぞ
こういうのは何度経験しても嬉しいものだな」
「おめでとうございます。
アキ様、また素晴らしい魔力量の御子が誕生いたしますね。
ライカス様より少し多い、ですかね?」
魔力量を俺は測ることができないから、ライカスの時も魔族全員が分かるほどの魔力量だと言われてもピンとこなかった。
でも、自分の子ができてライカスに兄弟ができるのが、ただ嬉しかった。
カスティアがその場で揺りかごをを作り、卵をそっと乗せた。
「カスティア、しばし子を任せた」
「御意」
タロー様は、カスティアに卵を預けると、また、俺の体を押し倒し深くキスをした。
「アキ、お前は常に奇跡と共にあるのだな」
「?」
「その美しい神獣の姿に、優しさ、思いやり、慈しみ、
そして、淫猥さを持ち合わせてるのが、な」
「そん、なことはないです。
タロー様しか思いませんよ。
お母さんには、謝ってほしくないから言ったけど
自信なんかないし、やきもち焼きだし、
怒ると多分一番酷いことしちゃうし」
鼻先をくっつけて、時折、優しいキスを降らせながらお互いを触りあった。
「家族が増えるって、幸せですね」
「私は、アキがいて、ライカスたち子どもがいて
母上や叔父上、まぁ、シムラクルムのふざけたアピールがなければ、あいつもだな。
皆が、こちらで暮らせればよいと思っている。
我らが笑えば、世界も安定するしな」
そうなの?
いやいや、そんなことになってたら世界が破滅しちゃうよ!
「さぁ、まだ時間はたっぷりある。
ライカスを連れ出してくれた母上の為にも
続きをしよう」
「続きって、クス、ふふ」
「帰ってきたときに、兄弟の話をすれば
母上は喜んでくれるかな?」
「ライカスが焼きもちを妬かないといいですねぇ」
しまった、という顔をタロー様がした。
「うーん、そういうことになるのか?」
「どうでしょう?
俺は、ライカスを甘やかしますよ
時にはきびしくしますけどね。
だってせっかく生まれてきたんだから
俺はベタベタして、ライカスと育っていきたい」
「私はそのアキを甘やかして、
抱いていたいな」
くすくすと笑いながら、また快楽を貪るように抱き合った。
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