上 下
138 / 166
異世界家族

18

しおりを挟む

「アキ様、至急の事とは?」

イーリスに結界を張ってもらい、精霊王と話した。
今までの経緯を話し、魂を剥がして消滅させたい事を端的に説明した。

「アウィス様、ですね。
 あの方は少し気まぐれな所があるのですよ。
 魂を剥がすとなると、乱暴なやり方しかありませんが、一度擬似で死んでもらって魂が体から抜ける時に剥がす、という方法になります。」

「え、擬似って仮死みたいなこと?」

「いえ、あの子には本当の死になります。
 私たちと近い存在になるのです。
 元々は一つしかなかたった魂に、無理矢理入れたのですから、剥がしたら再構築して、あの子の魂を戻すのですよ。」

「近い存在って、人間じゃなくなるの?」

「いえ、言葉通りの近い隣人です。
 私たちを見たり、善き隣人として魔力を貸し与えましょう」

そうか、元々の魂の器を作り直して、剥がせば良いけど、それをするには死が必要、か。

「死を与える場は、私の結界にしましょう。
 再生はアキ様の聖獣でかつ、私たち精霊の神である方にして頂きましょう。」

神?

「麒麟を従えておりますよね?」

「あ、イーリス?」

「お願いがあります。
 イーリス様をこちらの世界に残しては頂けないでしょうか?
 イーリス様もお気づきかと思いますが、
 この世界は精霊が死に絶えてしまっているのです。
 神獣神アキ様、どうか精霊界をお救いください。」

うーん、救うのと、イーリスをここに置いていくのは違う。

「イーリスは俺のために生まれた子なんですよ」

困った笑いを出してしまったと思う。

「そう、ですか。」

イーリスに出てきてもらってこの話しをすると、普通にあらゆる精霊を喚びだし、イーリスとは違う子を作ってあげるように言われた。

「イーリス、簡単に作るとかダメだよ」

『アキ様、我は貴方様の聖獣なれば、
 この世界に残るつもりは毛頭ございません。』

確かに、それなら別の手段て普通に思うよね。

「アキ様、我等」
「分かった。
 イーリス、鉱物の精霊と大地の精霊を喚んでくれる?」

『御意』

「アキ様
 鉱物と大地は精霊が違うのですか?」

ここは緑の精霊が大地全てを担っている。

「はい、こちらは5種ですね、
 私の世界は7種なんですよ。」

この世界の精霊達にも、と思ったら既にたくさんの子達が集まっていた。

「君達は、どうしたら嬉しい?
 この世界に産まれようと思う?」


うんとねー、王様が強かったらいいなぁ
ぼくたち、おうさますきー

「貴方だけしか精霊王がいないのですね?
 それぞれの精霊王ではなく、この小さい子たちね王様なんですね。」

「はい、私が弱いばかりに」

なら、精霊王か聖獣を作って、今の精霊王をイーリスと同じにしてあげればいい。

イーリスが喚んでくれた俺の世界の精霊に、こちらの世界を守ってくれるか確認した。

こっちの子達が仲良くしてくれるならいいよー

緑の精霊が、いいよ、いいよ、と楽しそうに迎え入れていた。

「なら、緑の子たちを再構築してみますね」

俺は、緑という括りの属性から、大地と、鉱物と、植物に分けて、それぞれの意思を確かめながら、新たに融合させて精霊たちを作り出した。

そして、うちから来た子達と、元々の子達で精霊王を作った。

悪いけど、このくらいの意趣返しはさせてもらいますよ、アウィス。
俺、割と怒ってるしね!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

私のバラ色ではない人生

野村にれ
恋愛
ララシャ・ロアンスラー公爵令嬢は、クロンデール王国の王太子殿下の婚約者だった。 だが、隣国であるピデム王国の第二王子に見初められて、婚約が解消になってしまった。 そして、後任にされたのが妹であるソアリス・ロアンスラーである。 ソアリスは王太子妃になりたくもなければ、王太子妃にも相応しくないと自負していた。 だが、ロアンスラー公爵家としても責任を取らなければならず、 既に高位貴族の令嬢たちは婚約者がいたり、結婚している。 ソアリスは不本意ながらも嫁ぐことになってしまう。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

可愛いけど最強? 異世界でもふもふ友達と大冒険!

ありぽん
ファンタジー
[お知らせ] 書籍化決定!! 皆様、応援ありがとうございます!!      2023年03月20日頃出荷予定です!! 詳しくは今後の刊行予定をご覧ください。  施設で暮らす中学1年生の長瀬蓮。毎日施設の人間にいいように使われる蓮は、今日もいつものように、施設の雑用を押し付けられ。ようやく自分の部屋へ戻った時には、夜22時を過ぎていた。  そして自分お部屋へ戻り、宿題をやる前に少し休みたいと、ベッドに倒れ込んだ瞬間それは起こった。  強い光が蓮を包み込み、あまりの強い光に目をつぶる蓮。ようやく光が止んできたのが分かりそっと目を開けると…。そこは今まで蓮が居た自分の部屋ではなく、木々が生い茂る場所で。しかも何か体に違和感をおぼえ。  これは蓮が神様の手違いにより異世界に飛ばされ、そこで沢山の友達(もふもふ)と出会い、幸せに暮らす物語。 HOTランキングに載せていただきました。皆様ありがとうございます!! お気に入り登録2500ありがとうございます!!

【完結】真実の愛とやらに目覚めてしまった王太子のその後

綾森れん
恋愛
レオノーラ・ドゥランテ侯爵令嬢は夜会にて婚約者の王太子から、 「真実の愛に目覚めた」 と衝撃の告白をされる。 王太子の愛のお相手は男爵令嬢パミーナ。 婚約は破棄され、レオノーラは王太子の弟である公爵との婚約が決まる。 一方、今まで男爵令嬢としての教育しか受けていなかったパミーナには急遽、王妃教育がほどこされるが全く進まない。 文句ばかり言うわがままなパミーナに、王宮の人々は愛想を尽かす。 そんな中「真実の愛」で結ばれた王太子だけが愛する妃パミーナの面倒を見るが、それは不幸の始まりだった。 周囲の忠告を聞かず「真実の愛」とやらを貫いた王太子の末路とは?

VR MMO中毒者兼不登校だった僕が『クラス転移』に巻き込まれたが異世界で知識無双する

瀬雨
ファンタジー
高校生活の大半をVRMMORPG内で過ごした妙月 相馬(みょうづき そうま)はある日、たまたま登校してみたら『クラス転移』に巻き込まれてしまった。異世界にきた妙月とクラスメイトたちは生き残るために協力はするものの、妙月だけに大変な仕事をさせてばかりだった。その理由は『高校に入ってから今までどうせ何もしてこなかったはずだから』という卑劣極まりないものだった。 彼はクラスメイトに不満を抱くがクラスメイトに『不満があるなら出ていけ』と言われ仲間はずれにされてしまう。 彼が森を放浪していると異世界なのにどこかでみたことのある植物が生えていることに気づく、彼はそのほかにも見覚えのあるものが複数あることに気づく。 そう、この世界は2年間ずっとプレイしていたVRMMOと同じような世界だったのだ。 彼は、そのゲームの知識を活かして無双する。

運命なんて知らない[完結]

なかた
BL
Ω同士の双子のお話です。 双子という関係に悩みながら、それでも好きでいることを選んだ2人がどうなるか見届けて頂けると幸いです。 ずっと2人だった。 起きるところから寝るところまで、小学校から大学まで何をするのにも2人だった。好きなものや趣味は流石に同じではなかったけど、ずっと一緒にこれからも過ごしていくんだと当たり前のように思っていた。そう思い続けるほどに君の隣は心地よかったんだ。

処理中です...