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異世界来ちゃったのかな?
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しおりを挟む風の精霊王、フェースライザーは青くなりながら、周りからの言葉に打ちのめされていた。
なんか可哀想だからその辺でやめてあげて。
どんな人だったか知らないけど、問題有りな人に騙されちゃったんだね。
意外と残念な人だ。
「あの!
フェースライザー様はご自分の矜恃を持ってらっしゃって、責務を果たした結果だと思います。
信じてあげられることは、素晴らしいことだと思いますから。
フェースライザー様はそのままでいいと思いますよ。
また、俺が未熟で間違った時は、叱って下さいね?」
盲愛してくれるラドルや、モライアも有り難いけど、きちんと注意をされて成長したい。
だから、フェースライザーの様な人には俺を甘やかさないでほしいんだ。
「いえ、ア、キ様、申し訳ありません。
私は己の感情も御せないまま、また、真名を与えたことで、盲信的になっていた様です。
冷静になってみれば、おかしな事ばかりでしたから。
神獣にあるまじき行いを、真名で縛られていたとはいえ、私も同罪です。」
「先代が散ってから100年も経ってるのに、未だに魅了魔法にかかっていたとは、腐っても神獣だった訳だ。
そして、アキ様はそれを完全に無効化したんだな。」
光の精霊王、シャピオスが分析してくれた。
「無効化とかではなく、多分、自覚されただけですよ。
俺はまだ、神獣の力とかよく分かってないですしね。」
過大評価に照れ笑いしながら、否定しといた。
自惚れは身を滅ぼすって、よく分かってるしね。
俺は、愛情に飢えてるし、甘やかされたらそれを勘違いしてしまうだろうから、自分を律する為にも、フェースライザーみたいな人は重要なんだ。
「俺は未熟です。
でも、今の王政がどうなのか分からないけど、領民や弱い者をまるで替の効くオモチャのような考え方は気に入らないんです。
だから、俺に力を貸してもらえませんか?」
円卓に座る神を含めて、精霊王全員を見渡しながら言った。
緊張と、これから武力で戦わなけれはならない。
平和な世界から来た俺では、計り知れない。
「私は、最初からアキ様と共にあります。」
大地の精霊王、ラドルが声をあげた。
「ラドル、ありがとう」
周りはギョッとした表情をした。
「えぇーっと、セルゲートはラドルと呼ばせているのかい?」
木の精霊王モライアが確認した。
「そうだ、アキ様以外には呼ばせない
それが何か?」
不遜な顔つきでラドルが返すと、モライアがズルイ!と言い始めた。
なんでだよ?
まるで駄々っ子の様に。
「なら、私も、ラゲルって呼んでくださいよ!」
俺は単に長いと覚えにくいから、短く呼ぶと失礼かな?くらいでラドルと呼んでるんだけど。
なんか特別なの?
「みんな正式名称を名乗っているけど、たいていは最初の名前を呼ばせるんだ。
ラドルやラゲルは番い相手にしか呼ばせないのさ。」
神様が教えてくれたけど、俺、呼んじゃいけない名前だったんだ。
「ごめんなさい!
勝手に意味も知らずに呼んで!」
焦った!
すごく焦った!
もし本命の人がいたら、俺完全に浮気相手に勘違いされてるよ!
マジ、ごめん!
「アキ様、私は最初から貴方を番いとしか見てません。
友達からと言われても、ラドルと呼んで頂けたのは今までで、1番の幸せですよ」
穏やかで包み込む様な、ラドルの微笑みが安堵をくれた。
美形の微笑み、マジパネェ!ってやつか。
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