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異世界来ちゃったのかな?
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しおりを挟む「では、私の真名を一度お呼びください。」
「なんで?
それで従属契約とか、俺やだよ?」
「いえ、魂の絆を作るだけです。
従属契約は、魔法で署名をしなくてはいけませんから、呼ぶだけでは契約できません。
貴方の危機や、悲しい時、嬉しい時を分かち合えるように。
また、迂闊に貴方の真名を探られないように、私の真名を刻みます。」
「そんなのダメだよ!
何かあったら貴方が犠牲になる!」
真名を偽装しようとしてるんだ!
ダメ、そんなの嫌!
「俺の真名は特殊だから、探られてもわからないよ」
だって、漢字書けないでしょ?
「ですが!
貴方を守らせてください!
誰よりも早く、何よりも強く、貴方を守らせてください!」
「真名を呼ばなくても、友達ならお互いを守るんだよ。
一方的なのはダメ、ね?」
笑って話したら、やっと引き下がってくれた。
「俺、ラドルって呼ぶね、特別な友達にしてね。」
嫌われないって、なんか嬉しいね。
「分かりました。
アキ、可愛いアキ
ラドルを呼ばせるのはアキだけです。」
「ありがとう、ラドル」
笑っていた神様が、本題だとばかりにカトラス領の災害の話を始めた。
「セルゲート、大地を蘇らせて、アキをこの土地から自由にしてあげないか?
あのグラストが狙ってる。」
「では、私に謝罪をさせ、
責任は、あのバカ領主だと知らしめましょう。」
バカバカ言いたい放題だな。
確かにバカなんだけど。
「ラドルはあの地から、離れられないの?」
「いえ、私の地脈を切り捨てただけなので、どこにいても、この世界の大地であれば全く問題ないですよ」
「なら、俺と一緒にいて!」
だって、独りは気楽だけど寂しかったし、あいつら来た時は怖かったから。
「いいのですか?
私もアキと一緒にいて。」
「むしろ、お願いなんだけど。」
ラドルが一緒なら心強いし!
綺麗な顔で大好物だし!
「俺、魔法使いを目指してるから、色々教えて欲しい、それもよろしくなんだけど。」
「構いませんよ。
貴方の魔力は素晴らしい。
すぐ、出来ますよ。」
うん、頑張る
夜明けと共に、ラドルとカトラス領の領主館の前に降り立った。
俺は元の白い長毛種の子猫に翼が生えた姿にして、ラドルは精霊王の威厳を目一杯見せつけるかのように。
キラキラしてるよ、眩しい~!
館からわらわらと主人のいない間に来た不審者を見定めに、使用人が出てきた。
ラドルを見た途端、間抜けな顔になった。
そりゃ、精霊王自ら来たんだもんな。
「貴方方のバカ領主は、私の敬愛する神獣アキ様を殺すと宣った。
余りにも度しているこの発言で、この地の地脈を切り捨てましたが、神獣アキ様がこの地を離れるにおいて、心残りを断ち切るためにも、最後に地脈は一本だけ繋ぎます。
それを無くすか、無くさないかはあなた方の判断と、バカ領主をどうするかです。
明日には土地も蘇ります。
ただし、細い地脈でもあなた方の信仰心は分かりますからね。」
執事さんと思わしき初老の紳士が、前に出て深く腰を折った。
「精霊王様、此度は主人の暴言と神獣様を捕らえるなどとした罪の重さにもかかわらず、土地を蘇らせていただき、心より感謝致します。
主人は既に王都より処罰が下されております。
領地と全ての地位財産は没収され、此度の災害の被害に充てるよう、申し遣わされておりますゆえ。
あのバカは帰るところなどございません故、そちらで処分いただけないでしょうか?」
「人の事は、人の世界で決めるが良い。
私は神獣アキ様を守る為にこの地を離れる。
もし、またあのバカが目の前に立つようなことがあれば、この地、王都、全ての地脈を断つ。
そう、人の王に伝えよ!
のう、宰相殿よ?
執事の真似事は、面白いかえ?」
え?!
この人、偉い人!!?
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