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君しか求めてない。

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「そう、ですね。
 俺は彼らの気持ちを受け入れると言いながら、俺は自分を否定される言葉は聞きたくないと逃げ回ってるんです。
 そうしないと、自分の尊厳が壊れてしまいそうで、怖いんですよ。
 それに、今回、俺を探してる人は、俺が会いたいと思ってる人達では無いので、見逃してください」

 そう言うと、サリオスははぁとため息をついて、イライラしたように俺をいきなり抱きしめた。

「ちょ、っと、止めてください」
「馬鹿者が!!
 何故私の名を呼ばない! 
 いつでもシイラと呼べと言ったであろう?」

 サリオスと名乗っていた冒険者は、シイラが姿を変えていた?
 
「他の奴らから、経緯は聞いておる。
 ライカを選んだ精霊たちが、そっぽを向いておるから、精霊王は形無しだ。
 いい気味だな。」

「シイ、ラ?」

「おう!出来ればサシュレイルと呼んでくれないか?
 私の、真名だ。」

「シエラザードじゃないの?」

「それは教会と遊びで救世主召喚をした時に使った名じゃ。
 名乗ったことでそれなりに効果はあって縛られてしまったがな」

 遊びで召喚なんかするのが悪いし、その救世主とはどうなったんだよ?って気持ちが湧いていた。
 
「最初の救世主は呼べなかったっと言っておらなんだか?
 それで失敗して、水の精霊だけそこで契約に縛られておったのさ」

「サシュレイル?って俺だけが呼んでいい名前?」

「そうだ、ライカにだけ与える名前だ」

「誰も呼ばない?」

「ああ、他の精霊王ですら呼べない名だ。」

「サシュレイル、俺、」

 あやす様に背中をぽんぽんと叩かれて、私を好きだろ?って聞かれた。
 こくんと頷いて、俺からキスをした。

「サシュレイルって呼びにくい」

「ふふ、好きに呼んでいいぞ。
 シイラでもなんでも」

「他の人が呼ぶのは嫌」

「なら名を付けろ、ライカ
 お前だけが呼べる私の名を
 これはお前にしかできない、ただし、真に私を欲してくれていなければ、新しい名はつけられない」

 凄く重要な事を告げられたけど、俺はもう、誰かと同じ扱いを受けるのは嫌だった。
 シイラしか欲しくない!
 
「俺だけが呼べる?名前?」

「そうだ、私を新たな精霊王として名付けよ」

 考えることも無く口から出た名前をそのまま付けた。

「ライデン、水と雷、天候を司る龍、雷電」

 その瞬間、シイラの体は俺が想像した通りの龍の姿で現れた。
 大きな龍の背に俺は乗せられて、空を駆け巡った。

「ふ、あーっはっはっはっは!!!!
 良くやった、ライカ!!!!
 これがお前の本当の力だ!
 新しい精霊王を生み出す力、それがライカの本当の力だ。
 だが、ライカが望んでくれなければ、ただの精霊王だった。」

「新しいと何が違うの?」

 空をゴウゴウ駆け巡るから、大きな声を上げて叫ぶように雷電に聞いた。

「真の精霊王、私が精霊王の頂点になる」

 力の均衡とかが崩れて、争いが起こるとかだったらどうしよう?

「安心しろ、ライカを娶るのは私一人になっただけだ。
 お前は真の精霊王、このライデンの番になる。
 後にも先にも、お前だけが、私の伴侶だ!
 お前しか、私は欲しくない!
 心しておけ!」

 歓喜で天候は晴れたり、突然豪雨になったり、雷まで落ちた。

「ライデン!いい加減に落ち着いて!
 雷とか落ちたら、困る人がいる!
 豪雨も畑が流されたりしたら、人の生活が成り立たなくなるよ!!」

 興奮しすぎて止められなくなってるライデンの頭を思いっきり拳骨で殴った。
 全然効かないかと思ったら、あっさり、でっかいたんこぶを作った。

「え?」

「らいかぁ、伴侶がすることが全てに於いて優先される。
 だから、殴られたら、痛いのだ」

 涙目の龍って、可愛い。

「ライデン、俺のライデン。
 大好きだよ」

「ライカ、俺のライカ、未来永劫、ともに生きるのだ。
 愛している」

 この絵面って、竜の子太郎じゃね?って思ったのは後になって、この時のことを地上で見ていた人々が絵にかいて各国に送ったからだった。


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