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水の精霊王シイラ
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掃除はいつの間にか終わった。
いや、やってた。
自分でもすごくやってたんだけど、手を付けて無い所まで、終わってた。
あれ、なんか家に付く妖精さんがいたのかな?って思ったけど、姿は見えずで勝手に綺麗になっていた。
正直疲れ切っていたから、それはありがたくて、お礼を言ってお風呂に入った。
ジョージとクインは手伝うと言ったけど、丁重にお断りした。
これ以上、お貴族様と関わって良い事なんて無いと思うし、必然的にあの高校生のユアと関わる事になる。
それは正直面倒だし嫌だった。
同郷と思われるけど、あんなキツイ言葉を出せる子とは関わりたくなかった。
「ふー、なんかやっと、此処で生活するんだってら実感が湧いたな。」
明日から取り敢えずどうやって生活するか、仕事は冒険者と言う、チャランポランな根無草的な仕事をするしかないけど、長くは出来ないと思うし、色々考えあぐねた。
その瞬間、先の分からない恐怖とか元の世界に戻れない事とか、少ない友達にももう連絡は出来ない事とかが現実となって押し寄せて来て、暫く号泣した。
お風呂の中でわんわん泣いた。
一人ぼっちの部屋は慣れてたけど、違う世界の一人ぼっちなんて、人生初めてだから泣いて当たり前だと自分を肯定した。
ー泣かないで、泣いたら皆んなが心配して泣いちゃう。
そうしたら、世界は渦に巻き込まれちゃうよ。
ね?愛しい子、泣かないで。
僕達が側に居るから。ー
何処からか、声がきこえた。
お家に妖精が居るくらいだから、この世界では妖精が身近に居るんだろうと思い、顔を上げて周りを見た。
「誰?
姿を見せて?」
中二病かネズミーランドの住人かってセリフを吐いてしまった。
しーん。
何の反応も無くて、やべ、俺、毒されてるわ~、と一人照れた。
こう言うのは救世主とやらの役目だろって一人呟いて、お風呂から出ようとしたところで水の中から足を掴まれた。
「ぎゃっ!!
何?」
足首に指の感触がはっきり分かった。
ザバーッ!!
水が盛り上がって、現れた者に水かきがあったり、耳がヒレみたいだったり、うろこが見えるとか、もうファンタジーを覚悟してたけど、この登場は想像していなかった。
心臓弱い人だったら、確実に止まってるぞ、これ!!
「や、やめて、やめてぇ
殺さないでぇ」
この世界で生きなくても良いとか言ってたのに、いざ命が危ないかもって時には、汚く命乞いをするもんなんだなって思ったら、すぅっと諦めるみたいに落ち着いた。
「ごめん、俺、この世界でやる事もないし、生きててもしょうがないかなって、さっき迄そう思ってた。
だから、殺してもいいよ。
どんな理由で殺されるか分からないけど、きっと君にとって必要な事なんでしょ?」
現金なものだ、と自分でも思うけど、死ぬんなら一度くらい誰かを好きになってみたかったし、嫌な事を嫌って言いたかった。
「ふふふ、あーはっはっはっは!!!
ライカ!殺さぬよ。
お前は我らの可愛い子だ。
足を掴んで悪かった。
くくくっ
私は水の精霊王、名はまだ教えられないが、好きに呼べ。」
「えっと、精霊王とか、良く分からないんで、呼んでいい名前を教えてください。」
普通なら追いつかない俺の頭は、この精霊王を見て不思議と落ち着いていた。
「では、シイラと呼んでくれ。
ライカはこの世界の精霊全てから愛されて、人ではなく精霊から召喚された子だ。
この世界でやるべきことは、幸せに暮らす、ただそれだけだ。」
「えーっと、俺が召喚されたのはあのユアみたいな感じではなくて、精霊さんたちが召喚してただこの世界で楽しく生きたら良いって事?」
シイラにそう問えば、その通りだと答えが返って来た。
「ここは魔力が無いとなかなか生活も厳しいらしいんですけど、どうしたらいいでしょう?」
「はっはっはっはー!
精霊の愛し子に魔力など必要な物か。
皆がこぞってお前に力を貸したがるさ。
魔法と精霊の力は根本は同じだが、持ってる魔力量に応じて精霊の力を貸し与える、それが魔法だ。
だが、ライカは違う。
魔力などの対価は必要ないんだ。
この世界の精霊全てから、愛されている故、無償の愛ってやつだな。」
面白そうに笑うシイラに、う~ん、何で?俺?と聞いてみても、魂がそうだから、としか答えなかった。
魂なんて自分じゃ分からないし、まして、異世界でどうやって知るんだよ、って突っ込みは心で飲み込んだ。
いや、やってた。
自分でもすごくやってたんだけど、手を付けて無い所まで、終わってた。
あれ、なんか家に付く妖精さんがいたのかな?って思ったけど、姿は見えずで勝手に綺麗になっていた。
正直疲れ切っていたから、それはありがたくて、お礼を言ってお風呂に入った。
ジョージとクインは手伝うと言ったけど、丁重にお断りした。
これ以上、お貴族様と関わって良い事なんて無いと思うし、必然的にあの高校生のユアと関わる事になる。
それは正直面倒だし嫌だった。
同郷と思われるけど、あんなキツイ言葉を出せる子とは関わりたくなかった。
「ふー、なんかやっと、此処で生活するんだってら実感が湧いたな。」
明日から取り敢えずどうやって生活するか、仕事は冒険者と言う、チャランポランな根無草的な仕事をするしかないけど、長くは出来ないと思うし、色々考えあぐねた。
その瞬間、先の分からない恐怖とか元の世界に戻れない事とか、少ない友達にももう連絡は出来ない事とかが現実となって押し寄せて来て、暫く号泣した。
お風呂の中でわんわん泣いた。
一人ぼっちの部屋は慣れてたけど、違う世界の一人ぼっちなんて、人生初めてだから泣いて当たり前だと自分を肯定した。
ー泣かないで、泣いたら皆んなが心配して泣いちゃう。
そうしたら、世界は渦に巻き込まれちゃうよ。
ね?愛しい子、泣かないで。
僕達が側に居るから。ー
何処からか、声がきこえた。
お家に妖精が居るくらいだから、この世界では妖精が身近に居るんだろうと思い、顔を上げて周りを見た。
「誰?
姿を見せて?」
中二病かネズミーランドの住人かってセリフを吐いてしまった。
しーん。
何の反応も無くて、やべ、俺、毒されてるわ~、と一人照れた。
こう言うのは救世主とやらの役目だろって一人呟いて、お風呂から出ようとしたところで水の中から足を掴まれた。
「ぎゃっ!!
何?」
足首に指の感触がはっきり分かった。
ザバーッ!!
水が盛り上がって、現れた者に水かきがあったり、耳がヒレみたいだったり、うろこが見えるとか、もうファンタジーを覚悟してたけど、この登場は想像していなかった。
心臓弱い人だったら、確実に止まってるぞ、これ!!
「や、やめて、やめてぇ
殺さないでぇ」
この世界で生きなくても良いとか言ってたのに、いざ命が危ないかもって時には、汚く命乞いをするもんなんだなって思ったら、すぅっと諦めるみたいに落ち着いた。
「ごめん、俺、この世界でやる事もないし、生きててもしょうがないかなって、さっき迄そう思ってた。
だから、殺してもいいよ。
どんな理由で殺されるか分からないけど、きっと君にとって必要な事なんでしょ?」
現金なものだ、と自分でも思うけど、死ぬんなら一度くらい誰かを好きになってみたかったし、嫌な事を嫌って言いたかった。
「ふふふ、あーはっはっはっは!!!
ライカ!殺さぬよ。
お前は我らの可愛い子だ。
足を掴んで悪かった。
くくくっ
私は水の精霊王、名はまだ教えられないが、好きに呼べ。」
「えっと、精霊王とか、良く分からないんで、呼んでいい名前を教えてください。」
普通なら追いつかない俺の頭は、この精霊王を見て不思議と落ち着いていた。
「では、シイラと呼んでくれ。
ライカはこの世界の精霊全てから愛されて、人ではなく精霊から召喚された子だ。
この世界でやるべきことは、幸せに暮らす、ただそれだけだ。」
「えーっと、俺が召喚されたのはあのユアみたいな感じではなくて、精霊さんたちが召喚してただこの世界で楽しく生きたら良いって事?」
シイラにそう問えば、その通りだと答えが返って来た。
「ここは魔力が無いとなかなか生活も厳しいらしいんですけど、どうしたらいいでしょう?」
「はっはっはっはー!
精霊の愛し子に魔力など必要な物か。
皆がこぞってお前に力を貸したがるさ。
魔法と精霊の力は根本は同じだが、持ってる魔力量に応じて精霊の力を貸し与える、それが魔法だ。
だが、ライカは違う。
魔力などの対価は必要ないんだ。
この世界の精霊全てから、愛されている故、無償の愛ってやつだな。」
面白そうに笑うシイラに、う~ん、何で?俺?と聞いてみても、魂がそうだから、としか答えなかった。
魂なんて自分じゃ分からないし、まして、異世界でどうやって知るんだよ、って突っ込みは心で飲み込んだ。
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