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同郷のよしみ

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 なんか見た事ある珍しい髪色が、遠くで通り過ぎた。

 あれって、ヒロインを笠に着たミルフィーユ姐さんでは無いだろうか?
 そんなにピンクの髪がたくさんいるって設定じゃなかったはずだし、牛柄着てたら派手でアクティブなミル姐さんってイメージだった。
 それってミル姐さんじゃないわ、って一人ツッコミをしてたら、いつの間にか目の前にミルフィーユ姐さんが立っていた。
 どっちにしてもミル姐さんだったわ。

「コレって何かのフラグ回収なのかしら?」

「はは、そうかもしれませんね」

 二人して、強制力が働くにしても、ヒロインにじゃないの?って意見が一致した。

「で、ルイ君はなんでここに?
 あの勘助を振り切って国を出たはずよね?」

「えぇ、この国のギルドで冒険者しようと思ったら、面倒な攻略対象が出てきたうえに、モンブラン公爵が武者修行とやらで追ってきちゃったんですよ。
 しっかりガッツリ切り捨てて来ましたけど」

「あー、あれね。
 てっきり魔道具のせいであんななのかと思ったけど、本質的に勘助で粘着なのよね。
 その上自分に酔っちゃうタイプ。
 間違いなくストーカー化する奴よ、あれ」

「今は誰かとって言うより、自立して安定した生活がしたい、それなんですけどね」

 う~ん、とミル姐さんは考えて、なら二人で攻略対象を探す旅をする?と聞いてきた。

「いやいや、そんな旅は別にしなっくても良いです」

「攻略対象の周りってイケメン多いし、結構周りの方が常識人だったりするじゃない?」

 確かにそうかもしれないけど。

「私はほらヒロインだけど、ルイ君は一応モブじゃない。
 そこまで強制力とか補正力は働かないんじゃないかしら?」

 実際、今まで変な強制力に振り回されてますけど?

「ポセイドンの海へ行かない?」

 本音はミル姐さんが一人海に出るのは心細いとの事だった。

 可愛い所あるじゃないか、と絆されて、一緒に船に乗ることにした。

「僕は隣国に行きたいので、姐さんがポセイドンの海とやらにたどり着いたら、船を借りて次の国へ行きますからね?」

「えぇ、それで構わないわ」

 ここに来て、ヒロインと行動を共にする事になるとは思わなかった。
 だけど、当てもなく旅をするのも楽しいけど、ミル姐さんの行動力に引き摺られるのも悪くないと思い始めていた。







 くそ!
 何を間違えた?
 良い感じになっていたはずだったのに!

 仇を討ったし、ローレンツォが配管の整備をしたって事だって、報奨金をって言ってるのに。

「私が間違っているのか?」

 独り言と思っていたが、その陰からギモーブが現れて、どこまでも平行線ですね、と答えた。

「お前はムギチョコから解放されて良かったのか?」

「いいえ、あのまま女王様の元で縛られていたかったです。
 ですが、別れる事を望まれました。
 それを叶えるのも私の役目でございます」

 ピンクの髪の女王様を思い浮かべて、どこか興奮した面持ちのギモーブが遠くを見つめて、女王様、と呟いた。


 
 
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